2006年度区職労運動方針(一年間の総括と取り組み方針)
「総人件費削減・給与構造見直し」攻撃、成果主義型人事管理と公共性無視・住民サービス低下の民営化などの「構造改革」路線に反対し、職員と住民の生活を守るための自治体を求め自治体労働者の役割を発揮していこう

憲法9条を守り、戦争する国にさせない運動をすすめよう

◆はじめに
 2006年度の区職労定期大会を12月6日に開催します。
 その定期大会に提起する運動方針案を以下に示します。
 今回の運動方針案は、若干の総括を行い、激動する情勢をとらえ、かつ「要求で団結し、その要求の前進をめざす」という労働組合の原点を踏まえつつ、どう取り組んでいくのか提起しています。
 2006年度区職労運動方針の特徴は、最近の情勢を踏まえ、3つの章に整理し、記述しています。
 向こう1年間の区職労運動の目標と課題については、事前協議の徹底、職場要求の取り組み、憲法を守る取り組みなど、9つを掲げて取り組みを進めることにしています。

 情勢の特徴については、私たち職員の身近な情勢から国内外の情勢の特徴を分析し記述しました。
 特に、アンケート結果による職員と職場の実態分析、区政分析を職員の立場から行っています。また、憲法を敵視し、福祉を削り、人権を無視する石原都政の分析も行っています。
 小泉「構造改革」問題では、弱肉強食のルールなき社会づくりがすすみ、社会保障の切り下げと消費税などの増税を平気で行おうとしていることを指摘しています。 
平和の課題では、憲法9条改悪のスケジュールが進行していることを指摘し、日本を戦争する国にさせない取り組みが重要だと分析しています。

 第3章では、一年を簡単に振り返り、総括し教訓を引き出しています。
課題については、組合員の生活と権利を守る取り組み、賃金不払い残業をなくす取り組み、労働時間短縮の取り組み、職場の民主化の課題、「NPM行革」に反対する取り組み、憲法9条を守る取り組みなど21項目を掲げて、具体的に取り組む方針を提起しています。

◆第1章 1年間の区職労運動の基本目標と課題について

 1年間(2005年12月から2006年11月)の区職労運動の基本目標と課題は、以下の通りとし、その実現と前進をめざして奮闘します。
1、 「総人件費削減・給与構造の見直し」、成果主義型人事管理に反対します。
2、 憲法9条を守り、戦争する国にさせない運動をすすめます。
3、 職員の労働条件に関わるすべての案件については、地公法に基づいた交渉、事前協議の徹底、民主的原則に立った交渉を行うことを強く求めます。
4、 職員の権利と労働条件の改悪に反対し、06職場要求の前進めざします。
5、 公共性を無視し、住民サービスを低下させる千代田区の「NPM型行革」・「構造改革」路線に反対し、住民の生活と権利を擁護するとともに、住民との共闘を追求します。
6、 職員同士のコミュニケーションが十分に取れ、仲間を大切にする職場環境づくりをめざします。
7、 社会保障制度の充実、増税反対、労働法制の改悪を許さないたたかいを進めます。
8、 道理と要求を貫き、自治体と自治体労働者の役割発揮を求める区職労運動をすすめます。
9、 区職労の組織強化方針の具体化を図ります。

■自治体の役割
 自治体は、主権者としての住民の生活と権利を守り、住民福祉の向上のための役割があり、公共性、平等性、公平性、継続性、安定性の確保が必要とされる。

■自治体労働者の役割
 自治体労働者は、住民のために、行政の専門知識を発揮し、住民の生活と権利を擁護し、地方自治の本旨に基づく住民のための民主的自治体の確立に関わっていく役割がある。

■道理
人の行うべき正しい筋道ということである。自治体労働運動として、筋を通し当局に対し、おかしいものはダメと主張する組合を継続していくことが今日重要となっているといえる。

■「総人件費削減・給与構造の見直し」
 情勢の項に詳しく記載しているが、「総人件費削減・給与構造の見直し」は、国・人事院に始まり、全国に先駆けて、東京都と特別区で提案されているものである。おおもとは、小泉「構造改革」の一環で公務員を悪者にし、その人件費を下げることを目的としたものである。

◆第2章 組合員を取り巻く激動する情勢と闘いの方向について


情勢分析については、組合員に身近な情勢を中心に分析し記述し、私たちの取るべき方向性を示唆するものとしています。
1、 組合員の生活と職場をめぐる状況について
(1)激しくなる「総人件費削減」攻撃
@ 「総人件費削減」攻撃の仕掛け人は政財界
「総人件費削減」とは、公務員の給与と人員の両面の削減です。
05年1月、奥田日本経団連会長が「地方公務員の水準は見直さなければならない」と発言し、経済財政諮問会議では、本間正明大阪大学教授などと公務員削減を提案しています。これを受けて、竹中大臣が「小さな政府をめざす観点から、国と地方の公務員の人件費について、総額で削減する努力が必要だ」と発言したことから削減攻撃が始まりました。
1) 地域給導入、能力・成果主義賃金、「査定」賃金導入など、給与構造を改悪し給与削減を行う、2)20万人純減をめざす「新地方行革指針」で人員削減を徹底して行うなどを実行することで、地方公務員の総人件費削減をしようとしています。
A 公務員を悪者にした「総人件費削減」攻撃
大きな視点では、「官から民へ」の「構造改革」路線に沿って、「総人件費削減」攻撃が行われ、公務員を悪者にし、「構造改革」を進めるものとなっています。
まさに、先の総選挙は、郵政民営化が争点にさせられ、公務員を悪者にした大々的なキャンペーンが行われました。
また、「総人件費削減」は、「赤字財政の解消をめざす」、「地方財政の圧縮」をめざすとし、消費税増税などの国民負担を進めるための「露払い」の役割をもたされています。
公務員の総人件費削減と消費税増税などの国民負担増を天秤にかけて、国民と公務員の分断をねらったものです。
このしかけにはまると、公務員の削減で国民サービスは一層低下し、かつ、国民負担増もさせられ、何一つよいことはありません。
B 公務員数、人件費ともに実現している「小さな政府」
日本の公務員数は多すぎると思っている国民は、比較的多くいます。でも、これは誤解に基づくものです。
公務員減らしをすすめようと言う政府の資料でさえ、人口千人当たりの公務員数は、フランス96人、アメリカ80人、イギリス73人、ドイツ58人、そして日本はたったの35人です。
人件費のGDP(国民総生産)比率でもこの中の最低です。
公務員数、人件費でみれば、既に日本は、「小さな政府」になっているのです。このことを大いに宣伝することが重要です。

(2)公務員給与減らすねらいの政治的な勧告
@ 「マイナス勧告」で48000円の年収減
 特別区人事委員会は、10月14日、給与等の「勧告」を行いました。「勧告」は、特別区職員給与が民間給与を4191円(0・97%)上回るとし、月例給引き下げの「マイナス勧告」としただけでなく、配偶者等の扶養手当を1000円削減し、14700円としました。一時金は、国と同様0・05月増の年間4・45月にとどめました。特別区の「マイナス勧告」は、人事院0.36%、都人事委員会0.85%の勧告を上回るものです。
 2年ぶりのマイナス「勧告」となったことについて、国や都より引き下げ幅が上回るものであること、05春闘結果からみてもなぜ、特別区の民間給与の平均が区職員給与平均より低いのか納得できるものではありません。年間平均給与でマイナス48000円となるもので、区職員の大都市における生活実態をかえりみない不当なものであり、かつ公務員給与を引き下げようとする国・人事院に追随する政治的なものといえます。
A 「給与構造の改革」で給与水準引き下げねらう
 「給与構造の改革」については、「これまでの年功的な給与上昇を抑制し、能力・業績及び職責に応じた適切な給与制度へと抜本的に改革していかなければならない」とし、1)職責に見合う給与水準の設定と昇格制度、2)業績に連動する給料表と昇給、手当制度、3)国、他の地方公共団体、民間企業の給与との均衡、の観点から見直しを行う必要があるとしています。
 その基本的方向は、地域給を除き人事院勧告と同様の「改革の方向」を打ち出し、具体的には職務・職責及び業績をより的確に反映するための普通昇給と特別昇給との統合や一般職員の勤勉手当への成績率導入、職務給の観点による枠外昇給制度や級格付制度の廃止に向けた検討を提起しています。
これらの内容は、地方公務員給与を決める原則である地公法24条の「生計費原則」を全く考慮していないのが特徴です。
 給料表や給与の構造を考える場合、生計費の保障を基本とすべきです。特別区の給与制度は、国のキャリア制度と違い、職員を採用時の区分で昇任・昇格の差別をせず、職員の働く意欲とチームワークを生かす積極的な面をもつもので、これを崩す今回の「改革の方向」は容認できないものです。
 「勧告」の内容が職員の生活に大きな影響をもたらすこと、「特別区人事委員会が職員の利益保護等を目的としている」にも関わらず、職員の生活を守る立場に立てていないことからみても、05「区勧告」を容認できるものではありません。
 今「勧告」による給与水準の低下が、地域の勤労者全体の賃金水準の低下につながり、ひいては地方財政にも大きな影響を与えるという賃下げサイクルに大きな影響を与えることからも重大な問題があります。
 以上のことから「勧告」にとらわれず、職員の生活を守る立場での05年秋期年末闘争の解決をめざし、区当局と区長会の攻撃を撥ね返すため全力を挙げてたたかうことが、求められています。

(3)全面的な「給与構造の見直し」をねらう区長会
@ 不当な勧告を更に上回る給与水準の改悪をねらう区長会
区長会は、10月20日、特区連に対し、「給与構造改革」勧告を反映した「人事・給与制度の改正(骨子案)」等を提案しました。その内容は、制度全般にわたるもので、能力・業績型賃金を強化し、職員の賃金水準を大幅に低下させるものです。
2005年10月末段階での区長会の考え方は、1)賃金改定については勧告を大変重く受け止めている。2)05年の給与改定を取り巻く状況は大変厳しいものがあると考えている。3)特別給について、勤勉手当の割合を見直すこと、勤勉手当について一般職員の成績率を導入したい。4)給与構造改革について、2006年4月から適用すべき4分割した給料表へ改定するよう勧告がされていること、年功的な給与上昇を抑え、能力・業績、職責に応じた給与制度へ改革していくこと、給与カーブのフラット化に言及されている勧告に基づき、年功的要素を縮小し、職員の能力・業績、職責を反映した新たな人事・給与制度の構築を急ぐ必要があると考えているとしています。
A 査定昇給・成績率の導入、級格付けの廃止を提案
人事・給与制度の改正について(骨子案)の内容は、1)すべての給料表について、現行の号給を4分割する。2)昇給・昇格制度の見直しでは、普通昇給と特別昇給を統合し、勤務成績に応じた昇給区分を5段階とする昇給制度にする。昇給区分は5段階とする。3)昇給の時期を年1回に統一し、昇給のための勤務成績判定期間は、1年間とする。4)枠外昇給制度を廃止する。5)昇格時の号給について、昇格前の給与月額に一定額を加算した額を基礎とする給料月額になるような決定方法に改める。6)給与の級格付け基準を廃止する。7)実施日は、2006年4月1日とする。
8)調整手当に替え、地域手当を導入する。9)勤勉手当に一般職の成績率を導入する。
成績率の段階は5段階とするなど、昇給・昇格制度、勤勉手当の全面的な改悪となっています。
 なお、東京都は、1)査定昇給制度を導入する、2)級格付けは廃止し、既格付け者は前に戻す、3)一時金加算措置について、主任主事を5%から2%に引き下げる案を提示しました。

(4)賃金不払い残業は犯罪という認識に欠ける区当局
ここ2、3年国の指導もあり、告発のあった民間会社などでは、未払いであった残業代(2004年度で約226億円)が支払われてきています。
しかし、自治体職場では、賃金不払い残業は違法であり犯罪であるという認識に欠け、残業代未払いがまかり通っています。
区職労の調査でも、超過勤務時間の最大で年間900時間行っている職員がいますし、超過勤務が多い職場が存在しています。これは過労死予備軍であり、即区当局の改善に向けた対応が求められます。
その中で、昨年不払い残業があったと答えた人が26.6%おり、昨年の不払い超過勤務時間の総数は、82人で、3737.95時間となっています。アンケートに答えた職員以外にも不払い残業が存在すると思われます。こうした具体的な不払い残業の申告について、区当局に事実調査を要求し、改善を求めていく取り組みが重要です。

「予算がなくなったから手当がつけられない」「月内何時間まで」とか暗黙に実施している部・課が依然存在しています。区当局は、「超勤したものはつける」と公式に回答していますが、現実は、予算が十分ないことを理由に超勤手当の支払いをしていない職場がいくつかあります。
超過勤務を行った以上は、その時間について、超過勤務手当を支払うべき義務は当局に発生します。予算がないことを理由に超過勤務手当の支払いを拒否することはできません。(東京高裁判決昭和44.2.13)「予算上の制約」は、労働者に超過勤務手当を支払わない根拠づけとはならず、当局には速やかに補正予算等予算上の措置を講ずる義務が生じます。
 超過勤務手当の不払いは、違法かつ犯罪であり、厳しく追求することが必要です。こうしたことを許さないためにも、所属長による超勤の把握をきちんと行わせ、支払わせていくことを追求していくことが重要です。さらに、不払い残業根絶キャンペーンも行い、当局を追求していくことが必要です。

