「区立保育園の民営化問題を考える」集い
 2月9日、土曜日、千代田区職労の主催で、飯田橋の東京清掃会館で「区立保育園の民営化問題を考える」集いが開催されました。当日は、悪天候が予想される中にも関わらず、50名を超える参加がありました。
 開会挨拶で、司会の小林区職労書記長は、「公共性のある区立保育所の民営化には多くの問題があると思う。今日は、その問題点などを一緒に考えていきたい」と挨拶しました。
主催者を代表して、加藤区職労委員長は「民営化してはいけないものがある。公立保育所がそれだと思う。なぜ、民営化がだめなのかを考えていきたい」と挨拶しました。
 はじめに、「公的保育制度と公立保育所廃止・民営化」と題して、保育研究所の逆井さんに講演をいただきました。
 逆井さんは、公的保育制度について、「自治体は、保育条件を確保し、運営費を公費で負担し、保育の保障責任がある」とし、この制度を存続させ、さらに発展・拡充すべきであると述べました。
 ところが、「保育の構造改革=保育の市場化が進められ、公的保育制度が解体させられている」と危機を訴えました。
 そこで、公立保育所の廃止・民営化の問題点について、「@子どもと親にとって大切な保育者との深い信頼関係が断ち切られる。A市場化で子どもに格差が出てくる。B自治体の保育する責任が後退する。C住民意志が反映できなくなる。D地域の保育の水準・質の低下につながる。E本当に質を維持しようとしたらコスト削減は難しい。F地域の子育てネットワーク構築に影響を与える」などと述べました。
 また、民営化をしない宣言をした文京区の運動の経験について、文京区職労保育園分会分会長の鈴木さんは、「最初、保護者と距離があったが、全園で学習会を開いたり、保護者と懇談会を行ったりし、共に民営化問題を考え取り組んできた。また、保護者のがんばりもあり、文京区の保育ビジョンのなかで民営化しない宣言をした」と報告しました。また、この取り組みの中で、「自分たちの保育とは」、「保育の質とは」を考えさせられよい経験となったと報告されました。
 続いて、千代田区の保育園の現状の報告をした保育園分会の西本さんは、「以前は、高水準の保育をしてきたが、正規職員が減らされ、非常勤が増え、保育水準を守れなくなってきている。何とかしたいと昨年ようやく7年ぶりに新規採用をさせたが、まだ、正規は不足していると思っている。区立保育所の保育水準をよくしないで、民営化するのには問題がある」と厳しい現状を報告しました。
 こうした報告を受けた後、再度、逆井さんが、「世界の多くは、公的保育拡充の流れである。こどもの発達保障は、公の責任で行うべきである。子どもを大切にする国・自治体にするために公立保育所を守ることが今必要である。それには、保護者と保育所職員の手つなぎが求められている」と訴えました。
 質疑では、保護者、職員などから、「民営化では、保育の質が守れない」、「民営化を遅らせると待機児が増えるのではないか」、「公立で人を増やせるのか」、「民営化になると問題がありどうなるか、不安だ」などの質問や意見が出されました。
 最後に、司会者が「未来の子どもたちのために区立保育園はどうあるべきなのか、民営化にどう対応するのか、それぞれの立場から考えていいきたいと思う。また、それぞれ情報を交換しあいながら、この問題を考え、取り組んでいきたいと思う。そして、区には、文京のような保育ビジョンをつくるよう要求していくことも大事ではないか」と述べて閉会しました。