八王子・絹の道を歩く

小林秀治

4月19日、コロナ感染拡大、緊急事態宣言化ではあるが、接触者ゼロでのハイキングを実施した。
  目指すは、八王子の絹の道である。
  その入り口までは、八王子・南大沢の自宅から歩いて、25分の近さである。
  絹の道は、名の通りシルクロードである。八王子と横浜を結ぶ街道で、鉄道が開通するまで、生糸が横浜へと運ばれた。現在でもその街道の一部が残されている。そこをハイキングするのである。

多摩ニュータウン内の団地

自宅を出て、団地を抜けていく。今日は、快晴で気温も高く、陽の光もまぶしい。
  団地は、多摩ニュータウン内にあり、道路は起伏にとんでいるが、歩道と車道は分けてあるので安全で歩きやすい。今は、さつきやつつじが斜面に咲き、ソメイヨシノは散ったものの、八重桜が咲いている。

閑静な一戸建ての団地

少し行くと一戸建ての団地も現れてくる。その奥には、小高い丘が連なる。
   専用歩道を歩いていくと、日曜日であるので、家族連れや散歩の人々が多く歩いている。家族連れは、空き地や公園でボール遊びなどをしている。芝に敷物を敷いて、日光浴もしている。お弁当も食べている。
   自転車ですれ違う人もいる。ランニングしている人は何人かとすれ違った。いずれも接触はせず、一瞬のすれ違いである。普段なら、すれ違いに挨拶してくる人が多いが、新型コロナ拡大の影響で、三密を避けているようだ。

小泉家屋敷

団地から離れると、一軒家が多くなり、緑も多くなる。この地方は、古いものも残っていて、有形文化財の小泉家屋敷という農家が保存されている。藁葺きの屋根が、きれいに手入れされていて印象的である。

満開の八重桜

自宅から25分ほど歩いて、絹の道の入り口に着いた。入り口には、川が流れていて、八重桜が満開である。川は、昨日、雨が降ったので、勢いよく流れている。水はきれいだ。

絹の道資料館

坂を登っていくと絹の道資料館に着く。残念ながら、新型コロナ拡大の影響で休館。
  この資料館は、この辺の地名である鑓水(やりみず)の生糸商で“石垣大尽”と呼ばれた八木下要右衛門家屋敷跡に建てられたものである。入母屋屋根を持つ建物である。

タケノコも生えている絹の道

資料館から少し行くと、当時のまま残されている街道(絹の道)に入る。そこからは、さらなる登りとなっている。道の両側は、杉の木や雑木、竹などがうっそうと生え、木漏れ日がさす2〜3メートル幅の道であった。タケノコも取られずに生えている。今でも、当時のままで舗装はされておらず、風情がある。


木漏れ日さす絹の道

しばらく登って行くと、石段がある。この一帯は大塚山公園。そこに道了堂跡がある。この道了堂は、ここから500メートルくらい下ったところにある永泉寺の別院として建立され、絹商人たち、地域の人々の信仰を集めていたとのことである。
  今は、建物はなく、大きな木々に覆われ、暗くひっそりとしていて、当時の面影はない。

遠く新宿のビル群やスカイツリー を望む

今日は、天気がよく、見通しもよく、その木々の間からは、遠く雪を頂いた富士山や、新宿の高層ビル群、スカイツリーも見える。
  大塚山公園の石段を下りて、右の道を進む。左は、竹藪。タケノコが生えているようだ。何人かがタケノコを掘っている。掘っていいのだろうかと思うが、禁止の看板などは見当たらなく、竹藪へは簡単に入れる。
  直ぐに、視界が開け、眼下には、西武が開発した戸建ての団地が広がる。
  しばらく下って、いったん舗装道路に出るが、また、木々の生い茂る緑地に、階段を上って入る。
  道は狭く、脇には細い竹藪が続く、そのうち、車の通れるくらいの土の道に出て開けた。右手の斜面には畑が作られている。
  どうやら私有地のようだ。「栽培している、取るな!」という看板が目に付く。
  だんだん下っていくと、舗装された道路に出て、上柚木公園球場の下に出る。そこを登って、公園に入る。施設は、野球場、テニスコート、陸上競技場がある広いものだが、新型コロナ感染拡大の影響で閉じている。それにも関わらず、駐車場には車が多く、家族連れなどが来ている。外出自粛の影響が出ているようだ。
  ここまで来ると、自宅は直ぐそこである。ゆっくりと歩いて、約2時間のハイキングである。