(5)新規採用をさぼり続け、今後240名の職員削減に固執する区当局
@ 新規採用の抑制は今後の区政運営に重大な影響をもたらす
2006年の新規採用について、多くの職員は10人以上を求めています。
「改定区行革大綱・総人件費の削減」では、平成18年度までに300人削減するとしていた方針を修正し、平成17年度から平成21年度までに職員数の概ね2割240名の削減をめざすとし、更なる職員削減を続けようとしています。
そのために新規採用を行わない方針を続けていましたが、私たちの要求や区民の声もあり、06年度は4年ぶりに新規採用が行われることになりました。しかし、採用数は、わずかに数人程度となっています。区職労は、退職者数に見合った数や職種を取るよう引き続き要求しています。
職員採用の抑制では、1)職員が減っていることにより過重労働が強まる、2)新規職員が職場に配属されないため、職員の世代間のバランスが崩れ、活性化が図れないなど、職場運営に影響を与えます。新規採用抑制は、今後の区政運営に深刻な支障をきたすことが明らかであり、職員削減を重視するあまり将来の区政運営を危うくする(人材育成の中断や職場の不活性化など)重大な誤りです。
引き続き、新規採用、退職者補充、職場運営や職員の生命の危険や健康に影響を及ぼす職員削減に断固反対していくことが重要です。
A 職場では職員数削減で権利行使が厳しい状況に
職員数やその配置については、05要求・生活実態アンケートから職員の思いが伝わってきます。
現所属の職員配置状況について、「職員数が不足して大変」と思っている人が36・7%います。「大変だが現状で何とかこなしている」が43・5%あります。こうした状況をみるとこれ以上の職員数削減は、職場で受け入れがたいということです。「行革大綱」に基づく職員削減を中止し、新規採用が求められます。

有給休暇取得日数については、0日から5日しか取得していない職員が18・0%もいます。個人のせいではなく、職場事情でとれないものと思われ、改善が求められます。平均取得日数は、14・39日で、昨年よりも取得日数が減っています。特別区の平均15.5日(2004年)と比べると千代田区の方が取得状況は悪くなっています。
職場での人員不足、業務量の増で休みにくくなっているといえます。職種別でみると、0日から5日では、福祉が目立ちます。以前から指摘されている保育園の取得日数が少ないのが原因でしょう。
こうしたことからも新規採用、職員削減の中止が強く求められます。

(6)メンタルヘルス対策は人権を基本とし余裕のある人員配置で
05要求・生活実態アンケートでの健康状態について、「現在治療中」が20.4%もいます。また、「健康に不安がある」人は、43.1%います。統計として取ってはいませんが、職場からの報告を聞くと「心の病」が増えています。
メンタルヘルス問題への対応は、人事院や人事委員会勧告の中でも強調されています。
メンタルヘルスの原因は、最近の調査では長時間過密労働が大きく影響しているといわれています。
また、競争をあおる成果主義型賃金の導入も影響があると言われています。いち早く業績評価が導入された東京都では、30日以上の病気休業者のうち「心の病」による者が46%を超えています。成果主義賃金が広がる民間企業でも、「心の病」が30代を中心に深刻化しています。
さらに、適正にあわない人事異動や職場運営のなかでの上司の不適切な指示などが「心の病」の原因にもなります。
「心の病」に対する当局の認識、公務災害認定を行うところの認識は、本人の責任にしています。また、病気になった本人も、病気を自分の責任にしてしまいがちです。「病気のせいで、仕事についていけない。みんなに迷惑をかけてしまう。健康管理を怠った自分が悪い」と思ってしまうことが多いです。ところが、本当は長時間の勤務でメンタルヘルスが悪化し、体の不調が起きているのです。原因と結果を逆立ちして考えてしまうわけです。最終的な行き着く先は、自殺です。
この逆立ちした認識を正常な認識にひっくり返すところから、職場のメンタルヘルス対策の第一歩が始まります。
メンタルヘルスの対策の土台は、「ストレスへの気づき」をはじめとしたセルフケアで、旧労働省の「指針」にも強調されており、職員への知識普及が求められます。
具体的には、職員個人の努力任せにせず、長時間過密労働の解消、メンタルヘルスへの理解を深める対策など、積極的な対応が求められています。

(7)能力・成果主義型賃金、「査定」賃金で職員の差別化すすむ
区長会が「査定昇給」や勤勉手当への成績率導入を提案し、また、評価制度を確立し一層の能力・成果主義型賃金を強化しようとしており、05賃金確定闘争は、重大な事態になっています。
このねらいは、「総人件費削減」と人事評価制度により、賃金加算を競わせるものです。しかし、民間企業でも導入後、「人が人を評価する難しさ」などの問題が発生し見直しをしています。
@ 民間では能力・成果主義による評価制度の破綻や見直しが行われている
能力・成果主義による評価制度は、民間で破綻や見直しが行われているように、1)労働者の働く意欲の向上は思うように期待できない、2)失敗を恐れ、チャレンジ精神が減退する、3)職場の団結、チームワークを阻害するみな競争相手なので、後継者を育てる土壌ができない。つまり、仕事の継承を断ち切ることになる、4)個別労使関係に持ち込み労働者一人一人にするもので、労働組合の役割を低下させ、不当労働行為に近いものとなる、5)ひいては、自治体のモラルハザードを引き起こすものとなる、などの基本的な問題点を抱えています。能力・成果主義による評価制度を強化することは、あえて民間の後を追っていくという学習のなさを露呈しているものと言わざるを得ません。
人事院でさえ、今まで実施してこなかったことについて、「成果が数字に表れにくい公務の特性やチームワークが重視される職場風土の下で職員を評価するシステムや技法が十分に定着していない」といっています。
A 公務職場への能力・成果主義型賃金の強化は公務の特性を無視するもの
公務職場は、「全体の奉仕者」として公正、中立、安定、継続性、組織的な業務遂行が求められています。また、専門性もこうした集団の中で育成、形成されていきます。
能力・成果主義型賃金の本格的な導入は、憲法の「全体の奉仕者」としての公務員制度をゆがめ、「権力」に忠実で「モノ言わぬ公務員」づくりをすすめ、職場の効率性も損なうものとなります。
B 人事評価制度は確立されていない
評価制度の確立・強化が区勧告で報告されています。そのねらいは、新たに「査定」賃金制度を導入しようとしていることです。人事評価制度が確立されていない現在では、大きな問題があります。
評価制度導入の目的をはじめ、「評価基準」、「評価方法」、「評価結果」、「賃金の査定」に対し、客観性、合理性、公平性、透明性、納得性は完全に確保され、評価を受けるものの権利の確保、評価を行うものの十分な研修や点検体制の確保などが最低限求められます。そこでは、職員の納得と理解、合意、そして労働組合の関与が不可欠です。
「査定賃金」は、賃金・労働条件そのものであり、労使交渉・労使合意が不可欠です。
以上のように能力・成果主義型賃金、「査定」賃金は、評価制度に信頼がないもとでは導入すべきではありません。
C 人事考課制度に対する職員の見方
自己申告制度について、「職員の仕事の向上につながるような面接が行われていない」と感じている人が27.2%もいます。
また、定期評定制度について、「恣意的に実施されている」と思っている人が15.6%います。
所属長の面接内容をチェックし、職員の意欲を低下させるような発言を行わせないこと、
定期評定についての結果の本人開示制度の実施が急務です。

(8)公平な昇任、昇格、昇給選考を求める職員
@ 主任主事、係長、総括係長選考の改善求められている
区職労アンケートによる主任主事・係長・総括係長・技能主任選考について、「恣意的な選考になっている」、「評価されるべき人が評価されていない」との印象をもっている職員が一定の割合でいます。
成績特別昇給制度について、「恣意的に実施されていると思う」、「まじめに働いていても特別昇給がない」、「特定の人に昇給が与えられている」、「実施基準が不明確である」とアンケート結果では多数の職員が問題があると思っています。
主任主事選考は、当局が対象者の減少を理由に、ここ数年、昇任率について最大20%のところ、15%以下に引き下げようとしています。
また、係長選考についても、組織全体を縮小しようとする方針(「改定行革大綱」では30ポスト削減)や主査を置かない傾向、総職員数・人件費削減方針などのもと、昇任率・昇任者数を押さえています。従って、多くの職員が係長選考対象者として残っている現状で、昇任率が低いことや係長の職責をこなすのに大変になっていることなどが原因で、職員のやる気を失わせる要因にもなっており、受験者数が大幅に減少しています。
総括係長選考は、区職労要求も反映し、申込み制になりましたが、恣意的な選考をなくし、職員の実績、経験、周囲の評価など、客観的な選考を求める声は、強くあります。
そうした中、マイナス賃金が続くなかで、ひとりでも多くの人の賃金水準がアップするようめざし、主任主事選考昇任率の大幅な引き下げ反対、主査制の拡充や係長昇任者数の増加の対応を強く求めていくことが重要となっています。
A 技能主任選考の公平な実施が求められる
昨年度はじめて、技能系人事制度が決まったことにより、技能主任選考が行われました。
その結果、以下の意見が出ています。
1) 何について採点の比重が置かれているのか不明である。受験者のなかには作文の制限字数が足りなくても合格している。勤務評定が重視されるのか?結果についての本人開示がぜひ必要である。
2) 昇格と同時に昇任もしている者がいる。昇格と昇任のダブル付与は、絶対避けてほしい。他の対象者の枠を狭めてしまう。
3) 管理職からの選考受験の強制がある。たとえば、受験しないと再任用されなくなるというような脅迫がある。こうしたことは、絶対なくしてほしい。
以上のような意見とあわせて、区職労が「昨年度新3級にわたっている人は給与上の処遇をすでに受けているので受験を見合わせてほしい」としたことについて、徹底されなかったことに批判があります。
交渉で多くの人が新3級へ行けるよう追求し、経過措置期間中の昇任率を守ること、恣意的でなく、公平な選考を行うよう求めていくことが重要です。
B 「査定昇給」の導入を提案
区長会は、特別昇給制度については、普通昇給と統合し、4分割給料表を新たにつくり、「査定昇給」とする提案をしています。
「査定昇給」について、昇給幅、分布率を各区でバラバラにするということは、給与の統一交渉のルールが否定されることで認められるものではありません。また、恣意的にわたらず、客観性を担保して、一人一人の業績を相対評価すること事態が公務職場では無理であると言わざるを得ません。
また、給料表の年齢の高い部分の給料水準の引き下げをねらい、昇給停止制度を廃止するとしています。
昇給の実施率の引き上げ、昇給停止者への成績特別昇給実施や一般職員への成績特別昇給を公正・公平に行うよう求めていくこと、広く昇給効果を期待するために、特に2年連続での成績特別昇給は行わないよう求めていくことが必要です。
C 給与制度の重要な部分である級格付の廃止を提案
特別区人事委員会勧告では、特別昇格制度(級格付)の廃止について「検討が必要」としていますが、区長会は、10月20日に職責に基づく給与制度にするとして廃止を提案しました。
昨年、労使協議を尽くして合意された人事・給与制度があり、かつ経過措置期間中でもあり、その最中に、合意した制度の根幹を崩す提案をすること事態、言語道断である内容です。
 誰もが退職までに行政系では6級、現業系では新3級に到達できる制度運用が行われるよう、年齢による生活実態と在職年数(経験)による職務の責任の度合いに見合う処遇の実現こそ求められています。行政系6級到達には係長歴が必要ですが、係長選考有資格者の増大のもとで昇任率は低く、非常に狭き門となっているのが実態であり、男女間の格差もあります。特に、長期係長選考の昇任率の改善は急務となっています。また、現業系は、昇格にあたって不公平な追い越しがなく、公平な実施を求めて行くことが重要です。。
賃金制度の重要な部分になっている特別昇格制度を廃止することなく、統一交渉で合意した昇格率を誠実に履行することを強く求めていくことが重要です。
D 昇任、昇格、昇給結果に対する「本人開示」が求められている
区当局は、「改定行革大綱」のなかでも、強い姿勢で、成果主義による人事考課制度を適用しようとし、その結果を昇任選考等に利用しています。こうした、科学的に確立しておらず、問題のある成果主義による人事考課制度を見直すように求めると同時に、当面は、恣意的な選考や評定を抑制するためにも「結果の本人開示」や「苦情相談制度」の新設するよう強く求めてい区ことが重要です。
そうした中で、区当局は、職員の声にすぐに応える姿勢を示さず、一時金への成績率導入など、一層の成果主義が強化されたもとで「本人開示」制度を導入する姿勢をみせています。

(9)法に基づく福利厚生制度崩しの攻撃強まる
 総務省は行革新指針(2005年3月)で、福利厚生事業について、「住民の理解が得られるものとなるよう、点検・見直しを行い、適正に事業を実施すること」を求めています。こうした攻撃は、公務員攻撃の一環の中で行われているものです。
 職員の福利厚生制度は、地方公務員法第42条で「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない」と雇用主責任を明確に規定しています。特別区では、職員住居援助施策など法定外福利事業では民間企業と比較すると依然として遅れている部分があり、その充実に向けた努力こそ必要となっています。
特別区互助組合について、その存続も含めて今区長会で検討されていますが、廃止を主張する区長などもおり、使用者負担割合をどうするのか定まらず、重大な局面となっています。今後、特別区互助会の見直し結果にもとづく互助会事業の見直しも迫られています。
 05要求・生活実態アンケートでは、カフェテリアプランについて、圧倒的に残すべきであると答えています。また、互助会の公費負担について、「公費負担は当然である」と考えている人が34.7%います。「互助会事業について、公費負担が適当であるものとそうでないものとに分けるべきである」と考えている人が40.8%います。
最近の公務員バッシングの中で、互助会等に対する公費負担が問題にされています。公費負担はとんでもないとの風潮がありますが、公務員の人権の立場からも地公法42条に基づき適正な公費負担を行うことこそ必要です。職員住宅を減少させないことや互助会の当局負担を大幅に削減しないこと、カフェテリアプランを廃止しないことなどを要求していくことが必要となっています。

