2019年9月、夏の釣り3種

小林秀治

山形の渓流釣り

夏は暑いので、比較的渓流釣りをする。今年は、相棒の蒲生さんと山形の肘折温泉のある銅山川に出かけた。私は、この銅山川は、5度目となる。山形でも魚影(イワナ、ヤマメ)の濃いところである。

イワナを仕留めた銅山川の渕

銅山川は、最上川の支流である。最上川の支流は他にも鮭川、角川などがあり、渓流釣りにはよいところで、天然のイワナがまだいるところである。
  肘折温泉は、山形県最上郡大蔵村にある温泉で、1200年の歴史を持つ、秘湯である。すぐ近くには、黄金温泉、石抱温泉がある。石抱温泉は、野湯で、駐車場から山の中に入り、徒歩で行く無料の温泉である。(私たちは釣りに夢中でまだ入っていない)黄金温泉は、川のそばにあり、日帰り温泉施設があり、入浴できる。


肘折温泉の日帰り温泉

肘折温泉は、今でも温泉街として残っている。古くは、湯治場であった。私も渓流釣りに来て、10年ほど前にここの旅館に泊まったことがある。最近は、日帰り温泉施設があるので、そこの湯につかり、食事をして旅館には泊まらずにいる。日帰り温泉施設の駐車場にテントを張るか、釣り場の近くにテントを張るかして寝ている。夏なので、意外と快適である。一人であれば、車の中にベッドを作り寝ている。


27センチのイワナ

渓流釣りは、銅山川とその支流の祓川、苦水川でする。肘折温泉周辺の川は、2019年9月5日に入ったが、水温が低くなく、水藻が生えていて釣りにくい。それでも、イワナはいるので、あたりはある。20p以上をキープする。
  いつもイワナが出ているポイントでは、確実に出てくる。
  今回は、祓川の一番目の大堰のたまりで、夜まで釣るのを目的としてやってきた。たまりは、深いので、二人ともリール付きの竿と仕掛けを持ってきていた。ところが、大堰の下のたまりは、土砂で埋められ深みは狭まっていた。これでは、リール付きの竿などいらない。
  実は、私は、この大堰のある川が銅山川だとずっと思っていた。というのも、分かれ目の川の水量などを見たときに、祓川の方が多いと思っていたので、無理もない。
  今回、橋を渡り道を右に登って行くとさらに橋がある。橋を渡ると下り、石抱温泉の案内石が出てくる。ここで道は行き止まりである。ここは、空き地になっており、車が5、6台停められるスペースである。その横に銅山川が流れていて、その奥につながっている。
  銅山川には、藪の中の道らしきところを100メートル位行くと出る。9月は水量が一番少ない季節である。川幅は広いが水量は少なく、石がゴロゴロしている。そこを遡っていく。
  最初の深みのある淵に出た。水の色はよくないが、上に木の枝も張り出し、日影になった流れがある。蒲生さんは、やらずに上にいく。
  岩の見えるところを攻める。そこでは、あたりがなく、枝の張り出しているところを攻める。深さは1m以上はあるようだ。エサ(ブドウ虫・ブドウの枝の中に巣食う虫。今では渓流の万能餌として養殖されている)を奥下に送り込む。緩やかに仕掛けを引くと、ググっと魚のあたり。引き上げると強い引き。2、3回引き込まれるが、竿の弾力で耐え、魚を水面に出し、岸に上げる。型のよいイワナである。後で測ったら27pあった。前回は、30pを2本上げている。前回に匹敵する釣果だ。
  その後、上流に行くが、ポイントでのあたりはない。
  しばらく行くと、真ん中に魚道のついた堰が現れる。そこの前は、1m以上も深みのあるプールとなっていた。一応、竿を出すが、10時頃となって陽も高いのであたりはない。これこそ、夜、釣ると魚が出てくると思う。
  イワナやヤマメは、夜の9時頃まで餌を追う。夜は真っ暗(山の中の川は真っ暗になる)だが、エサが水に落ちた音とエサの臭いで捕食するようだ。魚影が濃いところなら、エサを放り込むとすぐに食らいついてきて、入れ食い状態になる。私は、そんな経験が何度かある。
  さて、祓川の一番目の大堰で夜釣りをやる。あたりが暗くなり、川の水音がゴーゴーと落ちる音しかしない。ヘッドランプの明かりがちらちら消えたりついたりしている。
  私に先にあたりが来て1本のイワナを取りこむ。20p位。粘って蒲生さんもようやく1本取り込む。やはり20p位だ。
  蒲生さんが7時半位まで粘るが、エサに食いついてこない。たまにあたりはあるが。やはり、土砂が入って釣りやすくなったせいで、他の人に釣られてしまっているようだ。
  夜は、川の中では冷えてくるので、引き上げることにした。車まで200m位のところをヘッドランプを付けて歩く。途中、崖崩れのところもあるので気をつけて歩いていく。
  車にたどりついて、着替えは後にして、今日の寝る場所に向かう。そこは、肘折温泉の日帰り温泉施設の駐車場である。温泉施設は、夏場は19時で閉店になるので、駐車場には、温泉施設のマイクロがあるのみで、他に車はない。
  たまに車中泊の車があるかもしれない。
  私たちは、そこで、昼間に買ったちまき、さば味噌缶、燻製卵、薩摩揚などを食べながらビールを飲み歓談。その後、車の横にテントを張る。組立て簡単テントで3人がらくらく寝れるもの。当日は、天気もよく、温かい。
  21時には、寝る。山形まで昨夜運転してきたので、すぐに寝入った。目覚めたのは、4時半頃。寝袋を持っていったが、使わずに済んだ。
  朝、5時過ぎに肘折温泉の発電所を超えて、銅山川に行く。場所は、先にお話しした石抱温泉から川に入るルートであり、そこで、2本釣り、10時頃上がった。すでに陽は登り、暑い。釣り用の長靴・ウエーダーは、とっても汗をかき、びしょびしょになる。
  それを脱いで乾かして置く。蒲生さんは、まだ、粘っているらしく、まだ戻ってこない。私が上がって1時間近くなるので、探しに行く。ここら辺も熊出没注意なのである。だから、私は、常に鉈を携行して釣りをしている。
  釣りで一度も、まだクマに出くわしたことはない。子どもの頃、200m位離れたところで去っていく熊を見たことはある。
  また、石で転んで打ち所が悪いと骨折、捻挫をし、歩けなくなることがある。また、滝つぼなどに落ちると、死の危険もある。
  蒲生さんは、川に入ったところから、下流まで行っていた。ようやく戻ったが川からの帰り道を間違えて、20分位別の方向に行っていたとのこと。山の道は、よく間違うので、気を付けた方がよい。また、崖のそばを歩くときは、足元に記を付けて歩くことが必要だ。私は、一度、7メートルくらいの崖から落ちて大けがをしたことがある。一人で釣行しているときは、自力で助けを求めなければならなくなる。

