特殊勤務手当改悪余儀なくされる
全国的に厳しい情勢の中、土・日変則勤務手当等の廃止迫られる
実施時期は、当初提案より遅らせ06年1月から


 7月26日の執行委員会で、土・日変則勤務手当等の廃止について、全国的な厳しい情勢の中で廃止提案を受け入れざるを得ないと判断しました。
 区職労は、提案以来、交渉を重ねてきました。
 その中で、以下のような主張を展開し、当局提案の撤回を求めてきました。

■特殊勤務手当についての私たちの主張
1、 特殊勤務手当について、昨年労使協議を行い、大幅に廃止・減額等の見直しをしたばかりである。見直しの実施日は、05年1月1日である。今回の土、日に勤務した場合などの変則勤務手当の廃止提案は、その矢先のことであり、当該職員は非常に困惑している。これまでの労使協議のルールでは3年ごとに見直すとした慣行がある。それを破るものであり、また、協議し合意した内容を数ヶ月で反故にすることは、労使協議の正常なあり方を覆すものであり、容認できない。
 この点に関して私たちは、労使協議で合意成立したものは、一定期間おいた後でないと提案は行わない、基本的な課題は毎年同時期に交渉することなどの明確なルールを約束するよう求めている。
2、 その上で、特殊勤務手当の内容については、改めて協議に応じていくことにしたい。その際、廃止を提案されている変則勤務手当については、以下の主張で、全くの廃止には反対である。
廃止反対の直接理由
@ 土、日は社会の休日である。土、日には家族のふれあい、団欒を行い、豊かな家庭生活をする権利がある。従って、年間を通して土、日に働かなけらればならない職員にとっては、その権利が奪われるものである。従って、土、日に労働することは、価値が高いものである。
 また、ローテーション職場は、早番や遅番など、毎日のように勤務の開始、終わりの時間が異なる。こうした勤務は職員にかなりの肉体的、精神的負担をかけるものである。こうした実態は、職員の健康悪化が他の職場に比して高いことからも明らかである。こうした変則勤務体制に対しても、他の勤務よりは、労働価値が高いものと認めなければならない。
A それによって生じたことの代償として何らかの対策が取られるべきである。変則勤務の職員は、年間を通して平日の定休を強いられる。社会的に土、日に定休を取れる人と平日にしか定休が取れない人との差を埋めることは必要である。具体的には、現行法律上、新たな手当の種類をつくることができないため、特殊勤務手当で措置すべきものである。
B ちなみに法律でも、休日勤務(週40時間を超える場合だが)の場合は、通常の賃金の135%の割増がある。また、アルバイト賃金も日曜は通常より高いところが多い。
 また、イギリスでの日曜労働は、10割増し、ドイツでは、労働協約により祝日労働が平均で13.9割増しから14.9割増しとなっており、土、日などは働くべき義務のない日に労働することに対してそれ相当の対応を取っている。
こうした私たちの態度は、決して区民に理解されないことではないと胸をはれるものである。
3、 付随する反対理由
@ 今の職員削減が進行する中、変則勤務を行っている保育園は、正規職員が減らされ、臨時・非常勤職員が配置され、かつ開業時間がながいために何種類もの勤務ローテーションを組んで保育を行っている。従って、毎日、出勤時間が変わる職員が出てくる。すれ違いの職員ばかりである。こうしたことは、職場の労働者に大変な負担や不安を与えている。それが、保育に影響を与えないとはいえない。
 こうした大変な職場にも関わらず、職員のがんばりで乗り切っているというのが、保育職場の現状である。そうした大変な状況でも、他の職場にはない変則勤務手当が出ることではげみになっていることもある。それさえも奪うのが今回の提案である。全く職場実態を考慮しない非道な提案と言わざるをえない。当該職員の悲痛な叫びがここにはあることを理解してほしい。
A 区財政が赤字経営なら、区民のために職員ががまんしなければならないという職員感情はある。しかし、区財政は、黒字である。また、地域コミュニティ活性化に名を借りた町会への交付金や江戸天下祭り、江戸開府400年事業、町名由来板設置、市街地再開発事業への公費投入などの事業に惜しげもなく税金を使っていることに対し、かつ区民からも無駄遣いと批判があるものに区財政が使われていることに職員は納得していない。以上

