2005年賃金確定闘争での管理職への手紙
管理職の皆さんへ
特別区職員労働組合連合会
委員長 西川 雅春
千代田区職員労働組合
委員長 小林 秀治

05賃金確定交渉にあたって(お願い)

 日頃区政の第一線で区民福祉の向上に向けて、献身的に努力しご活躍されていることに敬意を表します。
 さて、管理職となられている皆さんに突然お便りを申し上げたことに、驚かれたことと思いますが、お読みいただいていることに感謝いたします。

 ご存じのとおり、区長会は現行の人事給与制度を真っ向から否定して、平成18年4月を実施時期とする「給与構造の見直し」提案を行いました。この提案内容は、管理職の皆さんにも重大な影響があると考えられますので、この提案に反対している特区連と区職労に対して、皆さんのご理解とご協力をいただきたく、お手紙をさしあげた次第です。

 区長会提案内容のポイントは、査定昇給制度と一時金(勤勉手当)への成績率の導入、特別昇格の廃止です。査定昇給と成績率は、人事考課制度による職員の評価を前提にしています。
 査定昇給制度は、現行の定期昇給と特別昇給制度を廃止・統合し、勤務成績に応じて昇給に差をつける制度です。具体的には、成績を5段階で職員を分類し、「普通」の成績であれば、現行の普通昇給となり、「評価が低い」と評価された場合は、現行制度で言えば6ヶ月延伸、12ヶ月延伸という制度となっています。
 一時金への成績率の導入は、既に管理職の方には導入されていますが、現行制度では5段階評価で、原資について「特に優秀」と「優秀」に回す分を「評価の低い」方からもって来るという方式ですが、提案では、一般職を含め全員から一定額を拠出させ、さらに評価の低い者を減額し、上位の者に配分するという方式となっており、今より差が大きくなるものです。成績が「普通」であっても、拠出する分は削減されるという内容になっています。

 勤務評定については、既に昇任時や昇給時に利用されていますが、今回提案の査定(定期評定)の重みについて、是非考えていただきたいと思っています。
 今までの勤務評定との違いは、毎年職員一人一人を相対評価方式により5段階で必ず評価しなければならないという点にあります。提案によれば5段階評価の職員数割合は基本的には各区で定めることとされていますが、このことにより、評価の低い職員(現行制度で言えば6ヶ月延伸、12ヶ月延伸)を必ず発生させることになり、普通にまじめに勤務していても定期昇給がもらえなくなることになります。

 現状でも管理職の方は、一方では区議会対応や区民対応に追われ、他方では所管事業で職員とのコミュニケーションも取らなければならないという忙しさの中で、仮に今回の提案が具体化されたら、なお一層管理職の方の負担も拡大すると推定されます。
 職員の昇給と一時金が評価如何によって大きな差が出てしまい、生涯給与に大きな影響が出る制度です。従って、軽々しく評価はできないでしょうから、心労も増大するのではと危惧しているところです。まして、抱える職員数が多ければ、適正な評価はなおさらのこと難しいと思います。

 評価される側の職員にとってみても、どのように評価されるか分からないので、戦々恐々となります。しかも、普通に働いていて、今までなかった延伸措置となったら、やりきれない思いを持つでしょうし、管理職の方への不信感が増大することにもなりかねません。

 私達は、客観的、公正な評価による一定の成績主義は否定するものではありません。しかし、相対評価による成績主義に基づく給与制度が導入されると、管理職の方も含めて職員は、「自分の評価だけを気にして利己的・自己中心的に仕事をするようになり、仕事のコツとかツボとかの技術伝承はなくなり、大胆にものを言う職員もいなくなって、文字通り職場の活力が停滞する」と最近では民間企業でも見直され、マスコミや学識経験者でも成果主義の弊害を指摘しています。
 チームワークを基本としている特別区の職場に、このような制度が安易に導入されてよいものでしょうか。利己的・自己中心的職員が増えれば、職員間の信頼関係が崩れ、ギスギスした人間関係となり、文字通りチームワークはなくなります。そして区民に対する思いやり・やさしさという気配りの余裕もなくなってしまうのではないでしょうか。 

 しかし区長会は、特別区人事委員会が勧告で「職員の理解を得ながら」、「計画的に取り組みを進めて」いくべきとしていることをも無視して、来年4月1日実施に固執しています。

 私達は特別区に働くものとして、職員が安んじて区民のために仕事が進められるよう、今回の区長会提案には反対です。区長会提案が見直されるまで、引き続き精一杯がんばっていきます。
 管理職の皆さん、ぜひとも、私達の主張にご理解とご協力を賜りたく存じます。
なお、私どもに対するご意見・ご要望がありましたら、お寄せいただければ幸いです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
 皆さんの今後のご活躍と健勝を祈念します。

2005年11月
【別紙】ご意見・要望をお願いします。       
    提出先は、各区職労宛・特区連宛、どちらでも結構です。
〒102-0072 千代田区飯田橋3−5−1東京区政会館15階
 特別区職員労働組合連合会(特区連)
 特区連メール・アドレス tokkuren@wa2.so-net.ne.jp
 千代田区職労のホームページから区職労宛にメールしてください。ホームページは「千代田区職労」で開きます。18日までにお寄せください。