(10)効果期待ウスな次世代育成支援
「職員が子どもを産み育てられる環境とは」を真剣に考えようとしない区当局
 次世代育成支援対策推進法が制定されたことから、「地域の行動計画」と「特定事業主行動計画」の策定が義務付られ、昨年度計画をつくりました。「特定事業主行動計画」(区当局)策定にあたっては、当局が職員にアンケートを取り作成しました。区職労は、職員が安心して子育てができる職場環境を整えるよう区当局に要求しましたが、肝心な点が抜け落ちたものとなっています。
区当局は、数値目標も出し、取り組みを行うとしていますが、そもそも、育児休業を取り易い環境をどうつくるか、職員が結婚し、子どもを産みやすい環境をどう作るかが問題なのに、根本的な対策を行うことをしていません。こんなことでは、民間会社に次世代育成支援を説いてもついてくるはずがありません。
根本的な対策とは、職員数を減らさず、安心して育休代替職員を確保すること、育休職員を賃金や昇任・昇格で差別しないことのはずですが、区の施策はこの方向と逆行しています。
今回の特別区人事委員会の勧告で扶養手当を削減したことは、次世代育成支援対策に逆行しています。
次世代育成支援のために、代替措置や休業手当保障のある育児休業制度の確立、育児時間の改善などが早急に求められます。

2、

「NPM型行革」・「構造改革」路線を進める千代田区政
(1)「公務員の厚遇問題」で職員攻撃する区長
 2005年6月区議会で、千代田区長は、「公務員の厚遇問題」と題して、職員攻撃を行いました。
@ 平成13年4月1日対比で約200名の職員を削減し、予算額で約20億円の人件費削減を達成。今後も、平成17年度からの5年間で、総職員数の概ね2割(*200人以上)の職員削減を行う。
A 特殊勤務手当について、昨年度、滞納整理等外勤業務手当などの手当を廃止した。さらに、区民の目線に立った不断の見直しが必要であるとの考えから、土・日等に勤務した場合に支給される手当など4手当の廃止を決定し、職員団体に改正提案を行った。
B 職員互助会事業については、納税者である区民の目線で考える視点のもと、互助会評議員会で、各種事業を廃止または縮小した。全ての見直しが完了するまでの間、暫定的な措置として、本年度、区から受ける予定であった公費補助約3,500万円を全額返上することを決定したとの報告を受けている。
C 職員への被服貸与について、徹底した精査を行い、被服貸与規程の全面的な見直しを行った。
D 区の行う全事業について、その運営に、利用者一人当たりいくらかかり、税金がいくら投入されているかを分析し、事務事業の改善を図るとともに、全コストを公表している。
 コスト情報の共有化等を通じて、人件費をはじめとする経常的経費の削減、施策や事業の選択と集中、限りある経営資源の効率的・効果的な活用に努めていくなどと、発言しました。
 これは、今の公務員攻撃に便乗した職員攻撃であり、納得できないものです。

(2)「人財集団論」を背景に、進める区政運営
 千代田区政は、「小泉構造改革」に沿って「NPM型行革」を進め、PFIによる施設建設・管理委託、指定管理者制度などを使い更なる公共業務の民営化、職員数の減・人件費減らしを行っています。
千代田区政は、相変わらず、トップダウンで行政が行われ、区民や職員の声が通っていません。この背景には、役に立つ職員は1割のみという「人財集団論」という考え方がトップにあり、行政運営を行っているからといえます。
業務の民営化等も今後、「改定行革大綱」に基づき、学校・保育園給食の民営化の完成、保育園、児童館・学童クラブ等民営化や民間委譲など、子どもに関わる施設、業務を営利企業に肩代わりさせようとしています。 
一方では、ゼネコンの経済活動を支援するための「都市再生」政策を受け入れ、超高層ビル建設や大規模建設計画を容認し、その結果、千代田の街壊しが進んでいると指摘されています。
区民や職員のためにならない千代田区の「構造改革」路線に反対し、区政の民主化が求められているといえます。

■人財集団論
 人財集団論とは、社員は、「人財」(会社のためになる優秀な人)、「人材」(平均レベルの人)、「人在」(ただいるだけの人)、「人罪」(その人がいるだけで会社にとって罪な人)の四つに分けられるとのことである。これは、まさに労働者の分断統治といえます。このような方針が、露骨に上層部から示された下では、少数派より多数派、現場より上層部への迎合を自らの意思とは関係なく選択することを求められ、結果として労働者の意識の歪みを進行させ、会社全体を危うくするものであるといえる。
 JR西日本の大事故の影に「人財集団論」があったと指摘されている。

(3)民に公務を明け渡すPFI、指定管理者制度、市場化テスト
@ PFI事業の財政負担は長期的にみると問題あり
PFI事業は、「民間企業の利潤追求本位で効率性を求めるため、環境対策や周辺住民に対する配慮がおろそかになるのではないか」、「事業が破綻したり、赤字になった場合、企業が責任を取らず、国・自治体がリスクを負担するのではないか」、「運営における事故やトラブル対処の責任があいまいになるのでないか」、「経費を長期的にみると国や自治体が管理するより高くなるのではないか」、「施設建設に住民の意見が反映されにくい」などの問題があることが指摘されています。
千代田区でも現在建設中の新庁舎がPFI事業とされ、国との合築のせいもあるが、計画に対する要望が通りにくかったといえます。今後は、小学校、こども園が入る富士見計画などがPFIで計画されています。財政上、公共施設運営上の観点から、PFIの問題点を明らかにし、追求していくことが求められます。
A 指定管理者制度を使い公共施設の管理運営を委託
新地方自治法第244条の2第3項では「法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの」(指定管理者)に「公の施設」の管理を行わせることが規制緩和としてできるようになりました。指定管理者には、株式会社、営利法人、NPOにも開放しました。また、単なる業務の委託ではなく「管理」と称して施設全体の維持・管理や行政処分など、これまで自治体が行っていた業務まで任せるようになります。
千代田区でも内幸町ホールをはじめとして指定管理者制度を使っています。
 いったん営利企業に任せてしまえば、利潤追求のために利用料金が上がったり、サービスが低下したりすると予測されます。さらに、これまで受託していた団体の解散・整理による職員のリストラなど重大な問題が出てきます。従って、できるだけ直営を維持し、また、これまでの公的な団体への指定委託を確保すること、公共性の確保が強く求められる保育園や児童館、図書館などに対しては、指定管理者制度を使い、民営化をしないよう求めていくことが重要です。
B 職員の配置転換迫る「市場化テスト」
「市場化テスト」について、国においては来年度モデル事業として、ハローワーク・社会保険関連事業が試行予定です。
自治体における「市場化テスト」の動向としては、「市場化テスト推進協議会」(以下「推進協議会」)が発足したことです。東京都内の自治体としては、足立区と三鷹市が参画をしています。
千代田区は、独自の立場で「市場化テスト」についての調査費を2005年度予算に計上し、導入の動きを強めています。
また、大阪府は2005年2月22日、行政サービスの担い手を官民競争入札で決める「市場化テスト」の導入に向け、ガイドライン素案を発表しました。2005年度中に対象事業を絞り込み、06年度にも導入するとしています。

自治体の事業は、住民の基本的人権を保障するために自治体が実施責任を持って進められてきました。ところが、「市場化テスト」はこれを営利企業のビジネスチャンスの道具とし、住民の人権を弱肉強食の市場に投げ出すものです。
このことは住民サービスの低下をもたらす危険に絶えずさらされるとともに、住民参加や議会によるチェックが後退し、個人情報の保護についても保障はないと言わざるを得ないものです。また、談合や「口利き」などがはびこり、不正や腐敗、癒着の温床となる危険も高まります。
さらに、対象事業を民間が落札した場合、正規職員の処遇については配置転換や民間事業者への移転、臨時・非常勤職員には解雇という重大な問題が発生します。雇用は労働者にとって重大な問題であり、一方的な結論を押し付けることは断じて許されないものです。
質の高い公共サービスを確立し、公務公共サービス労働者の雇用を守る立場から「市場化テスト」に反対していくことが重要です。
 「市場化テスト」の問題点などについて解明をすすめるとともに、住民とも連携し広汎な世論と運動の構築を図る必要があります。

■市場化テスト
 入札で比較し、官より民がすぐれていれば民間へ業務を移管する手法とされている。
民間との比較をコスト中心で行うことがめざされ、質を比較するといってもあいまいなものとなっている。「市場化テスト」の結果は、コストを安くできる民間事業者に軍配があがるのは目に見えている。

■指定管理者制度
 地方自治法第244条の「改正」が行われて導入されたものである。これまで、公の施設の管理委託は、公共団体、公共的団体、第三セクターに限定されていたが、営利企業でも管理委託が可能となった。

■PFI
PFIはprivate(民間の)finance(資金)initiative(主導)の頭文字をとったもので、直訳すれば、「民間資金主導」となる。施設建設に民間の資金を投入するだけでなく、その管理、運営に至るまで民間企業の経営感覚を導入した公共事業推進の手法であり、イギリスで始まったものである。
PFI促進法は、1999年7月に成立し、2001年11月にPFI事業の対象や範囲を拡大する改正が行われた。この法律からみるPFIは、「コストの削減、質の高い公共サービスの提供」を名目としながら、公共事業を「官の責任から民の商売」に変質させるもので、財界戦略のとおりである。

(4)児童館・学童クラブ、保育園の民営化に本格的に乗り出す
 千代田区は、平成17年度から平成21年度までの主な事業の5ヶ年計画である「千代田区第三次長期総合計画・改定推進プログラム」に基づき、児童館・学童クラブも民営化を進め、保育園の民営化も検討しています。
こうした民営化では、憲法や地方自治法などによって規定された自治体の公共性(自治体行政の存在理由)が無視され、区民サービスや職員の労働条件に大きな影響を与えます。特に、民営化などで職場(職種)そのものを奪われる職員がでることについて、絶対に認められるものではありません。
 2005年9月議会で、区当局は、「職員削減で区の担う公共性と専門性が維持されるのか」と問われ、「少数精鋭主義のもと維持発展させる」と答弁していますが、マンパワーに頼る行政の特殊性を考慮しない姿勢を明らかにしています。
こうして、「区の市場化」を進めていくことは、区は優秀な民間企業を探し、区の業務を営利企業に委ねる手配師になることであり、果たして自治体の行政がそれでよいのか問われます。改めて住民の生活と権利を守るという自治体の役割を確認することを求め、そこに働く自治体労働者の役割を引き出してこそ、真の自治体のあるべき姿といえます。

■自治体の公共性
 公共性とは、単純にいうと、自治体の各種業務がなぜ公共的なものとして自治体のなかにおかれなければならないのか、その根拠なり存在理由のことといえる。みんなに共通するものでそのための事業として行わなければならないものが公共性があるものといえる。

(5)問題点を抱えたまま二つ目の「こども園」
保育園分会は「こども園」に関するアンケートを2005年はじめに実施しました。これは、保育士だけでなく幼稚園教諭からも回答を得ています。その結果は、幼稚園教諭と保育士の賃金格差や施設が一体化していない問題や、一元化が中途半端になっているなかでの運営の難しさを指摘しています。職員配置も十分でなく、超過勤務も他園と比べ非常に多くなっています。また、幼稚園側が延長となっているなかでの保育園の独自性が出せない問題も指摘されています。
これに対し、千代田区は「いずみこども園」をつくったことを評価し、議会答弁では、「多様な意見があるとはいえ、いまだに職員の間に保育園、幼稚園の縄張り意識が残り、子ども主体の視点に立てていないことは大変残念です。大人の都合、大人の論理でない建設的な意見は大いに参考にしたいと考えています」と延べ、職員の意見に耳を傾ける姿勢を示していません。
こうした問題点の検討もなく、「こども園」を富士見で拡大しようとしていることは、大きな問題です。

(6)「NPM型行革」で予算を減らし、一方の「都市再生」で千代田区の居住環境破壊進む
石川区政は、「NPM型行革」の手法を使い、予算を効率化と称して減らし、職員や区民にしわ寄せをしています。
一方、「都市再生」の流れを規制する立場には立たたず、そのために千代田区の街は激しく開発やビル建設が行われ、環境が著しく変化し、特に居住環境が悪化してきています。
相変わらず民間施行の市街地再開発事業に莫大な税金を出し、大規模開発を後押ししています。そういう状況下で区内には100m級の超高層ビルがどんどん出現してきています。
 また、汐留開発や秋葉原開発の就業者を神田で受け入れる考えが示されたことにより、猛烈なワンルームマンション開発が神田を襲い、街とコミュニティそのものを壊しています。
こうした動きは、小泉内閣の「都市再生」や石原都政の「メガロポリス構想」による事業推進によっていっそう促進されてきているといえます。
まさに、民間でできる事業はほとんど委託し、もうけの対象とし、民間企業ができるだけ活動しやすいように補助金を出し、行政を大企業本位に変えていくことであるといえます。
区政は、区民を「顧客」にたとえ、行政サービスを行うといっていますが、実は自助努力を説き、行政の役割を縮小してきているといえます。

3、

都政と特別区政
(1)都市再生に莫大な税金投入
環境が悪化、災害対策を軽視
都市再生の名で巨大なビル群ができつつあります。建設促進のために環境アセスを改悪し、アセスの対象を高さ100bから180bに、床面積は10万平方bから15万平方bに緩和しました。
また、都は高速道路建設にも、借金までして莫大な税金を使っています。
さらに、臨海副都心開発などは、最近4年間で2.85倍の予算をつけ、不要不急の浪費型公共事業をすすめています。
臨海副都心開発について、石原知事は「問題があるが、ここで止めてはいままでのがもったいない」という態度です。
生活道路や災害対策、都営住宅建設、河川対策など都民生活を守る公共事業は軒並み削減しています。

■都市再生
 石原都政の都市再生は、メガロポリス構想で、東京圏全体に視野を広げ、業務機能にとどまらず、居住、産業、物流、防災などの広域行政の課題をしている。センターコア・エリアからの分散ではなく、都心と他のエリア、あるいは副都心とのネットワーク形成によって、このエリアを国際ビジネスが育つ環境にしようというのがねらいである。
 小泉内閣では、骨太方針で、国と地方が一体となった21世紀プロジェクトを積極的に推進するために、内閣のもとに「都市再生本部」が設置され、国際競争力のある大都市圏の再生をめざすとしている。