 交渉についての双方の主張の論点は別表の通りです。
 交渉における当局は、職場・職員の主張や実態には目をむけず、ばっさりと切り捨てる態度を崩さず、交渉になりませんでした。そうしたことを打開するために、交渉の外、要請行動や折衝を重ねましたが、埒があきませんでした。唯一、最終段階で当局が譲った点は、実施時期について、当初8月1日提案を06年1月1日としたことでした。
 こうした交渉状況のなかで、これ以上先延ばししても、状況はよくなることはなく悪くなるばかりと判断し、職員の賃金面では一歩後退二歩前進をめざし、やむを得ず、受け入れることを判断しました。
 交渉は双方がお互いの主張を考慮し、互譲の精神により成り立つものです。交渉をないがしろにし、権力を背景に自らの主張のみを押し付ける態度に当局が終始したことは、使用者としての職員に対する責務を放棄するものであり、非常に残念です。こうした態度に出ないよう、今後の交渉の都度、当局を追及していくことが求められます。
 また、区職労は、別な問題ではあるが、当該職場のおかれている実態なども明らかにし、不払い残業根絶や、休息・休憩時間の確保、育休任期付職員制度を導入することなどを求めました。
 今後、区職労は、公務員攻撃とたたかい、申し入れた課題と05賃金闘争での前進をめざして奮闘する決意です。皆さんの今後のご協力をお願いします。

特勤手当問題労使双方主張の論点
項目 当局主張(案) 組合主張(案)
前回の見直し 別途整理
【変則勤務職員特別手当】【休日勤務職員特別手当】
土・日曜日及び
ズレ勤務の特殊性
・土・日勤務やズレ勤、年末年始勤務は民間サービス業では常態化している。区民の目線に立っても土・日手当は容認されないものとなっている(新聞スクラップ参照)。
・年末年始手当は休日給の支給がある以上、給与の二重支給であり、批判が強い。
・警備職は職務の性格上、一般職員が勤務していない時間や曜日に勤務することが当然予定されている職であり、年末年始手当の支給は不要である。
・総務省の指摘は「年末年始手当・休日勤務手当等は他の手当や給料で措置されており重複している」というもので、国の人事院勧告も給料に関する勧告は民間実態を折り込んだものとなっている。
・人事院勧告・特別区人事委員会報告の双方で、特殊勤務手当のさらなる見直しを行うべきとの意見が示されている。
・土・日曜日の勤務に加えて早番・遅番等(最長3時間以上)のズレ勤務もあり、職員は不規則なローテーションを強いられている。
・サービス業の一部を除き土日勤務が常態化しているとはいえず、子育て、家族との団欒、地域社会との関わり等に与える影響は少なくない。特殊性は明らかである。
・事業等の一過性の勤務と恒常的に行われる勤務を同一に扱うことは問題である。仮に変則勤務職場以外で恒常的に土日等の勤務が行われているのであれば、直ちに改善策をとるべきである。
・民間においても休日・夜間勤務は条件がよいことは一般的である。人勧の調査は手当まで対象としているといえず、本給に含まれるという主張は受けがたい。
・年末年始は、国民感情からいっても特別な期間であり、他の休日以上に勤務従事には特殊性があると考える。
・土・日勤務やズレ勤務については勤務そのものに特殊性があるわけではなく、その勤務する曜日・時間帯が一般の勤務時間に比べて違っているだけであり、特殊勤務手当の支給対象とはならない。
・行政職・業務職等の各給料表は原則週40時間勤務で定められたもので、土・日勤務、ズレ勤務であっても、原則週40時間勤務の範囲であればそれぞれの給料の範囲である。超過勤務・休日勤務についてはそれぞれ超過勤務手当・休日給の支給をもって対応している。
 
【取締・折衝等業務手当】(組合側調査が未了のためペンディング)
業務の不健康性 ・大気汚染、騒音等の実査、調査等は健康を損なう恐れが少ないと判断した。現在の調査方法であれば、危険性は少ない。
・折衝等の困難性に着目した手当については、前回の見直しですべて削除した。
・必要な防護処置等が整備され人命に関わる事態の出現は減少したとはいえ、有毒物・ウィルス等の感染源、工事現場等の高所、工事現場等の深い場所、十分な安全柵等が設置できない箇所等への立ち入り等をしなければ業務を遂行できないという状態は何ら変わっていない。→危険・有害でるという事実は変わらない。
・現実には、危険・有害箇所への複数回の立ち入り、及び他の現場への立ち入りなどを同一日内に行うこともあり、危険・有害な場所への立ち入り回数を支給根拠にするのが妥当ではないか。