「ご苦労様」と「お疲れ様」という言葉の使い方について
2014年8月19日
小林秀治

「ご苦労様」は目上から目下に対するもの、
「お疲れ様」は目下から目上に対するもの、
「お疲れ様」としておけば無難と言われます。

 これはビジネスマナーにおける教え方ですが、おかしいですね。どうも、ビジネスマナーを教える人が勝手に作ったようです。

 「『御苦労』とは、昔の殿様が目下に向かって言った言葉」と言われますが、本当は、昔の殿様は「大義であった」と言っていました。
 例えば、組織として一つの仕事をする場合、指示する側と指示される側とでは、苦労の度合いが全く異なるわけです。手足を動かしていればよい係員は「疲れる」だけですが、首から上の頭を使うマネージャーには、係員には分からない「苦労」があるわけです。
 この場合の「苦労」とは、その役職、役目、役割特有にある「苦労」のことを指しています。
 「ご苦労様」とは、本来、その「お役目」に対するねぎらいの言葉です。当然、ねぎらいだけでなく、感謝の気持ちも含まれています。

 「お疲れ様」というのは、何かしたときに、そのしたことに対して、「お疲れ様」ということです。何か、「ご苦労様」に比べると「お疲れ様」は軽い気がします。
 例えば定年退職者の送別会などにおいて、長年のお勤めに対するねぎらいの意味で「長い間お疲れ様でした」というのは、ずれているように思います。やはり、「長い間ご苦労様でした」と言うべきでしょう。
 要するに、「ご苦労様」は、公的な役割に対するねぎらいと感謝の言葉です。

 私は、この20年来、間違ったビジネスマナーは使わないことにしています。