(2)石原「構造改革」で福祉、医療は、ズタズタ
都民の願いの1位は高齢者施策、2位は医療です。なのに石原知事になってから、都の福祉と衛生予算は、全国一減らし、マイナス661億円となりました。
69歳までの医療費助成の段階的廃止、老人福祉・寝たきり手当(月5万5千円)の廃止、障害者医療費助成や手当切り下げ、特別養護老人ホームの補助金削減、シルバーパス有料化、母子保健院の廃止、私立保育園の補助金切り下げ、認証保育所(民間企業の参入)の容認、看護専門学校廃止、三多摩の保健所統廃合、国保への補助金カットなどを行い、福祉の都政から大きな後退をしました。いかに、石原知事の福祉、医療の軽視がわかります。
また、教育分野では30人学級実現をさぼり、ついに、実施していないのは、東京と香川県だけになりました。

(3)石原知事は公務員の憲法擁護義務に違反
日の丸・君が代を力づくで強制
石原知事は平然と「憲法を廃棄すべき」と述べ、「憲法を命がけで破る」と公言しました。憲法99条が規定する「公務員の憲法遵守義務」に違反しています。
そして、特定の戦争史観が押しつけられ、教師やこどもたち、保護者に日の丸・君が代が強制し、従わない教職員を処分しています。都の学校は異常な状態で、民主主義の日本では考えられないことが起こっています。
戦前のような内心の自由を奪い、特定の戦争史観を押しつける石原知事とそれを支える議会を変え、憲法の輝く東京をつくることが求められます。

(4)都税収入増加でも財政再建プランを進める東京都
東京都は、財政構造改革を進めるとして、財政再建プランをすすめ、都民や特別区に対し、財政危機をさかんに宣伝しています。そして、その財政危機を口実に福祉、教育予算を減らしています。また、石原知事は業務の民間開放と職員削減も大胆にすすめてきました。ところが、都税は予想よりも約3000億円も増えています。
大型公共投資ではなく、生活に密着した公共投資こそが求められています。

(5)都区財政調整協議が難航
都と区の役割分担を話し合う都区検討会が行われていますが、協議は、区側の思うようには進んでいません。
大都市事務検討会では、都が行う大都市事務の範囲について、都側の具体的な案が示されましたが、232事務もあるとして、なかなか、区側に事務権限を委譲しようとしていません。これに対し、区側は、都が行う大都市事務は36事務しかないとして対立しています。また、小中学校改築需要急増や都市計画交付金の課題では、都側から具体的な案が示されていません。
10月末までに基本的な方向を整理するとしていますが、都の財政及び事務事業を手放さない姿勢、財政調整の算定基準を改悪して、特別区への財政配分を減らし、区のリストラを迫っています。これも石原知事の政治姿勢が影響しているようです。

(6)「NPM型行革」をすすめ、歳出抑制を図る特別区
各区とも「行革大綱」に基づき、外部委託をすすめ、職員削減などの内部努力を行う「NPM型行革」をすすめ、歳出を極力抑えるものとなっています。豊島区などは、財政難を理由に、統一交渉で決まったことを守らず、1年間職員給与を3%カットしています。
 各区長が統一交渉のルールを守るよう常に働きかけていくことが重要となっています。

4、

小泉内閣の暴走と痛みを伴う「構造改革」
憲法9条を改悪し、日本を「戦争のできる国」へ

(1)自民党が改憲草案を決定
憲法9条問題が新たな段階に
9月の総選挙での自民党の大勝に危機感を抱いている国民は多くいます。そういう中で、10月28日、自民党は満を持して、「新憲法草案」を決めました。
 改憲案は、前文から侵略戦争の反省を削除し、かつ第9条2項の戦力不保持も削除し、自衛軍を持つことを明記しました。これによって、海外での武力行使の歯止めをはずし、戦争の出来る国日本にするとしました。
 政権党が初めて改憲草案を出したことで、憲法問題は新たな危険な段階に入りました。
 「憲法改正国民投票法案」づくりも改憲の動きと合わせて国会で議論が始まっています。 憲法9条は、戦争しない国日本をつくり平和を確保してきました。憲法9条の改憲に反対する国民の多数派をつくり、憲法9条守り抜くことが私たちの生活基盤を確保していく上でとても重要です。

(2)9条の会が全国に広がる
 井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子の9氏が呼びかけ人となって「9条の会」が発足して1年半になります。この「9条の会」の刺激を受けて、全国各地で「9条の会」が生まれ、その数は3000を超し、今でもその数を増やしています。
 2005年7月30日には、有明コロシアムで「9条の会」講演会が開かれ、9500人が参加し、9条を守ろうと熱気の集会となりました。着実に草の根の広がりで憲法を守る運動が広がっているといえます。
職員の中では、49.0%は変えるべきではないと思っています。また、「見直してもよい」25.3%、「わからない」25.7%あり、職場で憲法9条の意義について議論することが求められています。
 憲法9条を宝として、21世紀の日本と世界に広げることが、戦争をなくすことにつながると確信します。

(3)改憲へとつながる首相の靖国参拝
小泉首相は、10月17日、国内外の批判の高まりや、韓国、中国からの中止要請、違憲判決を無視するかたちで靖国神社を今年も参拝しました。一般国民と同じ「私的参拝」を装いましたが、首相の参拝は「私的」などといえるはずがありません。
 首相の靖国参拝について、アジアの国々が抗議するのは、戦犯の人たちを英霊とあがめ、靖国神社そのものが、歴史の真実を覆い隠し、日本の侵略戦争を正当化しているからです。
 あえて参拝を続けることは、日本の侵略戦争と植民地支配で苦しめられたアジア諸国の理解は得られず、国連憲章と日本国憲法に基づく平和の道に逆行するものです。日本の外交と平和に大きな影響を与えている首相の靖国参拝をやめさせることが大事です。
 拉致問題や核問題などを抱える北朝鮮への対応は、靖国参拝をやめ、戦争責任を明らかにしてこそ、解決の道につながり、そして北東アジアの平和にとって重要であり、外交努力の中で解決することが求められています。

(4)益々強化される米軍基地の再編
 2005年10月29日、在日米軍の再編・強化計画(中間報告)を日米両政府が、関係自治体の頭越しで合意をしました。
 このことに対し、県知事や関係自治体の首長は、「絶対容認できない」など、かつてなく反対の声をあげています。
 沖縄では、普天間基地に代わる新基地をキャンプ・シュワブ沿岸部に建設する問題で、「周辺の生活環境が破壊される」として、沖縄県知事をはじめ、関係自治体の主張が猛反対しています。
 米軍基地は、百害あって一理なしであり、縮小しなくすことが求められます。

(5)「構造改革」で切り捨てられる社会保障
@ 高齢者保険料、介護と合わせつき1万円
 今、政府は2002年の高齢者の患者負担増、2003年の健康保険本人3割負担に続いて、2006年の医療改悪で患者負担をさらに引き上げようとしています。また、2007年から団塊の世代が定年退職を迎え、高齢化がピークとなる2025年に向けて、75歳以上の高齢者から保険料を徴収し、かつ患者負担を引き上げる、いわゆる「高齢者医療制度」を創設しようとしています。
 小泉「構造改革」の医療版で、財界の求めに応じ、経済の伸びに基づいた給付目標の達成をめざす総額抑制方式とするものです。
 これによって高齢者の保険料は、介護保険料と合わせて月1万円にもなり、年金からの天引きとなるため、高齢者の生活に深刻な影響を与えるものとなります。

■「構造改革」
 小泉「構造改革」は、グローバル化した大企業に奉仕するための「改革」であり、戦後憲法のもとで作りあげてきた福祉などの諸制度を破壊するものである。そこを貫いているのは際限のない競争社会、差別化・競争化の社会、ルールなき社会づくりである。それは、年金や医療制度の連続改悪に見られるような社会保障分野の切捨てと、大銀行などへの公的資金の注入などの施策として表れている。
 また、「構造改革」とは、新自由主義的改革ということ。たくさんの負担や規制にがんじがらめにされていると企業の活力が回復しないために経済不況も回復できないから、負担や規制を取り払い、企業の「自由」を回復することによって経済を回復させようとするもの。企業の自由勝手な活動は、個人の幸福を実現するどころか社会に深刻な問題を発生させるということで、これまで負担や規制を行ってきた経過がある。
A 不安定雇用労働者などの増大で年金財政に影響
 2004年に共済年金が改悪され、掛け金が毎年引き上げられています。今後5年ごとに大きな見直しが必至となっています。また、年金の一元化など共済年金には不利な改悪が企まれています。ニートや不安定雇用労働者の増加や年金身加入者の増大などで年金財政が大きな問題を抱えています。労働者・国民の側に立った改革を求めていくことが求められています。

(6)「小さな政府」でも国民負担増
公務員の賃金を引き下げ、人員を減らし、「小さな政府」をつくれば国民負担が減り、国民サービスが向上するかのように、マスコミなどを使って幻想を振りまいています。しかし、実際に進んでいるのは、国の財政赤字解消のための、国民のくらしと地域経済の破壊となる大増税計画です。
「骨太方針2005」は、2010年代初頭における財政収支の黒字化をめざした歳出・歳入一体の「改革」をするとしています。切るものを切ってから、歳入の「改革」、すなわち増税に手をつけるとしています。
公務員の総人件費削減や医療制度などの社会保障改悪をまず進め、その先に国民への大増税計画が準備されているということです。
小泉首相は、8月に2006年度概算要求基準を閣議決定していますが、社会保障費2200億円圧縮するなど、「小さな政府」を口実に、社会保障を切り捨て、公務員を減らし、公的業務を民間に丸投げして、その上、消費税率の引き上げ、定率減税の廃止など大増税をねらっています。しかし、大企業減税はそのまま温存する姿勢を崩していません。
こんな「構造改革」は国民にとって何の益のないものです。

(7)先行き不安な日本経済
 景気の動向を示すデータは、改善を示しているものの、2005年民間給与実態は6年連続でマイナスとなっており、労働者には景気回復は実感できないものとなっています。
 これらの要因は、民間企業が正規雇用からパート・臨時・派遣労働に置き換えられた結果です。
 このような状況下、きちんと働いているけれども、生活保護水準以下の生活しかできない人たち=「ワーキング・プア」の増大が問題化してきています。この結果、全労働者の賃金水準全体が大きく引き下げられやすくなるとともに、社会保障制度全体が「抜けた底」に向かって崩れ落ちていきます。こうした事態は、「日本型雇用」解体と賃金水準破壊が大規模に進んだ結果です。先行き不安で将来に展望がもてなく、就職活動をしないニートが新たに生まれ、社会不安の材料になっています。
 また、「公務員給与が高い」と公務員攻撃キャンペーンに利用されています。

(8)「構造改革」がもたらした自治体職場の激変
 公務員制度改革で「住民全体の奉仕者」を否定し、権力者に忠実な公務員作りが進められる一方、企業やNPOを行政パートナーとして位置づけ、自治体職員を減らし、市民を有償ボランティアとして自治体業務を担わせる動きが急速に強まっています。
 同時に、住民を自治の主体としてではなく「顧客」としてとらえ、行政内部に民間企業の経営手法を導入する、「二ュ−・パブリック・マネ−ジメント」(NPM)が広がり、職員の意識改革、業績評価やマニュアル化がすすんでいます。
 こうした事態は職員の仕事の進め方や思想にも深く関わってきています。民営化攻撃の中で自らの存在を否定され続ける中で、仕事に確信が持てない職員が増える一方で、「弱者」の立場や住民、地域の実情をもとに仕事をするよりも、政府政策の動向や民間経営的な視点から考え、住民生活に密着する現場部門を軽視し、サ−ビスをコストだけで考える職員づくりが急速にすすめられています。
 一方、三位一体の改革の名の下ですすむ地方交付税の削減などによって、自治体では「予算さえ組めない」として職員の賃金カットと住民サービス削減と住民の負担増が顕著になっています。こうした中、北海道庁では、全職員の年収を平均で115万円削減するというとんでもない案が提案されるに至っています。

(9)経済財政諮問会議が「日本21世紀ビジョン」
2005年4月11日に、経済財政諮問会議は、2030年を展望して日本の長期ビジョンを発表をしました。。憲法改悪を視野に入れ、新自由主義の視点から書かれています。
2030年には日本の人口は約9000万人、5人に一人が75歳以上の超高齢化社会になると予想し、グローバル化により、世界諸国が勝ち組と負け組に二分されると述べています。
中国、インド、ロシア、ブラジルなどが大きな存在になるとし、アジアでは中国が経済政治の両面で大きな存在感を高めると予想しています。
そこで、日本の対応として、@経済の停滞・縮小を避ける、A官が経済活動の足かせになることを避ける、Bグローバル化への対応、社会の不安定化を避けることをあげています。
2030年の目指すべき将来像と経済の姿については、@文化創造国家(アニメ、映画、音楽、ゲーム等ソフトと放送、通信)、A時を楽しむ健康寿命80歳(心身共に健康で自立している80歳の人生)、B豊かな公・小さな官になると述べています。公共サービスの縮小、新たな公の概念をつくり、公とは官と民の双方によって担われるもので、公を担う奉私奉公が広がると述べています。
目指すべき将来像に向けた三つの戦略として、@生産性の向上と所得拡大の好循環をつくる、Aグローバル化を最大限活かす、Bグローバル化対応のため国内制度の改革、をあげています。
こうした報告書の中身は、「行革・リストラ」「公務員の縮小」であり、公務領域の縮小です。国や自治体の公的役割を否定、弱肉強食の市場原理の矛盾を覆いかくし、民に任せればすべてうまくいくと描いています。企業の利益を守るための高度な管理国家をめざすものとなっており、それに対置した福祉国家の展望が求められています。

