神奈川・松茸山に登る
小林秀治
神奈川の松茸山は、600メートル弱の山で、いつも行く東丹沢の端にある。東丹沢の近くには、今人気の宮ケ瀬湖がある。私は、40年ほど前から、東丹沢の早戸川へ渓流釣りに来ているが、山登りはあまりやらない。
早戸川に行合う手前に、水沢川の水沢ふれあいの橋がある。人だけが通れるつり橋である。車は、道幅の広くなっているところに停める。今日は登山になるので、ハイキング姿でリュックをしょって、木の階段を降り、歩き始める。水沢ふれあいの橋を渡る。すぐに、杉木立で急な登りとなる。 入り口の看板には、「山ヒル注意!」とある。山ヒルは、5月頃から出始めるようだ。黒褐色・赤褐色の円筒状で、体長2センチから5センチくらいだ。雨天時や雨上がりなどに特に活発に動き回り、吸血被害にあう確率が高くなる。今日は、まだ、4月で晴れなので、乾燥していて、出ないように思う。 私は、渓流釣りをやるので、何度か、知らずのうちに足や手に吸いつかれて血を吸われたことがある。痛くて、引きはがすのに苦労する。 橋の下には、勢いよく水沢川が流れている。ここは渓流である。
ゆっくりと杉林に入り、ジグザグに登っていく。一気に、200メートルくらい登る。さすがに息が上がる。 尾根に出る。そこで、一休み。木々に囲まれ、日差しが遮られて汗が引く。耳を澄ますと鳥の鳴き声が響く。ここでも鴬が鳴いている。 登ってくるときは、杉が多いが松もある。しかし、松茸山とはいえ、どこにも「松茸山に入るな」などの看板や柵などはない。山の名前が松茸山とあるが、どうも松茸は取れていないようだ。 生い茂る木々の中で山桜も見かけるが既に散っている。4月上旬に、登り口に来たときは、橋のたもとに多く咲いていて、見ごたえがあった。
尾根から北側を望むと、宮ケ瀬湖の一部が見える。 尾根を100メートルくらい進み、また、急な坂を100メートルくらい登る。登ったら、東屋が見えてくる。
その東屋に、松茸山、570.5メールと書かれた木のプレートが下がっていた。 山頂からは、丹沢の山々が見える。 東屋の下の杉の枯れ木に腰を下ろして、昼食にする。誰もおらず、静寂の中での昼食である。時折、鳥の鳴き声がするくらいである。しばし、時を忘れている。
頂上から西に向かうと早戸川渓谷に沿って、奥の丹沢に行ける。 私は、ここで引き返して、水沢川上流に降りることにする。下りも急だ。木の手すりが設置されているが、古くて、もう朽ちている。危ない所は、さすがに、パイプで最近設置されたようだ。川に降りたところには堰と滝があった。川の向こう側には、林道が走っている。この林道は、去年の台風でがけ崩れがあり、今は不通になっている。 ここから川沿いに遊歩道が続いている。このまま進むと、水沢ふれあい橋に至る。ところが、進んでいくと、がけ崩れもあったようで、まだ復旧工事がされておらず、安全な遊歩道とはいえない状況だ。 途中で、妻から「早く帰れ!」と連絡があり、走るようにして、水沢ふれあい橋に戻って、車で40分で自宅に帰ってきた次第である。