07区職労定期大会における委員長の「報告と提起」
2006年12月5日
千代田区職労執行委員会

1、はじめに
時間内組合活動が制限されるなかで勤務時間外に行われる初めての大会となりました。
こうした公務員労働組合攻撃をはねのけて、組合員が団結し、権利を守り要求実現をめざしていくことが重要となっています。
今大会では、代議員のみなさんに運動方針と予算を決めていただき、新しい体制を確立することにあります。時間の制約はありますが、代議員のみなさんの活発な討論をお願いするものです。

2、経過報告
経過報告書がお手元にありますが、事前配布をしていますので、賃金闘争と職場要求闘争についてのみ報告し、あとは経過報告集での報告とします。
05給与確定と06給与確定について、報告します。
この2年間で給与制度の大きな変更がありました。一つは、給料表が細分化され、査定昇給制度が導入されたこと、二つ目は、係長級以上の勤勉手当に成績率が導入されたこと、三つ目は、国の給与制度に合わされて地域手当制度が導入され、基本給与水準が切り下げられることになったこと、四つ目は、退職手当制度が現業を差別し、管理職優遇のものに変えられたことです。また、公務員賃金を引き下げようと政治的な勧告が行われました。こうした給与制度の改悪と政治的勧告に反対してたたかいましたが、公務員を取り巻く厳しい状況の中で、06給与確定は若干押し返したものの、受け入れざるを得ないものとなりました。特に、今回の一時金の加算措置や退職手当制度の見直しは、現業にとって非常に厳しいものであったと受け止めています。今後とも、政治的な勧告を許さず、公民の較差を正確に反映する勧告を求め、給与制度の改善、特に任用制度の改善、技能主任の昇任率の確保などの重点課題の解決を求めていくことが重要となっています。また、査定昇給等のための人事評価制度の確立も急務となっています。
職場要求闘争では、300項目以上の要求を掲げて交渉を行いました。これまでの基本的な権利を確保していますが、民間委託などで職場が奪われ、人員不足など労働条件で大きな後退を余儀なくされています。前進面では、子の看護休暇の改善や、新庁舎による職場環境改善が見込めることなどです。

3、取り巻く情勢
次に、私たちを取り巻く情勢が大きく変化しています。そうした身近な情勢を明らかにして、私たちの要求が生まれてくる背景にある、政府・財界、支配者層と我々との関係が、どういう状況にあるのかを明らかにすることが求められます。
「情勢」はこのところ、いつも厳しいですが、「厳しい」の反対側には必ず、「明るい」展望があると考えます。押され気味に見える「情勢」の中にも、反撃している運動の経験、勝ち取っている運動の成果が生まれています。そこに展望を見出し、確信をもって運動できるように取り組むことが重要だと考えます。
「情勢」をこうした二つの側面から見て、「情勢」は不変ではないこと、「変革」の立場でとらえて運動していくことが重要です。
情勢の特徴ですが、まず、世界では、ラテンアメリカでの民主的な政権が誕生し、アメリカ離れが加速しています。昨日の段階でも反アメリカのベネズエラのチャべス大統領が当選しました。アメリカでもイラク戦争への批判が高まり中間選挙でブッシュが負けています。イラクはすでに内戦状態になりつつあり、アメリカの撤退がなければ収拾がつかないものとなっています。この点で日本がアメリカのイラク戦争支持が間違いであったことが明瞭となっていますが、未だにアメリカ支持を変えようとせず、外交に支障をきたしています。
国内では、日本の戦争の歴史問題、北朝鮮の核とら致問題、貧困と格差問題、教育基本法改悪といじめ問題、憲法改正を前提とした国民投票法案、防衛庁を省に格上げする法案など、国の骨格を変える動きが急を告げ、重大事態になっています。安倍首相は、戦後歴代内閣で初めて憲法を変えると発言し、日本を戦争できる国にしようと国家総動員体制に動き出しています。
また、住民税、所得税の改悪により負担増に怒った住民が多数自治体に抗議しました。今後も増税が押し付けられ、私たちの生活を圧迫しようとしています。大企業には減税で優遇しています。
一方では、サービス残業告発・支払わせる運動、偽装請負を告発し、正規従業員を勝ち取っていること、民営化が提起されている保育園を父母との共同で延期や撤回を勝ち取っている保育労働者のたたかい、サラ金のグレーゾーン金利の撤廃など、権利を守るたたかいに立ち上がり、運動が起きています。
千代田区政では、保養施設や図書館、給食調理、児童館事業などが民間委託されています。区民の求める子どもの医療費無料化の問題で、次世代育成手当なるもので対応しましたが、いよいよ23区の中で千代田だけ未実施となり、区民要望をまともに受け入れない矛盾が出ています。(この点では、第4回区議会で与党が要望するかたちで医療費無料化を拡大しています。)また、箱根千代田荘の新たな補助に見られるように、与党からも行き過ぎた官から民への対応に批判が出ています。
麹町保育園の民営化提案が区議選後にされる動きです。本来ならばすでに提案され、実施にうつされているものですが、保育園の民営化は簡単ではないとの思いがあること、区民の反応を意識して区議選後にしているようです。保育園民営化の是非を問う区議選にすることが求められます。
一方、江戸天下祭りなどのイベントには、この5年間で約5億4千万円も使っています。また、区民施策と人件費を削る中で区の積立金は、約500億円にもなっています。
職場では、人員が減っていること、パソコンでの仕事が中心となっていること、成績主義が強化され賃金に格差が持ち込まれてきていることなど、労働環境が大きく変化する中で、職員同士のコミュニケーション不足や人間関係が悪化し、「心の病」が増えています。アンケートでは、回答者の半分以上の人が「職員数が不足して大変」と答えています。千代田区の職員削減方針を止めるべきと考えている人は6割以上います。「現在病気療養中または通院中である」が組合員の1割にもなっています。
「心の病」の原因にはパワーハラスメントもありますが、アンケートでも1割近くの人が「職場にあると思っている」と答えており、かなり深刻な事態といえ、対策が必要となっています。
過重労働問題が職場の中で問題になり、超過勤務の多い人の点検が義務付けられました。昨年の超過勤務時間では、年間300時間以上が7人います。最大で700時間と答えた人がおり、過労死予備軍といえ、過重労働の緊急チェック対象といえます。「休憩時間がほとんど取れない」人も約1割近くいます。休息時間がほとんど取れない人は、実にアンケートに答えた人の半分です。年間10日以下の有給休暇取得者も1割以上います。
不払い残業も根絶されておらず、1割の人が不払いがあったと答えています。不払いの総時間は、アンケートによるだけでも年3543時間となっています。
責任や仕事量から係長になりたくない主任が多く存在します。特別昇格が廃止されて経験を積んだ主任の処遇が課題となっています。こうしたこと放置すれば区政運営に大きな影響を与えます。労働組合が改善を言い続けていくことがとても重要です。
厳しいといわれる情勢ですが、他の労働組合とも共同し、労働組合として主体的に切り開いていきたいと思います。

