9月24日の「区立保育園の民営化を考えるつどい」レポート
千代田区職労
 9月24日、午後2時から区内で、「すくすく千代田」が主催で、「区立保育園の民営化を考えるつどい」が行われました。「すくすく千代田」は、区内のこどもを持つ父母を中心に、こどもがすくすく豊に育つ街をめざして結成されたゆるやかな組織です。
 当日は、保育園の保護者、区職員、区議会議員、区内在勤者の方々が参加し、全国保育団体連絡会事務局長の実方(じつかた)さんから、保育園の民営化をめぐる状況などのお話をしていただきました。
 実方さんは、まず、今の保育・子育てをめぐる状況について、「幼稚園が減少していること」、「全国的には待機児で保育所は不足していること」、「国はお金をかけない方法として、認定こども園を進めていること」、「この間、企業の参加を促すために、規制緩和が行われてきたこと」などの特徴を話しました。
 次に、「民営化とは何か」、「民営化の何が問題か」、「東京都における民営化の現状と問題点」について、話をしました。
 民営化には、公設民営化(指定管理者方式、運営業務委託方式)と民設民営化があることを述べ、「民営化で本当に保育の質、水準は確保できるか」、「保育環境に全く配慮していない民営化の事例が多い、こういう鈍感な自治体が保育の実施に責任をもっているか」は大いに疑問であると民営化の問題点を指摘しました。
 また、今、民営化に伴い、民間保育所が増えてはいるが、企業の保育所はあまり増えていないとのこと。なぜか?まだ、十分な利益が見込めることにはなっていないようです。また、全国的には、公立と民間は、ほぼ5対5ですが、東京は、7対3で公立のほうが多く残っているとのことです。
 東京は民間が少ないとはいえ、民営化している大田区や練馬区では委託後、保育士の急激な入れ替わりなど、大きな問題になっているようです。目黒では、保護者の反対を押し切り、区立保育園そのものを廃止するとして、保護者の反対を封じ込めようとしていることが報告されました。
 多くの自治体では、当局のごり押しで民営化が進んでいますが、先進的な保護者は裁判闘争まで粘り強く行っており、裁判では、「裁量権の逸脱、乱用したもので違法」となる判決を引き出しています。今の裁判の争点は、民営化によって、重大な損害がこどもに出るということを立証することだそうで、厳しいたたかいが求められているようです。
 最近、隣の文京区では、2年がかりで区に区立保育所を民営化しない方針を決めさせた画期的な経験が報告されました。
 千代田の提案については、答弁をみても一部ウソがある、事業者相手にこんなことできるはずはないと指摘されました。たとえば、人件費相当額を補助して、保育士の頻繁な入れ替わりを阻止すると答えているが、使い道を特定した補助金制度はできないのではないかと指摘しました。
 最後に、住民世論で民営化を止めましょうと訴えました。
 保護者などの参加者からは、「千代田の保育ビジョンを攻めると、問題が大きくなってしまい、麹町保育園の民営化問題が置き去りにされてしまうのではないか」、「事業者が保育事業以外のたとえば住宅建設、販売もやるのは、保育所に影響がありそうで不安」、「職員保育士はどう考えているのか」などの切実な質問が出されました。
 つどいは、熱心な話し合い、交流が行われ、5時前まで続きました。
 閉会にあたって、お互い情報交換しながら、がんばっていこうと励まし合いました。