(10)内部的民営化とアウトソーシングの徹底図る新地方行革指針
2005年3月29日、総務省は、「新地方行革指針」を出しました。この中では、内部的民営化(政策決定・執行システムの改革、行政評価・事務事業評価と予算システムの連動など)と外部的民営化(アウトソーシング)を含めた新自由主義的構造改革、NPM型「行革」の手法が盛られています。
具体的には、@民間委託等の推進、指定管理者制度の活用、PFI手法の適切な活用、独立行政法人制度の活用など、A定員管理と給与の適正化、福利厚生事業の適性化、B財政運営などでの経費節減、C電子自治体の推進などとなっています。
 こうした内容は、全国の自治体に、大きな影響を与えるものです。

(11)労働のルールを解体・変質する労働契約法
 労働契約法という耳慣れない法律が、財界の意向を受けて政府で検討されています。
 「労使委員会」の法制化による労働組合の形骸化、使用者による労働条件の一方的な変更や解雇の金銭解決を可能にし、ホワイトカラーの労働時間管理を止めるなど、現在の労働のルールを根底から覆すものとなっています。
 今でも、労働のルールは、圧倒的に使用者側有利となっています。その労働のルールの改善こそ求められ、更なる使用者側有利への変更は認められるものではありません。

■定率減税
 所得税と個人住民税の税額の一定割合を差し引く減税。所得税額の20%(最大25万円)、個人住民税額の15%(最大4万円)を控除するもの。2006年から半減が決まっているが、全廃については、世論の動向をみている。

■ニート
 ニートとは求職も通学もしない若者のこと。今、52万人、あと10年で109万人になると予測される。有名大学を出て就職活動をしたが、ことごとく駄目で、変なプライドでフリーターにもなれないのが特徴である。働きたいけど就職ができにくい社会経済状況の反映がある。ニートの増加は、経済成長率の抑制要因になるといわれる。

■三位一体の改革
国から地方への国庫補助負担金と地方交付税交付金の削減を先行させ、財源移譲を地方自治体にするもの。財源移譲が少ないので、地方自治体は、いっそうの財政危機が深まってきている。
 政府・与党は11月26日、「三位一体改革の全体像」を発表し、「地方の権限拡大」の名で、福祉・教育などに対する国の責任を後退させ、地方財政の削減を進めることを決定した。自治体が本来果たすべき住民福祉の増進の仕事を困難にするものである。

■公務員制度改革
 国が進める公務員制度改革は、労働基本権についてはふれず、能力業績主義による人事管理強化と再就職管理の適正化と称する高級官僚の天下りを温存をねらうものとなっている。憲法に基づく「住民全体の奉仕者」として、職務遂行上の権利保障をし、職員が主人公の民主的公務員制度の確立が求められる。

◆第3章 若干の総括と今後の課題の取り組み方針について
1、 1年間の取り組みの若干の総括
この1年間の区職労の取り組みについて、若干振り返ってみます。
まず、賃金闘争では、基本給でマイナスとなりませんでしたが、勧告作業の改善などによる賃金水準のアップや区長会が改善方向を出していた一時金の加算措置の改善は、公務員を取り巻く状況が益々きびしくなる中で交渉が進みませんでした。
次に技能系人事制度の改正で、現業職員にも技能主任などの任用制度が入り、上位級へいくのが難しくなり、生涯賃金に大きな影響を与えることとなりました。しかしながら、係長級に相当する新3級までの昇任・昇格への道と3年間の経過措置を行うことで確保しました。ただし、採用年齢が遅い職員が新3級に制度的に行けないことも明らかとなり改善要求が必要となっています。
三番目に、05年区職労要求については、統一要求や分会、各職場の切実な要求を出し、政策経営部長と交渉を行いました。区当局回答は、相変わらず職場の実態を考慮せずそっけないものとなっています。しかし、パソコンの更新や新庁舎要求などで職員の意見が反映しています。引き続き、労働組合運動の根幹である要求実現の取り組みを粘り強く行っていくことが重要となっています。
四番目に、06年の新規採用の取り組みでは、はじめて要請署名と庁内世論を高めようと運動しました。その結果、区議会での与野党での議論もあり、数名の新規採用を4年ぶりに行わせることになりました。しかし、職場が求める人数、職種には程遠いものがあり、「行革大綱」に基づく職員削減方針に反対していくことが引き続き、重要となっています。
五番目に、「NPM型行革」に反対する取り組みでは、学校・保育園の給食民間委託に関わり職員の処遇問題で対応してきました。しかし、配置された職場が合わず、退職を余儀なくされる職員も出ました。配置転換にあたっての研修を十分に行わせることや相談活動の強化を行うことが求められています。
また、今後、計画されている児童館や保育園などの民営化に住民と共に反対していくことが求められます。
六番目に、区職労の組織強化については、「区職労組織強化方針」を確定し、本庁舎の部会づくり方針や分会・部の強化方針を進めることに着手することになりました。
しかし、年収のマイナスなどの影響を受け、年に十数人が組合を離れ、また、退職不補充の影響を受け組合員数は900人台となっています。
組合員数の減少は、組合財政や区職労運動に大きな影響を与えつつあります。組合員の減少に歯止めをかけるあらゆる方策を考え出していくことが本当に重要となっています。
今や労働組の組織率が大きく減少し、権利を保障されない労働者がほとんどとなっています。その中で、公務員労働者は恵まれているといわれ、それが賃金・労働条件切り下げの攻撃となっています。そんな中で、労働組合が役割を果たし、踏ん張らなければならない時です。
引き続き、職員の要求を掲げていくことにこだわり続け、要求の前進をめざしていくことが今ほど重要になっています。

2、

組合員の生活と権利を守る取り組み
「総人件費削減・給与構造見直し」攻撃とたたかう

(1)「給与構造の見直し」に反対してたたかう2005年賃金確定闘争
2006年賃金確定闘争は、「給与構造の見直し」による査定昇給導入反対、勤勉手当への成績率導入反対、級格付け廃止に反対し、昇給・昇格制度などによる賃金水準の改善、一時金の加算措置・算定ベースの改善、現業系人事制度の改善などの諸課題の前進をめざし、特区連に結集して取り組みます。なお、05賃金確定闘争は、査定昇給導入反対、勤勉手当への成績率導入反対、級格付け廃止に反対して、特区連に結集して取り組みます。

(2)「企業の社会的責任」を追求する2006年春闘
06年春闘
@ 全国民・労働者の要求を掲げて、公務と民間の連携した賃金闘争をすすめる2006年春闘に積極的に参加します。また、産別の行動に参加します。
A 千代田春闘共闘会議に参加し、地域から春闘をたたかいます。
B 2006年メーデー(5月1日)の成功に向けて取り組みをすすめます。
C スト批准投票を実施し、賃金闘争に対するスト権の確立をめざします。
D 春闘時における課題で住民宣伝を実施します。
E 具体的な取り組みについては、2006年1月に「区職労2006年度国民春闘方針(案)」として提起します。

06年賃金闘争の人勧期の取り組み
F 特別区人事委員会に対して、大都市の生活実態に見合った改善及び公民比較方法の改善などを求め、賃金水準の引上げをめざします。
G 特別区人事委員会に対する要請行動(特区連および区労協)を取り組みます。
H 国並びの基本給の水準引き下げに反対して取り組みます。

(4)賃金不払い残業の根絶めざしてたたかう
@ 時間外勤務手当の不払いが生じている職場について、不払い賃金の清算を交渉等で強く求めます。
A 時間外勤務手当の不払いは、違法であり犯罪であることを当局に深く認識させ、職場で不払いが発生しないよう具体的な対応を求めます。

(5)昇任、昇格、昇給制度の恣意的選考に反対し、公平・民主的な選考を求める
@ 昇任、昇給、昇格による恣意的な差別に反対し、より公平、民主的な制度の実施を要求します。なお、昇任、昇格、昇給の決定にあたっては、事業部長ではなく、人事当局の主導権で行うよう求めます。
A 同一労働同一賃金の原則を崩す「査定昇給制度」の導入に反対します。成績特別昇給制度の実施率(付与率)の改善、昇給停止者の昇給実施など、特別昇給制度運用の改善を求めます。
B 勤勉手当への成績率導入に反対します。
C 特別昇格について
1) 給与制度の重要な柱を崩す級格付けの廃止に反対します。
2) 昇格率の改善とより公平・民主的な実施を求めます。
3) 現業職の特別昇格について、「追い越し」のない実施を求め、事前協議を行うよう求めます。
4) 係長選考受験率の低下を理由とした行(一)4級から5級への特別昇格の昇格率の削減に反対します。
5) 特別昇格について、特区連と区長会の妥結内容に従い、公平・民主的な実施を求めます。
6) 現業職について、「追い越し」がないよう求めます。
D 主任主事・係長選考、総括係長選考について
1) 主任主事選考について、差別・選別の選考に反対し、「実務経験を重視した選考」の実施を強く求めます。特に、昇任率の引き下げに反対し、性別、職種、職場による差別をなくすよう求めます。
2) 係長選考について、「選考基準の明確化」や昇任者数の拡大、長期選考の改善などを求めます。
3) 総括係長のポスト拡大及び昇任基準の明確化を求めます。また、課長補佐名称については、基準に基づき使用することを求め、使用している実態について報告を求めます。
E 勤勉手当への成績率導入に反対します。
F 現業系人事制度について、制度の改善を求めます。
G 業務職給料表の改悪に断固反対します。
H 昇任・昇給・昇格制度の実施に対する「結果の本人開示制度」や「苦情相談制度」の確立を求めます。

(6)諸手当、旅費の改善を
@ 職場事情等で時間外勤務がやむを得ない場合、時間外手当に見合う必要な予算を確保するよう強く当局に求めます。年度途中において、時間外手当予算の不足が生じることが明らかな場合、補正等で措置するよう要求します。
A 旅費については、目的・職務を勘案し、級、行政職、業務職の区別なく出張できるよう求めていきます。
B 超過勤務手当や休日給、深夜超過勤務手当の割増率の改善をめざします
C 被服貸与制度の廃止に反対し、品質の改善などを求めます。
D 勧奨退職の特例措置(特例割増3%)について、実施するよう求めます。ただし、退職を強要する動きには断固反対します。
E いずみこども園の保育士と幼稚園教諭の賃金格差を解消するよう求めます。
F 清掃一部事務組合や清掃事務所に派遣している職員の格差解消を求めます。

(7)「行革大綱」に基づく職員削減方針を改め、職場に適正な職員配置を
@ 約440人の職員削減方針と対決し、職場が求める適正な新規採用を強く要求するなど、正規職員確保の運動をすすめ、交渉による解決をめざします。
A 職場実態に見合った人員配置の提案を求めます。職場実態に合わない人員削減案に反対し、交渉を強化してたたかいます。検討時間の少ない提案は実施しないよう求めていきます。
B 残業が恒常化している職場について、人員増を求めます。また、安易な臨時職員、非常勤職員、派遣職員の配置を許さず正規職員の増を求めます。特に、管理職に対し、残業の実態及び残業が生じている原因を解明させ、必要な人員配置などを要求していきます。
C 人員配置問題について、年度末の取り組みだけでなく、病欠の欠員補充など年度途中欠員について、事業部内の随時異動等柔軟な対応を行うよう求めるなどの取り組みを行います。
D 各職場・分会の人員増要求をまとめ、区当局にその実現を求めます。また、人員配置交渉については、区職労と分会、職場が一体となって対応します。
E 公正で民主的な行政を執行するために、働きやすくかつ区民サービス向上につながる課・係の適正な人員配置を要求します。
F 清掃職場への現業職員の配置については、清掃職員と区職員の賃金・労働条件の大きな違いがあることから、格差解消を条件とします。
G 異職種・異職務従事について
1) 現業職の職務間異動について、労使合意の上、実施することを求めます。
2) 異職種・職務従事については、当該職場、職員との合意を前提に対応します。
3) 異職種・職務従事の実態について調査し、要求集約を行います。
4) 異職務従事で配置されている現業職員の異動については、事前協議とさせます。
5) 事務を行っている現業職員について、転職等による処遇条件の改善を求めます。
また、2006年から3年間に行われる特例転職で、希望する職員全員の転職ができるよう特段に配慮するよう求めます。
H 事業部の政策立案能力を抜本的に引き上げるために、人員増配置を求めます。

■約440人の職員削減方針
「改定行革大綱」に基づくもの。この約440人の職員削減は、平成21年度までに削減しようと計画しているもの。

(8)任期付職員制度の導入について
@ 任期付職員制度(短時間及びフルタイム)は、長期的には住民サービスおよび自治体のなかに階層分化を引き起こすので、活用価値がある場合を除き、任用しないよう求めていきます。
A 任期付短時間勤務職員制度について
1) 任期付短時間勤務職員の配置について、原則反対とします。
2) 任期付短時間勤務職員の配置を理由とした、臨時・非常勤の雇い止めを行わないよう求めます。
3) 任期付短時間勤務職員の給与・手当は、同一労働同一賃金の原則から常勤職員と同等水準を確保するよう求めます。
B 任期付フルタイム職員制度について
1) 任期付フルタイム職員制度の一般職への拡大にあたっては、労使協議で合意の上行うよう求めます。
2) 任期付フルタイム職員の配置は、正規職員の補充とせず、かつ修学・高齢者部分休業及び育児休業・介護休業の代替の場合、専門的な仕事で一時的なものに限ることを求めます。
3) 任期付短時間勤務職員の給与・手当は、同一労働同一賃金の原則から常勤職員と同等水準とすることを求めます。
C 育児休業、介護休業の代替に限定した短時間公務員制度に改善することを関係機関に働きかけるよう求めます。
D 育休任期付職員採用制度を導入するよう、強く求めます。

