2019年から2020年 東京湾・冬の釣り
小林秀治
東京湾の冬の船釣り宿は、主に、アジやカワハギ、太刀魚などを狙っている。 私は、2019年の年末に、三浦半島の走水からアジの釣船・広川丸に乗った。年末年始の魚を求めてのことである。 走水での釣りは、アジ釣りがメインではあるが、冬は、外道が多彩であるので、それらの狙いもある。アジのほかに、真鯛、クロダイ、ヒラメ、ブリなどである。それらが、全部釣れれば、お正月の食卓は豪華となる。 朝、7時20分に港を出て、20分くらいで、釣り場に着く。海から陸を見ると、横須賀、遠くには富士山が見える。左手には、観音崎と灯台が見える。 この付近は、東京湾では狭くなっており、走水という地名の通り、大潮の時などは、海の水が走るのである。 千葉県側を見ると、富津岬や大貫や佐貫あたりの陸地が見える。 主な釣り場は、横須賀の猿島の近くである。東京湾は、その中をコンテナ船やクルーズ船などの船が数多く航行している。 風が10mを超えると、船は出ないので、ほとんどの場合、波は穏やかである。 さて、釣り場について、碇を下したら、釣りが開始される。釣り座は、釣りやすい船の後ろを取る。 まずは、アジの仕掛けでアジを狙う。ここは、鯛やクロダイ、ヒラメなども、アジの仕掛けで喰ってくるので、針が曲がらない強いものを使う。 エサは、下針に青イソメの3本がけ、2番目は、アジ釣りの定番の餌、赤タンを付ける。赤タンは、イカを塩で漬けて、赤く染めたものを2ミリ角に小さく切ったものである。 青イソメはアジも喰いつくが、鯛やクロダイも喰ってくる。 最初は、27pくらいのアジが釣れる。ここでこの大きさは、中アジ。大アジは、30p以上。特大は、40pを超える。50pを超えると超特大だ。 走水では30年くらい前に、60p超えが上がった写真をみたことがある。アジではなく、イナダみたいだった。最近は、年に50p超えがたまに上がる程度になった。40p超えは、年に数本上がる程度になった。 私が、20年くらい前に来ていた時は、必ず、40p超えが混じっていたが、最近は、40センチに届かない。 ただ、30p超えの大アジは良く釣れるし、引きもよい。だから、足しげく通ってくるのである
アジの泳がせでブリを釣る
30p超えのアジも釣れたところで、20センチ以下の小アジも混じる。 この小アジを使って、生き餌として泳がせて、ブリを狙う。ブリは80p以上。その下は、ワラサ、イナダという。 泳がせ釣りの仕掛けは、錘150号を下に付け、50センチ上げたところから1mの枝ハリス10号を付けて、そこに小アジを付けて泳がせるのである。泳がせの仕掛けを投入して待つ。仕掛けのタナは、底から1m。ヒラメも狙えるからである。 泳がせ仕掛けを投入して、20分位して、竿が海に突き刺さった。すぐに、竿を手に取り、やり取りを開始。ハリスは10号なので、結構、強引に巻き上げる。しかし、魚が大きいと10号でも切られる。大きい引きの時は、竿を下げ、引きを交わす。10分位のやり取りで魚体が見えてきた。結構腕は疲れた。見えてきた魚体は、白く青くて大きい。大きなタモですくいあげてもらい、釣り上げた満足感を味わう。 丸々と太った80センチの弱のブリであった。 冬は、ブリもワラサも東京湾に入り、回遊しているのだ。東京湾の入り口は、9月ころからワラサ釣りのメッカである。 泳がせ仕掛けを投入している間、もう一つの竿でメインのアジを釣る。その竿に、アジとは違う強い引き、すぐさま、竿を取り、手動で巻きにかかる。強い引きが何度も来る。そのたびに、竿を下げてかわす。また、リールのドラグを緩めているので、少し糸も出ていく。引きからするとマダイのようだ。なかなか上がってこない。 6度目くらいの強いひきで、残念ながらハリスが切られたようで、負荷がなくなった。 仕掛けを変えて、気を取り直して、投入。 しばらくして、30pクラスのアジが上がる。その後、また、ハリスを切られた時のようなあたりがある。やり取りしているとまた、ハリス切れ。残念。仕掛けを太くしようかと思ったが、真鯛は、3号でも上げられる思い、同じ3号ハリスで挑戦。しかし、その後、あたりはなかった。二度目にハリスを4号か、5号に替えておけば、取れたかもしれない。その判断が難しい。ハリスを太くするとアジの食いが落ちるのである
