学習・憲法 憲法が危ない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
憲法は国民から政府への命令書 憲法って何?と聞かれたら、あなたなら何と答えますか。国の基本的なルールを決めているものでしょうか。それとも法律の親玉でしょうか。 60年前まで、日本は天皇主権の専制国家でした。戦前の明治憲法は、全文に「臣民はこの憲法に対し永遠に従順の義務を負うべし」とあるように、天皇に国民を服従させるために書かれていました。 戦後、日本は国民が主人公の、民主主義の国になりました。憲法13条は、すべての国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とするとしています。人間の権利・自由を国家権力から守り、すべての基本的人権を保障するための国の最高の決まり、政治を行う人たちが勝手なことをしないようにするための国民から政府への命令書。それが憲法です。 男女差別、職場の自由 日本国憲法は、すべての国民は法の下に平等であること(14条)や、両性が本質的に平等であること(24条)を明記しています。女性には選挙権もなく、法的に「無能」扱いしていた明治憲法とは大違いです。 でも、現在も多くの職場で、一人前の労働者として扱われない、賃金・労働条件が男性より低い、結婚や子育てしながら働き続けることができないといった差別は残っています。憲法にいいことが書いてあっても力にならないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。たたかう時、憲法は大きな力となってきました。 66年結婚退職制は憲法違反、71年出産解雇無効、73年差別定年制は憲法違反、75年子持ちの既婚女性の解雇無効等の判決・判例は憲法がよりどころでした。 思想や組合活動を理由にした差別を許さず、職場の自由を求めたたたかいも憲法を力に勝利しました。 労働三権 労働者は企業と一対一で向かい合ったら本当に弱い存在です。企業に雇われて働くほかに生きる道がないからです。労働者が人間らしく生き働けるようになるためには、力を合わせてがんばる必要があります。 憲法28条も「団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」を保障しています。 団体交渉は権利です。不誠実な交渉や交渉拒否は禁止されています。ストライキ、団体行動も権利です。だから労働組合は刑事責任も損害賠償責任も負いません。 憲法は、労働者ががんばる時の力強い味方です。権利と自由は憲法12条にあるように、不断の努力によって生かすことができます。 勤労権 労働者が無権利だった明治時代、「賃金は会社の都合により適宜給与する」などが横行し、女性や児童も十数時間働かされています。 労働者は、長いたたかいによって一日八時間労働の国際基準などを獲得してきました。一人一人は弱い立場にある労働者は、団結することによって法律など最低労働条件を保障させ、ひどい労働条件の押し付けをやめさせたのです。 日本では憲法25条で健康で文化的な生活を保障し、労働条件の基準は法律で定めるとしました。また、27条で働く権利を保障し、労働条件の基準は法律で定めるとしました。 そして労働基準法に、人たるに値する生活を営むための労働条件の最低基準が明記されています。 不払い残業問題では、労働者、家族の告発で昨年不払い残業代238億円が全国で支払われました。これも、憲法、労基法が保障する労働者の権利が力になっています。 改憲動向 自民党の改憲試案に向けた「論点整理」(3月14日発表)では、現憲法にはない「国民の責務」を設け、「国防」「家庭保護」「社会保障制度維持のための費用負担」などを新たに規定するとしています。 国防が義務になると、これを理由に表現の自由などの権利が制限され、徴兵制の導入につながります。「社会保障制度維持のための費用負担」は、社会保障に対する国の責任の軽減が狙いです。社会保障の保険化、保険料を払わなければ給付は受けられないシステムの方公づけが強められていくことになります。 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、侵すことのできない永久の権利として保障されるべき国民の基本的人権(97条、11条)をないがしろにし、憲法を政府から国民への命令書に変えてしまおうということです。 9条改悪は誰の要求? 憲法「改正」論議の中心は、9条です。その世論調査でも多くの国民が守るべきであると考えている9条をなぜ、変えるのでしょうか。 アメリカが9条改悪を押し付けてきているのです。今まで日本にさまざまな形で協力させてきた米軍の戦争に、地球規模で自衛隊を参加させよう、その障害である9条を変えて歯止めなき海外派兵に道を開こうというのです。 また、イラク戦争で世界から孤立したアメリカにとって、日本がイギリスのように軍事行動に参加すれば、軍事介入がやりやすくなると考えているからです。 このアメリカの要求に、政府や財界は積極的に応えようとしています。「論点整理」では、9条2項を改定して自衛隊を「軍」として明確に位置付け、集団的自衛権を行使してアメリカと一緒に戦争できるようにしようとしています。 これに対して、アジアの人々から憂慮、反対の声が大きく出ています。 憲法9条が世界の目標に 戦前、天皇絶対の明治憲法のもとで、日本はアジアの国々を侵略し、2000万人以上の犠牲者を出しました。戦後、9条で戦争放棄と戦力不保持を明確に掲げたからこそ、日本はアジアの人々から一定程度の信頼を回復することができました。 9条を変えることは、アジアの人々への二度と戦争をしないという誓いを捨てることであり、戦前の過ちを繰り返す道となります。 今、9条は、世界で注目を集めています。1999年5月に開かれたハーグ世界市民会議では、「各国議会は、日本国憲法のような、政府が戦争することを禁止する決議を採択すべきである」と呼びかけました。2000年に行われたミレニアムフォーラムでは、さらに進んで戦争放棄の原則をすべての国が自国の憲法において採択しようという最終報告が出されています。 9条こそ世界が求める道です。 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する…・ 憲法25条実現度チェック! 25条に基づく健康で文化的な生活となっているのかのチェックです。 質問の解答欄の@からCまでのどれにあたるか、一つマルをつけて下さい。@は4点、Aは3点、Bは2点、Cは1点として計算し合計点を出してください。その合計点によって、今のあなたの憲法25条の実現度の目安がでます。目安表は、最後にあります。
憲法25条実現度目安表 @60点から40点 あなたは、ほぼ、健康で文化的な生活を営んでいるといえます。このまま、これまでの生活を維持して楽しい生活を送ってください。 A39点から20点 あなたは、健康で文化的な生活に欠けていますので、チェック項目の点数が低いものを改善するよう努力しましょう。 B19点以下 あなたは、健康で文化的な生活に程遠い状況ですので、すべての項目にわたって改善するよう努力しましょう。 |
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