■任期付職員採用制度
 地方分権の進展等に対応して自治体の公務の能率的かつ適正な運営を推進、任用・勤務形態の多様化を図るものとしている。任期は、3年、最大で5年としている。常勤と短時間の制度がある。この制度導入は、利用価値はないとはいえないが、正規職員減らしにも利用される、不安定雇用の拡大につながるものであり、慎重な対応が求められる。

(9)再任用制度と再雇用制度の改善を
@ 2002年4月から実施された再任用制度及び再雇用制度について、勤務時間のメニュー拡大など、制度の改善を求めます。
A 年金支給開始年齢の引き上げに伴う「雇用と年金の確保」という再任用制度導入の趣旨と区当局との交渉経過を踏まえさせ、希望者全員の再任用を要求します。
B 働く意欲のある再雇用希望者の全員雇用を強く求めます。
C 再雇用の雇用期間の短縮(64歳まで)に反対します。
D 再任用及び再雇用職員の配置については、区職労と協議の上で配置させます。
E 現業職の再任用にあたっては統一交渉における区長会回答を遵守し、新2級への格付けを要求します。
F 再任用の採用困難職種について、区職労と協議の上決定させます。
G 各職種に見合った再任用・再雇用職場の積極的な開発を求めます。
H 再任用の選考方法について、協議を行い決定させます。
I 再任用及び再雇用の勤務時間の時間数等の課題についての協議を求めます。
J 経過措置期間中、年金支給との関係で再任用期間が5年未満の場合、残り期間については再雇用とすることを求めます。
K 2005年度勧奨退職者及び定年退職者について、引き続き再雇用選択ができるよう求めていきます。
L 再雇用職員に期末手当またはそれに相当するものを支給するよう求めます。
M 再雇用の夏季休暇の日数を増やすよう求めます。

(10)各種事務従事の勤務条件等の改善めざして
@ 選挙事務、防災訓練、区民体育大会、江戸フェス、江戸天下祭等の事務従事について、改悪をさせず、改善を求めます。
A 従事者の手当をはじめとした勤務条件の改善をめざします。特に選挙事務従事の報償費について、拘束時間に見合った改定を求めます。
B 事務従事依頼については職場実態にも考慮し、必要最小限度にとどめるよう求めます。(例 区民体育大会でのゴミの収集分別・集積に係る職配置)また、特定の職場や職種、職員に限定されないよう広く募集することを求めます。
C 事務従事によって通常の業務が過重にならないよう配慮を求めます。
D 「生活環境条例」のパトロール従事について
1) 路上禁煙地区のパトロールについては係長層の配置をやめ、パトロール体制の強化が必要な場合は専属職員の採用等によってカバーすることなど求めます。
2) 従事者の安全確保を求めます。
3) 不公平さを増している路上喫煙者に対する過料制度を改め、マナー重視を求めるなどの制度に切りかえるよう求めます。

(11)適正にあった人事異動を
@ 人事異動にあたっては、事業部まかせにせず、全庁的な判断の必要性から人事当局の主導権で行うことを求めます。
A 人事異動の「意向調査」(自己申告書)は毎年12月までに完了し、人事異動実施要綱は12月中に労使協議で確定の上、全職員に周知することを求めます。
B 人事異動の実施にあたっては、本人の意向・希望を尊重させます。
C 人事異動の内示は、仕事の引き継ぎ期間を考慮し、相当(二、三週間)前に示すことを求めます。特に学校、保育園の内示については、極力早く出させ、また、労働組合役員の異動については、事前協議を行うよう求めます。
D これまでと異なる職務従事の人事異動については、内示前の事前協議とすることを求めます。
E 異議申し立てについては、その期間を設け、誠意をもって対応することを求めます。
F 都区、区々間交流については、本人希望を踏まえ円滑に行えるよう都や他区に働きかけるよう求めます。
G 労働組合の弱体化、役員対策、思想攻撃を意図するような人事異動を行わないことを求めます。
H 技術系職員や専門職種の異動について、当該職員の意向を尊重し、実施するよう求めます。
I 技能系職種の職務名間の異動は原則として行わせないようにします。なお、特別な事情のある場合は事前協議とするよう求めます
J 異職務従事で配置されているすべての現業職員の異動については、必ず事前協議とするよう求めます。
K 障害をもつ職員の異動は、通勤事情、仕事内容、庁舎設備などを十分配慮し、事前協議とするよう求めます。
L 再任用・再雇用職員について、配置職場等に関する意向調査を行い、希望を尊重するよう求めます。
M 人事異動のドラフト制について、密室で行うことなく、かつ職員に不信感を生まないように、そのやり方、基準などを明らかにすることを求めます。
N 随時異動・応援派遣の異動については、対象者及び該当職場の了解を前提に行い、事前に区職労に情報提供することうを求めます。

(12)公社派遣職員の権利を守る取り組み
@ 派遣する職員を早めに明らかにし、同意手続を取らせます。また、引き続き、派遣する職員の同意を通常の人事異動内示の前に取らせます。職免の同意にあたっては、強制にわたらないよう求めます。
A 派遣期間の3年を守らせます。
B 引き続き、公社に派遣する区職員の人事・給与制度はこれまでと同様とすることを求めます。

(13)福利厚生制度の改悪に反対し、充実を求める
@ 特別区互助組合の廃止に反対します。
A 特別区互助組合及び区互助会費の当局負担の削減に反対し、互助会事業の充実を求めます。
B 63歳互助会会員にもリフレッシュ助成制度を適用するよう要求します。
C 食堂、売店など互助会事業の改善を強く求めます。
D 年金や健康保険制度の改善、都共済、互助組合の諸給付などの改善を求めます。
E 再雇用職員が特別区互助組合の事業をもっと広く利用できるよう求めます。
F 職員住居援助施策について
1) 職員住宅の増設、既存職員住宅の改善、住居手当の抜本的な改善など、職員住居援助施策の充実を求めます。
2) 飯田橋職員住宅廃止に関わって、職員住宅の総戸数が減らないよう求めます。
3) 職員住宅の使用料の値上げに反対します。
4) 貸与年数の延長について、改善するよう求めます。
5) 障害をもつ職員の入居に配慮するよう求めます。
G 退職者に対する福利厚生施策を実施するよう求めます。
H 職員食堂のメニューや質の改善を求めます。
I 特別区互助組合からの事業移管に伴う互助会事業の見直しについて、職員の意向を反映させるよう取り組みます。また、事業移管に伴う人員配置を求めます。

3、

憲法9条擁護、平和と民主主義を守り、労働法制改悪反対の取り組み

(1)憲法9条擁護、平和と民主主義を守るたたかい
@ 憲法9条の改悪に反対し運動を進めます。「区職員9条の会」や「千代田9条の会」の運動と連帯し、憲法9条を守ります。
A テロと報復戦争に断固反対します。
B イラクから自衛隊と米軍の撤退を要求します。イラクの復興をアメリカ中心から、国連憲章に基づく、国連主導で行われるよう求めていきます。
C 憲法違反の自衛隊のいかなる派遣にも反対します。また、「有事法制」の発動に断固反対します。
D 千代田区として有事法制にかかわる協力を拒否するよう求めます。
E 現行平和憲法の意義や平和の課題について、さらに理解を深め、平和と民主主義を守るたたかいの力を引き出すよう、学習・宣伝活動を強めます。
F 核兵器廃絶、安保条約破棄、米軍基地の再編・強化に反対し、基地撤去と被害の根絶を求めてたたかいます。
1) 沖縄に連帯し、辺野古の新基地建設反対、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小・撤去を求めます。
2) 横田基地や都内近県の基地撤去・反対闘争との連帯・共闘を行います。
3) 基地の調査活動や平和ツアーなどの実施を検討します。
4) 原水爆禁止世界大会や日本平和大会への参加、原爆・戦争パネル展など区職労独自の反戦・反核・平和の創意工夫をした取り組みを行います。
G 小選挙区制の廃止、政党助成金制度廃止を求める運動に参加します。
H 民主主義を根底から破壊する「盗聴法」の廃止を求めます。
I 平和と民主主義を守る課題について、千代田区労協や「平和と民主主義を推進する千代田の会」などと連帯してたたかいます。
などと共闘し、幅広い行動に参加し、国民的なたたかいに連帯します。
J 「国際平和都市千代田区宣言」に基づく取り組みの充実を千代田区に求めます。
K 定住外国人の地方参政権の付与を求める取り組みに連帯します。
L 様々な差別撤廃や人権擁護の運動に参加します。また、人権無視の生活保護「適正化」政策に反対します。
M マスコミの右傾化に断固反対します。

(2)労働法制の改悪反対、働く権利の確立を求めるたたかい
@ 「労働契約法」の制定に反対し、その内容を広く知らせる取り組みを進めます。
A 企業の不当解雇に対する闘いを積極的に支援し、解雇規制の法制化を求めます。
B 労働法制の改悪に反対し、労働者の働く権利を守ります。
C 時間外・休日・深夜労働に関する男女共通の法的規制を求めます。
D 「人間らしく働くルールの確立をめざす千代田連絡会」等に参加して取り組みを進めます。

4、

労働時間短縮、休暇獲得、次世代育成支援等の取り組み

(1)労働時間短縮の取り組み
@ 一日の労働時間を短縮し、週単位労働時間の短縮など年間総実労働時間の縮減をすすめ、年間1800時間以下の労働の実現をめざします。
A 時間外労働の抑制と適法性をはかるために、36協定の締結を求めます。
B 超過勤務規制・縮減、長時間労働の解消などを強く求めていきます。特に残業が恒常化している職場や仕事量の急激な増大が予想される職場については、正規職員での人員配置増を求めてたたかいます。
C 年間総実労働時間の縮減、時短の意義等について、組合員への宣伝を行います。
D 勤務時間とは別に各受付窓口をもっている職場について、窓口時間を設定するよう求めます。
E OA機器立ち上げ等に必要な時間を勤務時間または、時間外扱いとするよう求めます。
F ワークシェアリングによる時短と雇用を増やすことを求めます。
G 時短問題で地域の労働組合との交流をめざします。
H 超過勤務や休憩・休息時間と年休の消化率の実態調査を行い、超過勤務の規制、休憩・休息時間の確保、年休の計画的取得の運動を行います。
I 「ノー残業デー」実施のなかで示された、職場環境整備の徹底を強く求めます。

■ワークシェアリング
仕事のわかちあいのこと。私たちは、労働時間の短縮や超過勤務をなくすことによるワークシェアリングを主張している。

(2)開庁時間延長問題
@ 開庁時間延長について、ニーズがあり、真の住民サービスにつながるものであれば、職員、職場納得の上で対応していくこととします。なお、委託による対応には基本的に反対していきます。
A 住民ニーズとの関係で真の住民サービスに必要かどうかの検証を求めます。
B 開庁時間延長ついては、人員配置、労働時間、変則勤務・時間外手当等の条件整備の上での実施を追求します。
C 実施されている職場の再延長や新たな職場の延長について、十分な協議の上、実施することを求めます。
D 年末年始の窓口開設について、条件整備を行わない場合は反対します。

(3)休暇制度改善及び次世代育成支援対策の取り組み
@ 夏場の職員の健康維持等の観点から、夏季休暇の日数増を求めていきます。また、夜間勤務職員の夏季休暇について、変則勤務の特性を考慮した日数増とすることを求めていきます。
A 保護者会、授業参観、運動会、子どもの予防接種等の学校行事、検診に出席するための「仮称子育て休暇」の制度化を求めます。
B 次世代育成支援対策の取り組み
1) 次世代育成支援対策推進法に基づき、介護休暇、育児休業のさらなる改善を求めます。
2) 部分休業について、就学児まで対象とするよう要求していきます。
3) 育児時間制度の改悪に反対し、母性保護制度の拡充を求めます。
4) 出産支援休暇について、都なみの改善を求めます。
5) 出勤時間の特例措置と同等の制度の創設を求めます。
6) 育児休業中の共済長期掛金の免除を3歳までとすることを求めます。
7) 育児休業手当金の支給期間を1歳半に延長することを求めます。
8) 育児休業などを取得しやすい制度となるよう、昇給制度の改善など、賃金・一時金・退職手当等に関わる取扱いの改善求めます。
9) 育児休業の男性取得率のアップのための条件整備を求めます。
10) 育児時間について、取得時間を120分にすること、取得期間を3年に拡大することを求めます。
11) 育休任期付職員採用制度の導入や職員配置の条件整備を行うことなどを柱とするよう、特定事業主行動計画の抜本的改正を求めます。
C 慶弔休暇の範囲について、父母の追悼のための特別な行事を行う場合だけでなく、子の場合も適用することや慶弔休暇の付与日数から週休日、休日を除くよう制度の改善を求めます。
D ボランティア休暇、リフレッシュ休暇、人間ドック職免について、取得促進に向け、当局にその対応を求め、その内容について普及します。また、リフレッシュ休暇については取得日数や取得年齢などの改善を求めます。
E メーデー(5月1日)職免廃止に反対し、休日化をめざします。また、再雇用職員がメーデーに参加した場合は、職免扱いとするよう求めます。
F 年休取得について、暦年から年度に変えることを求めます。

5、

06年職場要求実現の取り組み

(1)職場要求の前進めざして
@ 「2006年度区職労職場要求書(職場統一要求・第1次要求書)」「第2次要求書(各職場の人員要求と職場改善要求)」の回答を年内の大衆的団体交渉で求めます。
A 重点課題要求及び回答の不十分な要求・課題については、年度内に反復した交渉を配置し、要求の前進をめざします。
B 各分会の要求については、その実現に向けて援助します。分会の重点課題については、分会の要請に基づいて、執行部が協力して解決をめざします。