相模湾のカツオ釣り

私は、夏には、たまにカツオ、メジ釣りに相模湾に出かける。若い頃は、毎週のように行ったこともあるが、今は、体力も落ちたのでたまに行っている。
  今回は、8月30日に出かけた。前日と前々日は風が吹いて船は出ていない。私がよく利用するのは、平塚の正三郎丸。ここは、船の数も多く、客も多い。夏から秋にかけて、カツオ・メジ、キハダマグロをねらって船が出る。いつも3隻出している。


これから釣りへ 相模湾

出船は、6時である。平日なので、1船に12,3人乗っている。土日になるともっと混む。マグロ狙いの常連も多い。マグロは、20キロから40キロ位になり、竿、リール、仕掛けが重装備となる。カツオ・メジの仕掛けにマグロがかかれば上げることは困難で、ハリスや、道糸が切られておしまいである。今回、私にも、二回目のあたりがそれらしきもので、ものすごい引きで船の下にもぐられ、あっけなく道糸切れとなった。
  朝、少し風があり、波もあったが船は出た。平塚港から出ると、しばらく揺れはきつくなかったが、沖に出ると雨が降り、波も高くなってきた。1時間位して釣り場に来た。すでにほかの船が7、8艘釣り糸を垂れていた。船がとどまっていると揺れはさほどではない。雨も小降りになった。釣りをやる気になる。


