8月8日に人事院勧告
月例給・一時金ともに改定見送り

 人事院は8月8日、国家公務員給与に関わって、官民較差が極めて小さいとして、月例給・一時金ともに改定を見送りました。また、今後に向けた「給与制度の総合的見直し」などに関する報告を内閣と国会に対して行いました。
 現在、国家公務員に対しては「給与臨時特例法(賃下げ法)」(2014年3月末までだが、消費増税の関係でどうなるか不透明)によって平均7.8%の賃下げが実施され、人事院の調査によっても実支給額で、国家公務員は、民間より7.78%(29,282円)も下回っています。
 国家公務員は、400万円を超える退職手当削減とあわせて、平均7.8%の賃下げにより、生活悪化や将来不安が広がっていますが、人事院は、その声を聞くことなく、賃金改善への切実な願いに背を向け、給与改定・一時金改定を見送ったことは、勧告制度上、重大問題です。
 給与削減措置については、労働基本権制約の代償措置である勧告制度を国が否定している異常事態であり、地方にも削減を強要していることは認め難いことです。
 人事院は、給与削減措置が2014年4月以降について、民間準拠の給与水準確保が必要との見解を示す一方で、給与制度の総合的見直しの実施を報告したことも大きな問題です。
 また、雇用と年金の接続問題では、再任用職員の給与について、俸給水準や手当の見直しは、民間再雇用者の給与の実態を把握した上で、職務や働き方等の実態を踏まえて検討するとして、具体的な勧告は行いませんでした。定年延長については、再任用の運用状況を見ながら再検討を求めています。

 国家公務員法28条は「情勢適応の原則」を定め、官民賃金を均衡させるため、人事院には、給与勧告を行う義務が課せられています。これに照らせば、実際には3万円近くの官民較差が存在することを人事院自らが認めながら、それにもとづいて改善勧告しなかったこと自体が、国公法に違反し、本来果たすべき責務を放棄したものと言えます。
 また、労働基本権を踏みにじって強行した憲法違反の「賃下げ法」を、「未曾有の国難に対処するため」として是認したことは、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告の役割を果たしていないといえます。
 このように、「第三者機関」としての役割を果たさず、政府の公務員総人件費削減方針への追随を強めている人事院に対しては、厳しく抗議するものです。
 私たちは、秋の勧告に向けて、特別区人事委員会が人事院に追随せず、第三者機関としてのきちんと役割を果たすよう、求めていくことが重要であり、今後も特区連を通じて要請を行っています。

⇒給与勧告制度の仕組みと本年のポイント(PDF)
⇒給与等に関する報告の骨子(PDF)