退職手当制度改正に対する特区連の主張と当局の考え方
特区連の主張 当局の考え方
 地域手当引き上げに伴う本給引き下げの率と、本給引き下げに伴う退職手当の削減額について明確にされたい。  特別区人事委員会は、今年度の人事委員会報告において、平成22年度に地域手当の率を18%とすること、当分の間13%とし、それに伴う本給引下げ率は1%程度とすることは言及しているものの、その間の率の推移及び本給引下げの率の推移は言及していない。
 退職手当制度改正の検討に当たっては、現行の財源の範囲内で構造を見直すこととし、一定の計算により地域手当が18%(本則)の場合に現行の退職手当支給水準の5%相当が調整額の原資と考えた。
 世代間配分の見直し及び中高齢層の給与抑制を目的とした「給与カーブのフラット化」による退職手当削減額への影響について明確にされたい。  公民較差や世代間配分など現行制度においても退職手当額に影響しているものであり、今般の制度改正の検討に当たっては考慮しない。
 制度設計上、想定した退職手当が減額される人員数、増額される人員数について、年度ごとに職・級別に明らかにされたい。  
 昇任を「貢献」として評価しており、上位の職の者ほど「貢献度」が高いとして評価する制度となっている。何に対する「貢献」なのかを明らかにされたい。  調整額における貢献度とは、一定職層以上の職務において、職務上の責任を担っていることに対して評価するものである。
 ポイントと単価に基づく調整額の仕組みでは、単価の引き下げを行うことにより退職手当を抑制することが可能であり、制度的に不安定でないかと考えるがいかがか。  調整額に変更を生じる場合は、労使協議により行うものと考える。
 改正理由に「勤続年数が過度に重視」されているとあるが、退職手当支給率について既に大きな見直しが行われ、また、定年退職者に対する名誉昇給についても廃止されており、「過度」に重視した制度となっていない。  現行の退職手当制度では、勤続年数によって年功的に支給率が上昇し、また、もう一つの算定基礎である給料月額は上位級との重複があることから職責が必ずしも十分に反映されず、国や民間に比べ、過度に勤続年数が重視される結果となっていると認識している。
 勤務成績に関係なく、本給引き下げで生じる「原資」を下位の職の者から上位の職の者に配分する制度であり、管理職層に対する「お手盛り」でしかないのではないか。  今回の制度改正では、職責やキャリアを適切に評価できるように評価期間を20年としている。
 退職前20年間に担った職責を的確に退職手当に反映させ、公平な処遇を行うことを目的としたものである。
 なお、現行水準よりも増額となる層の約8割は係長及び総括係長である。
 上位の職では、本給引き下げに伴う退職手当の削減額を補填するに留まらず、退職手当の引き上げが図られている。広く区民の理解が得られるとは考えられない。  今般の改正は、職務職責に応じた貢献度をより的確に反映させる構造とするものであり、区民の理解が十分に得られるものと考えている。
 むしろ、本給引下げに伴う減額を一律に補填することこそ区民の理解が得られないものと考える。
 技能・業務系については、区政に対し「貢献していない」と断じる提案内容ではないか。  全ての職員の在職中の貢献は基本額で評価されている。
 調整額は、一定職層以上の職務において、職務上の責任を担っていることを評価する新しい制度である。
 役職者だけを優遇することから、職員の日常業務に対するモチベーションの低下をもたらたし、係長級の層に対する業務の負担を拡大させることにも繋がるのではないか。
 現業系でも同様であり、職場のチームワークを否定する提案ではないか。
 職責の差を退職手当により的確に反映させることによって、公平な処遇の実現と職員の意欲の増進に寄与することができるものと考えている。
 ポイント制とする以上、行政系では、主任主事・係長級への昇任率と昇任の仕組みの改善が必要であり、同様に技能・業務系では、技能主任及び技能長への昇任制度のあり方そのものが問われる提案内容ではないか。
 「貢献度」の設定により「区政への貢献」を求めるのであれば、職員がより「貢献」出来る制度が必要であり、任用制度の改善により対応することが必要ではないか。
 退職手当制度の改正を理由として任用制度を改正する必要はないと考えている。
 最終給料月額が業績評価を元に確定されているにも関わらず、退職手当の支給額に職に対する「貢献度」として二重の業績評価を行うものであり、給与の後払いとしての退職手当制度を否定するものではないか。  全ての職員の在職中の貢献は基本額で評価されている。
 調整額は、一定職層以上の職務において、職務上の責任を担っていることを評価する新しい制度である。
 育児休業等の休職期間については、退職手当から一定の除算が行われていることからも、退職手当制度は在職に対する「貢献」の評価である。特別区職員として特別区行政に携わることそのものを、「貢献度」として評価すべきではないか。
 地域手当の本給繰り入れを直ちに実施すべきではないか。  地域手当の本給繰り入れは困難である。
 給与本体の引き下げにより職員一人ひとりの共済掛金が緩和されるとの主張もあるが、共済掛金が引き下がることにより、結局は年金の受取額が引き下がるとともに、共済制度の破綻につながるのではないか。年金一元化に向けても、地域手当の扱いを明確にする必要ではないか。  
 休職期間の取り扱いについて、少子化対策の充実に向けた、育児休業の取得による退職手当額への減額措置を廃止すべきである。  国制度と同様の改正を行う。
 基本額の算出方法の特例については、基本的に管理職に対する補償措置であり、不要ではないか。  全ての職員に対する措置であり、国制度と同様の改正を行う。