ヒラメ釣りはアジの泳がせで
2020年3月13日に、釣り仲間の蒲生さんと、久々に、走水の船に乗った。 3月は、アジがいるところにも真鯛やクロダイが寄ってくる。前回、3号のハリス切れで取れなかったので、二人とも、4号ハリスの3本針手作り仕掛けで始めた。当たりはあるが、私の針には、アジが掛からない。蒲生さんは、食いは悪くないとそのまま、4号ハリスでアジを何本か上げる。 蒲生さんは、午後も4号ハリスでずっとアジを釣り続け、午後はダブルで4回も掛けていた。食いが良い時は、4号でも5号でもアジは掛かってくるようだ。 私は、3号ハリスに戻し、10本くらい続けてアジを上げる。蒲生さんの隣で、小学生が何本か釣っている。慣れているようだ。新型コロナの影響で、小学校は休校で、金曜日であるが、他にも親子連れで、小学生が2人乗っていた。海の上は、新型コロナの影響はなさそうだ。 今回の釣り場は、12月の釣り場と違い、横須賀の猿島近くであるが、岸寄りであって、型が平均25センチ程度と小型だ。2月3月は、数が上がっていなかったため、岸よりの場所を選んだようだ。 船長は30センチ超えも上がってくると言っていたが、その日は、まったく上がってこなかった。 朝の8時頃から、ぽつぽつ釣れていたアジは、午前10時半以降、ぱったり食いが止まり、11時半過ぎに午前船の上りとなった。 午後、12時50分に港を出発。予想された強風は、まだ吹いていない。 午前と同じ釣り場に着く。風が予想されるので、船長は錨を下ろさず、船を流している。ポイントがずれると、また船の位置を戻すのである。 海から横須賀方面を見ると、ビルの奥に、雪をかぶった雲一つない富士山が見える。午前に雲がない富士山が見えるのは珍しい。
隣の蒲生さんは、4号ハリスが良くて、順調にアジを釣っている。私も、ぽつぽつアジを上げている。アジが、20本を超えたころで、準備していたアジの泳がせ釣りを始める。ちょうど20センチくらいのアジが釣れたので。狙いは、ヒラメである。このアジの釣り場には、年中、ヒラメはいる。20センチくらいのアジは、餌としては少しでかい。が、船長は、大きめの方が、ヒラメは食ってくるという。 風が出て、波も少し高くなってきた。仕掛けは、横になびく。しかし、釣りにくくはない。また、風は、おさまったりしている。 アジの泳がせ仕掛けを投入し、何回か、底を取り直す。錘の位置を底から50pから1mくらいに保つ。海底は、起伏があり、船が動くと、底から錘の位置は変化する。それを常に取り直して、アジが底から少し上がったところを泳ぐようにしておくのがコツである。 その間、私は、別の仕掛けでアジをぽつぽつ上げている。仕掛けを入れて30分位した時、泳がせ仕掛けの竿先が何回か浅く引き込まれているので、魚が食いついていると思い、竿を手にし、引き込みを確認する。魚が食いついているようだ。ヒラメの場合、餌を飲み込んでいないとすっぽ抜けることあるので、十分に食いこませることが必要だ。3回目の引きがあったので、一気に竿を上げ、針がかりをさせる。ググっと、針がかかり、重みが伝わる。サイズも大きいようだ、何回か引きこみがあり、やりとして、水面まで上げる。狙い通りの茶色のやつ、ヒラメだ。 船長は手が空かないので、若い釣り人にタモ出ですくってもらった。 57センチのヒラメであった。これで、30人前くらいの刺身ができる。ヒラメの頭などのアラは、みそ汁にすると出汁と脂が出て、とてもおいしい。 そのほか、ヒラメは、刺身だけでなく、煮物、焼いたソース掛け、カルパッチョ、昆布締めの刺身など、旨い魚である。 その日のうちに食せるのは、釣り人ならではである。次回も釣行しようと思う次第である。 年末に釣ったブリなどは、長野のカミさんの実家で、1週間くらいかけて食した。ブリかまや刺身、ブリ大根などとても美味で、子どもにも好評であった。