3キロのカツオ

つけ餌は、オキアミをダブル。コマセかごにオキアミを詰めて、船長の指示で海面からタナを取る。海面から測って10mから60m位を攻める。その日は、2回目位の指示で5mから15mと船長がアナウンス。私は。14m位まで落として、コマセを撒きつつ、10mまで上げ、そこで待つ。
  その棚で4回あたりがあり、マグロらしきものと、カツオを3回かけた。カツオは、水面に出るとまた強く走る。結局、上げたのは3キロ1匹であった。
  水面まで上げると、船乗りバイトがタモですくってくれる。その日、同じ船で最高はカツオ3匹、マグロやメジは出なかった。坊主の人も数人いたようだ。
  そこが釣れなくなると、船は、魚の群れを求めて移動する。魚の反応があるところで、釣りをするのが、カツオ・メジ釣りである。その日は、その後、ほとんどあたりはなく、沖上がりとなった。上がって船宿に着いたのは、午後3時。以前、カツオ・メジ釣りに出て、魚の群れに会えず、1回も釣り糸を下さなかったこともある。
  平塚は我が家がある八王子・南大沢からは、高速道ができたので、車で40分位のところで非常に便利である。
  家に帰って、カツオを下す。3キロあるので、サクを4本とり、骨についている身も取れて十分である。刺身で20人前位はとれる。半分は、コンロであぶりたたきにする。
  翌日の集まりに出して食した。家でも妻が食した。新鮮なカツオはうまい。

走水のアジ

カツオ・メジ釣り以外では、東京湾のアジ釣りに行っている。アジ釣りは、年中5,6回は蒲生さんと行っている。船宿は30年来広川丸である。


走水港の広川丸

東京湾の流れが速いところにいるアジは、関アジに匹敵する。ちなみに、関東では、アジのうまい順番は、東京湾のアジ、相模湾のアジ、外房のアジとなる。
  場所は、走水。読んで字のごとく、大潮のときは、川のように海が流れる。仕掛けが流されて釣りにならないこともある。
  釣り場は、走水港から15分から20分位のところだ。天気のよい日の朝は、三浦半島越しに富士山が見える。そして、左には観音崎灯台。対岸は、千葉県の富津と富津岬。東京湾に浮かぶ第1海堡、第2海堡も見える。海堡とは、東京湾に浮かぶ人工的に造成した島で砲台を設置した洋上要塞。明治、大正に造られた。釣りをしている横をコンテナ船などが数多く通る。


42センチのアジ

アジ釣りは、イワシミンチのコマセを網かごに入れ、付けエサは、赤く染めたイカタンを付けて釣る。青イソメをつけても釣れる。コマセに使うイワシミンチは臭そうに思うが意外と臭くない。
  タナは、底から3m位仕掛けを上げたところ。2mくらいでコマセを撒いて、仕掛けを上げて釣る。アジの活性化と棚取りが合っていれば、すぐに、クンクンとあたりがある。20p台だと引きはやわらかい。30pを超えると引きは強く、上げてくるまで何度も引く。その感触は何とも言えない。ただ、アジは、口が伸びるのでばれやすい。慎重に、上げるのがコツである。
  35pを超えるものは、タモですくう。走水では、30年以上前に60pのアジが上がったことがある。その後、年に何本か50p台が出た。40p台は、珍しくなかった。しかし、最近は、40p台が上がるのはまれである。関東では、東京湾のアジがうまいのと大きなアジも出るので人気であり、釣り船も多く、大きい魚がいなくなったのではないか。
  走水の船宿は、釣り場が近いので、午前と午後に分けて出船して、昼には一度港に戻ってくる。以前は、4時出船で7時に戻ってくる釣りもあり、それから出勤も可能であった。まさに、浜ちゃんの世界ではある。
  私は、常に一日通しでやることにしている。4時出船のときは、最終の上り17時まで、釣りを満喫するのである。
  最近では、女性の客も増えている。船には、トイレが完備しており、安心である。東京湾は、風が強くなければ波は穏やかである。
  新宿3丁目に走水のアジを食わせる店があったが、そこの女将が午前に釣ったアジを出していた店があったが、今はなさそうだ。一度、職場の送別会で使ったことがある。


2017年12月・走水での黒ダイと真鯛

アジ釣りだが、外道も多い。真鯛、ワラサ、ブリ、太刀魚、ヒラメ、クロダイ、イシモチ、など多彩である。ワラサ、ブリ、ヒラメなどの大型の魚は、アジの仕掛けでなく、生きアジを泳がせて釣るのである。


65センチのワラサ

私も、まだブリはないがワラサ、ヒラメなどを泳がせ釣りで上げている。ちなみにブリは、80p以上をいう。
  アジを数釣って帰ると、まずは、刺身やナメロウで食す。
  小型のものは、開いて干して干物にする。あとは、はらわたを出し、冷凍にする。後日、解凍し、アジフライなどにして食す。美味しいところのアジのフライはとてもうまい。