(2)2007年度職場要求について
@ 2007年度の職場要求集約にあたっては、全職場からの要求集約を追求します。
A 区職員の生活・職場実態等アンケート(2006年5月から6月)を取り組み、07要求に反映します。
B 分会のない職場の要求集約とその要求前進のために、全職場での職場委員の選出と担当執行委員を配置して取り組みます。
C 分会のない全職場で職場懇談会を組織し、要求・意見を集約します。
D 分会の要求集約を援助します。
E 要求集約は、2006年6月から8月にかけて行います。

6、

成果主義型の人事管理強化に反対し、職場の民主化をすすめる

(1)人事考課制度について
@ 人事考課制度(定期評定制度・自己申告制度)に対する基本的立場を次のように堅持して取り組みます。
1) 全体の奉仕者としての能力・資質の向上が重視される人事考課制度であり、その上に公務労働の業務遂行を保障する人事・人材育成制度となること。
2) 個人だけでなく、行政の組織構成員と組織全体の資質や水準の向上が図られる制度であること。
3) 住民参加・職員参加が保障され、公務運営を保障する権利としての研修制度を充実すること。
A 人事考課制度に関する事項は、「賃金・労働条件に関わる重要なものであり労使交渉事項」であることを明確にさせて対応します。
B 人材育成、絶対評価の観点から相対評価とさせず、かつ主観的・恣意的評価をさせず、公正・公平な制度確立、「苦情相談制度」、「本人開示制度」、訂正権の保障などを求めます。
C 人事考課制度は、職員に対する管理強化や組合員間に分断・差別やプライヴァシーの侵害をもたらし、組合員の労働条件に大きく影響するものであり、給与制度とリンクさせないなど、実質的にその狙いを発揮させないよう取り組みます。
D 人事考課制度の問題点を検証するための労使協議の場を設置するよう求めます。
E 人事考課制度の評価結果について、昇任、昇格、昇給制度に利用せず、職務遂行等に活用することを求めます。
F 自己申告書の提出は強制しないよう求めます。また、目標管理の強制を行わないこと、チームワークの業務の場合は共通の目標管理を行うよう求めます。
G 一般職員が管理職を評価する制度を検討することを求めます。
H 人事考課制度問題の学習会を行います。

(3)公益通報制度について
@ 匿名でも受け付けるように条例改正することを求めます。
A 行政監察員に女性弁護士等を加えることを求めます。

■公益通報制度
条例は、千代田区の行政の執行に携わる者が、公益に反する事態を是正するため正当な通報をしたことにより不利益取扱を受けないようにするとともに、行政監察員を設置して公益のための通報の機会を拡充し、もって透明で適法かつ公正な区政運営を保持することを目的としている。

(4)当局の研修について
@ 職員研修について、職員の自己実現ないし発達保障のための権利であることを認めて行うよう求めていきます。その上で研修内容については、職員参加で充実させるよう求めます。
A 住民本位の仕事を積極的に進め、明るい、働きがいのある職場にするために各種の研修を積極的に計画するよう求めます。
特に、2006年度について「自治体の公共性と公務労働」、「構造改革の自治体への影響」、「地方自治制度改革の論点」、「憲法と地方自治」、「住民福祉のための自治体実現」、「公務員制度改革」「三位一体改革と地方自治財政」などのテーマについて取り入れるよう要望します。
B 公務に関係の薄いものや労働条件及び労使関係に影響を与える研修計画については、事前協議を行い実施させないようにします。
C 2006年度の研修計画については、2005年度中に報告を求め、意見を出します。
D 技術・技能の研修については、当該職種・職場の要望にそって積極的に実施するよう求めます。
E 研修は、相当十分な期間をもって対象者に周知し、仕事上などで支障のないよう配慮することを求めます。
F 障害をもつ職員について、研修会場の設定及び義務的な研修については障害上不可能な部分は配慮するよう求めます。
G パソコン研修を大幅に増やし、人材育成を行うよう求めます。
H 異職種・職務従事者について、業務に関わる研修を行うよう求めます。特に、事務を行っている職員について、地方自治法など基本的な事務職の研修を行うよう求めます。

(5)自治体のIT化に対する取り組み
@ OA、IT化による労働の変化に対し、組合員の権利と労働条件を守る取り組みをすすめます。また、自治体のIT(情報技術)化に対する政策・方針を確立し取り組みます。
A 新たなシステム等の計画については、当局との事前協議を徹底し、既存のシステムについても、定期的な協議を求め、問題解決に努めます。協議にあたっては関連部課と組合との懇談会をもち、意見交流を行いつつ対応を進めます。特に、新庁舎のIT化にあたって、協議を求めていきます。
B 自治体のIT化に対する問題点を研究します。
C 職員を含め全ての人が何時でも使うことが出来るよう、使いやすいシステムスペース、照明などの改善を求めます。特に庁内LAN、財務会計システムについて、使いやすいように改善するよう求めます。
D デジタルデバイド出現防止、救済のため常設のIT講習施設・機会の設置を求めます。また、組合員のニーズに合った区職労パソコン教室を検討します。
E 全職員が使えるよう、職場のLAN端末・パソコンを増やし、機器の使用に不慣れな人に配慮した対応を求め、かつ研修のさらなる充実を求めます。また、業務職・再任用職員・再雇用職員にも職務上必要なパソコンを配置するよう求めます。
F パソコンの更新を求めていきます。
G 安全衛生教育、プライヴァシー保護・徹底とVDT作業基準の運用実態の調査と改善及び必要に応じてその基準の見直しを求めます。
H 新規システムの開発にあたって、住民のプライヴァシー保護を徹底して行うよう求めます。
I 住民基本台帳ネットワークについては、プライヴシー保護・セキュリティー不備の観点から、接続中止を求めていきます。
J パソコン等に保存されている住民等のプライヴシーについて、その保護を職員に徹底するよう当局に求めます。
K VDT作業のほとんどを個人の机上で行う特性から、体形に合った調節のできる机やイスを導入するよう求めていきます。
L 庁内LANについて、区職労も使用できるよう要求します。
M 庁内LANで流す互助会などの職員への情報について、行き届かない職員への配慮を行うよう求めます。

■デジタルデバイド
自治体の電子情報を使いこなせないと極端な不平等が生じること。

(6)職場での権利確立と働きがいのある職場づくり
@ 性別、職種による差別、人事任用による差別をなくし、明るく働きやすい男女共同参画社会をつくるために取り組みます。
A 男女共同参画社会基本法に基づき、男女があらゆる分野に共同して参画する機会を確保することを求めます。また、人材登用に関わる格差是正、育児、介護等に関わる休暇制度の拡充を行い、男女が較差なく働けるよう求めます。
B 区行政内部の各種プロジェクトチーム等への参加について、女性の参加拡大を求めます。
C セクシュアル・ハラスメント防止と方針の徹底を求めます。セクハラの対応については、「苦情処理会議」「防止連絡会議」に役員を派遣し、十分な調査に基づき対応するよう求めます。また、パワーハラスメントの防止等の対策を求めます。
D 夫婦別姓の制度化を求めます。当面、旧姓使用の改善を求めます。
E 職場のいじめをなくし、働きやすい職場をつくるために管理職等の対応を求めます。

■パワーハラスメント
パワーハラスメントとは、職場における立場や地位を利用したいじめであり、労働問題そのものである。多くの労働問題のトラブルは、パワーハラスメントとは無縁ではなく、労働問題事件の多くは、いじめが絡んでいる。

7、

職員の健康を守り、職場環境の安全確保と働きやすい職場をめざして

(1)職員の健康と職場環境の安全確保
@ 区職労は、利用者と現場職員の声をもとに、見せかけでなく、真に実効性のある利用しやすく安全な施設改善を追求していきます。
A OA化やIT化、組織の変更などで職場環境が大きく変わる中で、職員の健康と働きやすい職場づくりが求めていきます。
B 毎年のように繰り返される組織改正や配置職員の減少、トップからの思い付き業務の連続、過密労働によって精神的・肉体的疲労や疾病が増加していることは労働安全衛生委員会でも明確に指摘されていることであり、早急に対策を行うことを求めます。
C 安全衛生委員会の活動強化を求め、職場の安全衛生委員会を機能させます。また、過重労働が招く肉体的・精神的障害のチェック体制の強化を求めます。
D 労働安全衛生法に基づき、専属の「産業医」の配置を求めます。また、保健士の配置についても、常勤配置など一層の充実を求めます。
E 労働災害予防、職業病根絶のための点検活動を強め、安全教育を求めます。
F 職場から労働安全衛生法違反を一掃します。そのために、何が法律違反かを明確にし、職場に徹底していきます。
G 公務災害の発生にあたっては、迅速に対処し、当局責任を明確にしつつ、認定闘争をすすめます。
H 実施されているガン検診(喀痰検査、便潜血検査等)は有効でないとの意見もあり、もっと発見率の高い検査内容とするよう求めていきます。
I レントゲンの被ばく線量の問題など、健康診断の改善を求めます。また、人間ドックを含めて、健康診断等の受診率を高めるための啓蒙活動の強化を求めます。
J 職員のメンタルヘルス対策について、その強化と管理職の早期対応を求めます。また、当該者及び周辺の職員が相談できるようなカウンセリング制度を確立することを求めます。別途、区職労メンタルヘルス対策要求を出します。
K 本庁舎の喫煙室の改善など、分煙化の徹底を求めます。出先職場の分煙化について、施設改修のための予算化など、安全衛生委員会に働きかけ、実効ある措置を計画的に行うことを求めます。
L すべての職場から合成洗剤をなくすことを求めていきます。
M 事業所、職場の事務室について、スペース拡大などその改善を求めていきます。
N 耐震診断結果に基づき、安全上問題のある区施設について、早急な改修を求めます。本庁舎については、新庁舎建設の期間の対応として、必要な改修を行うよう求めます。
O 区施設について、実効あるバリアフリー化を求めます。

(2)区役所新庁舎に関わる労働条件の整備について
区役所新庁舎に関わる、出入管理、出勤管理、総合窓口などの労働条件整備について、区当局に協議を求めていきます。

8、

民間委託・民営化、人員削減などの「NPM行革」・「構造改革」路線に反対し、職場と地方自治を守り、住民本位の区政をめざして

(1)千代田区の「NPM型行革」・「構造改革」路線に反対する取り組み
@ 「改定行革大綱」について
1) 成果主義人事管理の更なる徹底により、職員のやる気を引き出し、行財政運営面では、一層の経営的視点を前面に押し出し、新たに指定管理者制度などを使い事務事業のアウトソーシング(外部委託)を実施するとする「改定行革大綱」の具体化に反対します。
2) 人件費の削減、経費を削減しつつ住民サービスも充実させる最適な行政サービス提供方法の選択など、組織のスリム化や経営能力の向上等に関する取り組みを引き続き進めていくとし、一定の目標を定め、人員削減とコスト削減を中心に実施しようとする「改定行革大綱」の具体化に反対します。
3) 「改定行革大綱」の具体化は、憲法や地方自治法などによって規定された自治体の公共性(自治体行政の存在理由)が無視され、区民サービスや職員の労働条件に大きな影響を与えるので反対します。
4) 民営化などで職場(職種)そのものを奪われる職員がでることについて、反対します。
5) 「改定行革大綱に対する区職労見解」を普及します。
6) 「改定行革大綱」に基づく労働条件の変更は、交渉体制を強化し、協議を尽くし、かつ協議が整うまで具体的実施をさせないよう取り組みます。
7) 「改定行革大綱」に関わる課題については、区職労闘争委員会で意思統一して運動します。
8) 「改定行革大綱」の内容を区民に伝えます。
A 民間委託・民営化に対する基本的な下記の視点を堅持し、公共性を損なう民間委託に反対して取り組みます。
1) 法令に照らして委託は違法とならないか、公的責任は確保されるシステムになっているか、委託先が公共性を維持できるのか
2) 自治体の職場が奪われ、働く権利が脅かされていないか
3) 経済効率性の追求により行政水準が低下しないか
4) 行政の民主性、公平性、公正性が損なわれていないか
5) 委託先の労働者の賃金・労働条件が適正に確保されているか
6) 住民のプライヴァシーが危険にさらされないか
7) 住民サービスが継続的、安定的に行われ、負担増とサービス低下を招かないか、住民サービスの向上に役立つのか
B 委託後の問題について、委託契約に基づいているのか、問題点がないかなど、委託会社の姿勢を追求していきます。
C 学校給食調理の民間委託反対の取り組み
1) 学校給食調理の民間委託の最終年度にあたることから、引き続き、委託に反対し、かつ給食調理職員としての職務を残させるよう最大限取り組みを進めます。
2) 職員の働く権利を守り、強制的な異動には反対していきます。
3) 委託された給食調理職場の点検を行います。
4) 具体的には、「学校問題対策委員会」を設置し対応します。
D 保育園給食調理の民間委託反対の取り組み
1) 保育園給食調理民間委託の最終年度にあたることから、引き続き、委託に反対し、かつ給食調理員としての職務を残させるよう最大限取り組みます。
2) 職員の働く権利を守り、強制的な異動には反対していきます。
3) 委託された給食調理職場の点検を行います。
4) 具体的には、「保育園問題対策委員会」を設置して取り組みます。
E 児童館運営、学童クラブの民間委託反対の取り組み
1) 児童館運営、学童クラブの民間委託に反対します。
2) 学童クラブ開設は、行政が直営で対応するよう求めます。
3) 委託されている学童クラブ(アフタースクール)について、調査・点検します。
4) 区職労、児童館分会等で構成する「児童館問題対策委員会」を設置して取り組みます。
F 保育園の民営化反対、公的保育の充実について
1) 保育園の民営化に反対し、かつ住民共闘を追求して取り組みます。
2) 東京都の保育所への補助金カットに反対します。
3) 保育料の値上げに反対します。
4) 具体的には、「保育園問題対策委員会」を設置して取り組みます。
G 「こども園」の拡大に対するする取り組み
1) 保育士についての交渉窓口を園長だけでなく子育て推進室とするよう求めます。
2) 区職労、保育園分会、都教組千代田と共に「こども園問題対策協議会」を再開し、労働条件全般について、対応していきます。
3) 「こども園」について、学者・研究者の協力も得て、点検活動を行います。
4) 富士見幼稚園と飯田橋保育園の「こども園」化については、「いづみこども園」がうまく機能していないという認識から、アンケートを参考に問題点を明らかにして、改善を求めていきます。
H (仮称)障害者福祉センター、いきいきプラザ、福祉作業所、岩本町ほほえみプラザ、高齢者センター、西神田在宅サービスセンターへの指定管理者制度の導入について
1) 新規及び既存の福祉施設に指定管理者制度を導入し民営化するとしていることについて、関係者と十分な協議を行うことを求めていきます。
2) 区が社会福祉協議会などに運営を委託しているものについては、引き続き、指定管理者とするよう求めます。
3) 民間事業者などの指定により、今までいた職員の雇用を引き続き保障するよう求めていきます。
4) 「市場化」の名のもとに社会福祉施設を解体していくことに反対します。
I 図書館や社会教育施設の民間委託と指定管理者制度の導入反対の取り組み
1) 新図書館の整備に合わせた指定管理者制度の導入に対し、公共性を損なうものとして反対します。
2) 当面、図書館の民間委託は、公共性を確保できる分野とし、最小限の範囲のものとするよう求めていきます。
3) 図書館行政について、憲法、教育基本法、社会教育法、図書案法で保障された住民が健康で文化的な生活を営む権利、学ぶ権利を保障するための施設であることを踏まえて対応するよう求めます。
4) 住民が所得の違いに関わらず、安い費用で社会教育施設を利用できることを求めていきます。
5) 区職労と図書館職場の懇談会通じて、かつ利用者の意向も聞きつつ取り組みを進めます。
J 保健所の検査業務委託に反対する取り組み
1) 臨床検査、公害検査、衛生監視等に関わる検査業務について、民間検査機関に委託することに反対します。
2) 保健所業務が年々縮小され、衛生医療行政が後退していることについて、検査の精度、危機管理などの問題点を指摘します。
3) 特殊な仕事をしている保健所の検査や食品監視、環境監視のように専門性を確保すべきものは、新規採用を行って仕事を継承していくことを求めていきます。
K 夜間勤務者の配置
1) 夜間勤務者問題の労使合意(2000年3月)にもとづき、学校の夜 間勤務者の配置について、実行するよう求めます。
2) 夜間勤務者の配置は職員、区民のいのちを守り安全を確保する課題と 位置づけ、「夜間勤務者問題対策委員会」を設置して取り組みをすすめ ます。
3) 夜間勤務の拠点施設について、正規職員の配置を求めます。
4) 夜間勤務者問題の見直しにあたっては、労使協議を尽くすことを求めます。
5) 災害情報対策員と本庁巡視の統合については、職場の合意と区職労協 議を尽くすことを求めます。
L 中高一貫教育問題
1) 中高一貫教育については、保護者、区民、教職員など、関係者の十分な合意のもとにすすめるよう求めます。
2) 教育基本法に基づき、区立中高一貫校のエリート校化に反対します。

