メンタルヘルス・職員支援プログラム(EAP)
職員のメンタルヘルス対策で前進
EAP・職員支援プログラムサービス導入へ


12月11日、安全衛生委員会が開かれました。
議題は、@職員のメンタルヘルス対策について、A過重労働者への面接指導についてでした。
まず、職員のメンタルヘルス対策については、EAP・職員支援プログラムサービスの導入を決定しました。以下、その概略について報告します。この内容については、区職労も要求していたもので、職員課で職員の心の健康を維持するための対策として検討したものです。

1、 EAPとは
EAPとは、主にアメリカなどで普及している従業員支援プログラム・Emplyoee Assistance Programsの略称です。契約企業のメンタルヘルスやカウンセリング、心の病による休職者の復職支援など、働く人の業務能率向上を目的とした援助活動のことを指しています。
具体的には、生産性の問題を抱える業務組織や、業績に影響を与える可能性のある、従業員自身の個人的な問題を解決するために考案されたプログラムのことです。個人的な問題とは、健康問題、職場の人間関係に関する悩み、法律や金銭問題、結婚問題や家庭問題、介護問題、飲酒や麻薬問題、感情やストレスに関する問題、その他個人的な出来事などです。

2、

EAPの起源と変遷
もともとEAPは、1940年代にアメリカの企業におけるアルコール依存症や薬物依存問題への対策として考えられたプログラムでした。現在では、アルコールや薬物の問題はごく一部となり、うつ、不安障害、心身症などメンタルヘルス全般のほか、人間関係のストレス、セクハラ、パワハラ、引きこもり、仕事と生活の両立、虐待、DV、依存症、近親者の死亡等による喪失感、サバイバー症候群、摂食障害、家族問題、カード破産など対応範囲が多様化しています。
最近では、多くのEAP会社が次々と立ち上がっており、職業生活における将来設計相談に力を入れているところから、うつ病などのメンタルヘルス、復職支援などに力を入れているところなどがあります。利用する側の区は、どこに力を入れている会社が適しているのか検討が必要です。

3、

EAPサービスの内容
EAPの主な目的は、日常生活上起こりうる諸問題、ストレス、アルコール中毒、麻薬、家族問題、対人的葛藤、経済問題、法律問題等のために欠勤、事故等のほか、業務能率の低下を引き起こしている従業員に対して、専門的な援助を与えることとされています。
EAPの活動は幅広く多岐にわたっていますが、具体的なサービス内容は次のようなものです。
@ 個別カウンセリングおよび評価
個別カウンセリングを通して、どのような援助が必要か、どのような専門機関を紹介すればいいのか、医療が必要かどうかの判断など
A 危機介入
天災や事件など突発的な事故による精神的なダメージを回復するための援助やストレス対策など
B 専門機関への紹介等
各種医療機関への紹介、弁護士事務所等その他専門機関への紹介など
C 管理・監督者や従業員に対する教育や広報活動
管理監督者(管理職、組合員、人事)への専門指導や教育訓練を通して、問題を抱える社員に対するマネジメント能力を向上させ、職場環境、社員の業績・生産性の向上を図る。EAPを理解してもらうための啓発活動を実施するなど
D 家族カウンセリング
従業員の家族に対するカウンセリングなど
E ストレス・マネジメントおよび健康維持プログラム
ストレス・チェックやリラクゼーション法の実施など
F キャリアカウンセリング
個人のキャリア計画の援助、各種適性検査の実施など
G 法律及び金銭問題の相談など
多重債務や交通事故、示談等をはじめとする様々な専門相談など

4、

千代田区におけるEAPサービス
@ EAP会社は、その出自が様々です。医療機関を母体とするところ、企業の人事部門が独立したところ、個人向けのカウンセリングを行っていたところなどがあります。このことは、選択肢の多さの反面、会社ごとの得意分野の違いやサービスの組み合わせの違いにつながり、費用と効果の単純な比較を難しくさせる結果となっています。
このため、EAP会社の選定は、一般競争入札ではなく、プロポーザル方式が望ましいと考えています。そもそもEAP会社の業務は、「職員の心の問題」を扱い、「職員や組織に直接関わる」ものであることから、千代田区の風土になじむ会社を選定することが必要と考えます。
A 導入目的
業務に影響を与える可能性のある職員の個人的な問題の解決を図るとともに、メンタルヘルスケアを充実し、職員個人および組織の活力向上を図る。
B 導入するサービスの概要
職員およびその家族に対するカウンセリングサービス
職員またはその家族が抱える問題を解決するための総合的なカウンセリングサービス
必要に応じて専門機関(医療機関、弁護士等)への紹介
管理監督者、人事担当者へのサポート
問題を抱えている職員への関与の方法、職場、親族および関係機関との連絡等、問題を解決するための方法、組織の業務や生産性に関する問題解決のためのサポート
天災事変その他突発的な事故等による職員の精神的ダメージを回復するための援助、助言
ストレス診断および組織診断の実施およびこれに伴うサポート
ストレス診断の実施(年1回)及びハイリスク者に対する問題解決に向けた誘導
組織診断の実施および診断結果に応じた助言
EAP導入ガイダンスの実施
サービス内容、利用方法および個人情報の取り扱いなど、サービスの利用について必要な事項の職員に対する説明
サービスの利用に関する継続的なPR活動
復職支援プログラムの提供
メンタル不全に起因して長期に勤務を欠いた職員の復職のための支援プログラムの提供
職員、主治医、職場、人事担当者ならびに産業医の連携の援助
管理監督者研修の実施
サービス導入効果を高め、管理監督者が心の健康作りの対策を行えるようになるための管理監督者全員を対象とした研修の実施
セルフケア研修の実施
職員みずからが心の健康作りを行い、自分自身で精神的な健康を保つことができるようになるための研修の実施
サービス対象職員
定年前職員、再任用、再雇用職員
個人情報の扱い
カウンセリングサービス
カウンセリングを受けた職員はその家族の氏名、カウンセリングの内容等、個人情報については、本人が承諾した場合を除き秘密を厳守。
自傷他害の恐れがある場合等緊急やむを得ない場合は、例外的に情報提供。
ストレス診断
問診票の回収及び診断結果の通知については、個人情報がわからない方法とし、できる限り内部の職員が関与しない方法で実施。
サービス利用状況報告
少なくとも四半期に一度、カウンセリングの利用状況等について職員課へ報告。

5、

今後のスケジュール
12月15日に提案書選定結果の通知・公表を行う
サービス開始は、19年1月頃から行っていく予定。