4、07年度の取り組みの重点
具体的な取り組みについては、今後、年に3回の行動計画を提起し、取り組みを進めます。ここでは、運動方針に示されている基本方針の賃金闘争、職場要求闘争、組織建設について提起します。
@賃金闘争
特別昇格廃止後の行政系と現業系の任用制度改善の取り組みが重要です。これは、年内に解決が求められる課題です。退職手当や一時金の加算措置が改悪されたことを受けて技能主任の昇任率について、区当局との交渉での改善を図ります。また、サービス残業をなくす取り組み、政治的勧告に反対し、民間給与の正確な実態を把握した勧告を求める取り組みを進めていきます。
A職場要求闘争
声を上げることで、流れが変わり要求が前進します。また、正当な要求は、掲げ続けることが大切だと考えます。組合員の切実な要求を集めて、粘り強く交渉していきます。07年度に向けた交渉を12月に行い、一歩でも二歩でも要求の前進をめざします。
B組織建設
これからは、黙っていても組合員が増える時代ではなくなり、努力して組合員を維持し、増やしていくことが強く求められています。そのための努力をします。
また、「要求」を実現するための主体的な力を維持・強化するため、組合員の団結強化を図り、魅力ある組合にしていきます。こうした視点から組織建設を進めていきます。
その取り組みの特徴として、一つは、組合員とのつながりをどう取り続けていくのかです。そこで、今の区職労ニュースの内容を大幅に充実し、機関誌に格上げし、発行していくこと、そして組合員に確実に届けることとします。
二つ目は、組合役員の意思統一作りです。この間、闘争委員会が機能していません。今の区職労活動は、年間を通じての取り組みを職場全体で行わないと要求の前進は期待できません。そこで、月1回の定例で、拡大執行委員会を開くこととします。これは、区職労執行部と分会・部の役員、区職労委員、職場委員に参加していただき、課題についての学習と意思統一を行います。したがって、闘争委員会と区職労委員会を兼ねるものとします。具体化にあたっては、執行部で詰めたいと思います。
最後に、学校分会や土木分会が機能していませんので、対策を講じることとします。
以上、時間の関係で報告と提起を簡潔に行いました。みなさんの討論をお願いして終わります。