(2)事業部制について
@ 事業部制は次のような問題点があるので、是正するよう求めていきます。
1) 事業部制の「選択と集中」の構造は行財政の効率化にあります。
2) 事業部制は、個々の職員が事業部のコスト削減競争にかりたてられる問題があります。
3) 事業部どうしで比較され、教育・福祉・環境・コミュニティなどの諸政策が、競争を通じて無理やり優先順位をつけられ、サービスの削減の危機にさらされます。
4) 人事任用給与関係の権限委譲によって、公平な人事任用給与の保障が損なわれ、「情実」「恣意的」な結果が起こり得る危険性があります。
5) 自治体組織における双方向のコミュニケーションが損なわれます。
A グループ制は公務職場になじまないと指摘されることから導入に原則反対します。

(3)組織整備について
@ 組織整備にあたっては、職場環境・労働条件・区民サービス向上、区民にわかりやすいことの面から検討し、徹底した職員参加を経て、十分な期間をおいて事前協議をするよう求めていきます。
A 課・係の再編、統廃合について、業務の進めやすさや区民サービスに見合った組織に見直すべきであり、画一的な1割(約30ポスト)削減には反対します。
B 二つの課の課長兼務に反対します。

■約30ポスト削減
「改定行革大綱」に掲げられているが、ポスト削減が先にありきで、人員削減を目的としたものとなっているのは否めない。

(4)行政評価制度について
@ 「NPM」に基づく行政評価制度について、次のような問題点の改善を求めます。
1) 顧客志向あるいは納税者志向で行われる行政評価は、区民の立場の多様性・多面性を捨象(共通性以外のものを捨て去る)していること。
2) 目標と指標の設定に関わっては、民主制が欠如していること。
3) 指標設定においての操作化の問題があること。
4) 行政評価システムは行政運営全体にもたらす歪みと硬直化があること。

■行政評価制度
NPMをすすめる上での具体的なやり方。計画・執行・評価のPDSマネージメントサイクルを確立し、成果や業績を数値的に把握し、その結果から資源配分の見直し、組織改編、委託化・民営化などを行うというもの。

8、

区政政策と予算編成に関わって

(1)区政政策について
@ 政策決定にあたっては、区民及び職員参加のもとで、相当期間をかけて決定するよう求めていきます。
A 「地方自治の本旨」に基づき、財政に裏打ちされた住民自治・団体自治を実現できる「真の地方分権」を求めます。
B 「改定推進プログラム」について
1) 「都市再生」や無秩序な開発の動きから千代田区の街(いつまでも住み働き続けられるまち)を守るために、デベロッパー・事業者側に対する規制を行うなど、抜本的な対策を取ることを求めます。
2) 「観光の振興」や「祭りイベントの開催」への区財政投与については、区行財政効率化の観点から検討し、かつ区民の意見をよく聞いて、見直しも含めて検討することを求めます。
C 自治体の統合・合併等の問題については、国、都からの干渉を排除し、住民自治の立場から検討するよう求めます。

(2)区予算編成について
@ 区民要望にそった必要な事業の経費は、区予算編成において、きちんと措置し、区民サービスを低下させないようにすることを求めます。
A 職場・現場でムダであるという意見がある事業については、十分な検討を行って判断することを求めます。
B コスト効率主義を改め、区民サービスの質及び公共性の観点から予算編成を行うことを求めます。
C 新規施策や事務事業の企画・立案にあたっては、成果の視点重視偏重ではなく、区民が真に求めているものを作ることを求めます。
D サービスのコストや質を民間と比較する場合は、短期長期的な視点でサービスを検討することと、民間の低賃金労働に甘えることはしないことを求めます。
E 06予算編成にあたっては、職員の新規採用方針を変えないことを要求します。

9、

自治研究活動の取り組み

(1)区職労自治研究の推進
@ 区政政策について、検討を加え区民に広く明らかにしていきます。
A 「千代田新世紀構想」「推進プログラム改定」が千代田の街の居住環境を破壊し、区民に「痛み」を伴う本質を広く区民に明らかにしていきます。
B 自らの仕事を点検し、住民本位の区政、働きがいのある職場づくりをめざした職場自治研を組織し、職場政策づくりをめざします。
C 自治研究の成果に基づき、区民宣伝を再開します。
D 各種団体の自治研究に関わる集会、学習会に、組合員を派遣します。
E 区職労自治研推進担当者を配置し、分会、部、分会以外の職場から自治研推進員をつのります。また、課題別に自治研推進プロジェクトを組織します。
F 東京自治問題研究所と提携し、千代田区の決算・予算及び行政分析を行います。
G NPM(新しい公共経営)と構造改革について、学習会を行います。また、保育園や児童館の民営化問題の学習会を行います。

(2)特別区の自治権拡充をめざす取り組み
@ 特別区の自治権拡充、財政自主権拡充・強化、住民サ−ビスの向上、労働条件の維持・改善をめざし、特区連方針にそって取り組みをすすめます。
A 都区財政調整の課題について検討し、その問題について組合員に明かにします。
B 23区及び自治権拡充の立場から「千代田市構想」を研究します。

10、

災害から区民と職員のいのちと生活を守り、安全を確保する取り組みについて
(1) 災害から区民のいのちと安全、財産を守るために、区施設に働く職員の安全が確保され、ただちに救援活動が開始できるような措置を普段から取っておくことを求めます。
(2) 災害対策の初動態勢の抜本的強化を求めます。
(3) 現行の夜間勤務者について、防災活用するよう求めます。
(4) 現行夜間勤務者と災害情報対策員による「(仮称)初期情報収集防災ネットワーク」づくりを求めます。
(5) 災害時の職員の労働条件整備や組合が災害時に直接区民に対してできることについて、調査・検討します。災害対策の初動態勢の抜本的強化を求めます。
(6) 初動要員を確保するために職員住宅の増設を求めます。
(7) 区施設の安全確保と安全な職場について
@ 区施設の耐震診断の結果を踏まえ、緊急に補修や改善等を要するものについては、ただちに実施するよう要求します。
A 区施設に備え付けられている非常用の機器や備品などの総点検の実施と不備を改善することを求めます。

(8)防災計画について
@ 住民の避難所や地区救援センターになると想定されるあらゆる区施設に働く職員を防災上の要員と位置づけ、必要な研修や訓練、体制を取るよう求めます。特に、本庁舎の職員の避難訓練を行うよう求めます。
A 直下型地震に何時いかなる場合でも対応できる職員の行動マニュアルの策定と、その上で、想定される災害の実態に即した訓練を実施することを求めます。
B 災害時に有効なバイク、自転車などを区施設に配置することを求めます。

(9)中越地震や三宅島の島民の帰島への支援を行います。

■「(仮称)初期情報収集防災ネットワーク」
区職労が、阪神・淡路大震災を教訓にし、本庁舎に夜間勤務者としての災害情報対策員を配置させ、かつ学校などの夜間勤務者を災害時に活用するよう求めたものである。災害時には、現場での初期情報の収集が重要であるとの教訓から、地域に配置されている夜間勤務者をネットワーク化すべきと提言しているが、区当局は関心がない。

11、

社会保障制度改善など、制度・政策要求の前進めざして

(1)年金制度改悪に反対する取り組み
@ 2004年6月に改悪された年金制度をもとにもどすよう運動していきます。
A 掛け金引き上げや福祉目的税化による消費税率の引き上げには反対します。
B 莫大な年金積立金の使い道を明らかにさせる取り組みをすすめます。
C 最低保障年金の確立を求めます。
D 厚生年金、共済年金の財政方式を積み立て方式から賦課方式に変え、巨額の積立金の活用を図ることを求めます。
E 共済年金の労使負担割合の改善(労働者3、使用者7の負担に変える)を求めます。
F これらのたたかいを地域の「千代田区社会保障推進協議会」とともに積極的に進めます。

(2)消費税廃止を展望し再引き上げと増税に反対する取り組み
@ 2007年の消費税再引き上げに反対し運動します。
A 消費税は、1)最悪の大衆課税であること、2)軍事費の財源づくりであること、3)大企業減税のためであることなどを広く宣伝し、国民的な運動で廃止をめざします。
B 定率減税の全面廃止に反対します。
C 「消費税をなくす千代田の会」など、廃止、再引き上げに反対する 団体等と幅広く連帯して取り組みます。

(3)医療制度改悪反対の取り組み
@ 06年からの医療制度の改悪、医療の「市場化」に反対します。
A 本人負担を元に戻すよう求める運動に参加します。
B 世界一高い薬価を引き下げるなど、医療保険を大幅に改善するよう求めます。
C 健保本人3割負担実施の緩和策を都共済に要求します。
D 公立病院の統廃合、病院経営への企業参入に反対します。

(4)介護保険制度改善の取り組み
@ 2005年の介護保険制度の改定に向けて、国庫負担の拡大、特養老人ホーム、グループホームなどの施設の増設などを求めていきます。
A 介護保険料の値上げと20歳以上からも保険料を徴収することに反対します。
B 「千代田区社会保障推進協議会」に引き続き参加して、介護保険制度の改善に取り組みます。
C 介護報酬の引き上げに取り組みます。同時に介護報酬の引き上げを、介護保険料の引き上げと連動させないことを要求します。
D 介護報酬の引き上げの内容として、ホームヘルパーなど介護関係労働者が生活できる賃金を保障すること、事業者も安定した事業ができるものであることを要求します。
E 介護保険制度の改善要求に関連して、自治体独自の高齢者福祉対策の後退が著しいため、後退させないで復活、実現するように要求します。
F 低所得者など介護保険を十分に利用できない問題を解決するために、自治体が支援する制度を求めていきます。

(5)最低賃金制度確立、自治体関連労働者の賃金・労働条件改善を求める取り組み
@ 増大するパート労働者が、不当な低賃金で働くことを余儀なくされており、このような状況が、正規職員の賃金引下げに利用されているという観点からも、最低賃金制の確立を求めていきます。
A 上部団体や地域の行動に参加し、全国一律最低賃金制の確立をめざして取り組みます。
B 千代田区春闘共闘委員会などの地域の労働組合、地域の広範な団体と共に最低賃金制度確立をめざします。
C 区役所に働く「臨時・非常勤」職員及び関連労働者(委託先の労働者含む)の雇用・賃金・労働条件の改善を求めます。特に、非常勤職員と交流し、その賃金、労働条件の改善を支援します。
D 区に対して、最低賃金を引き上げ、それを保障する「公契約条例」を制定するよう求めます。

(6)公務員制度の改悪反対と労働基本権回復の取り組み
@ 職場に差別と分断をもたらす人事評価制度を柱とした「能力・成果主義」に基づく、「公務員制度改革」に反対していきます。
A 「住民と共に、信頼される公務員」の確立、民主的な公務員制度の改革をめざす立場から、国のすすめる公務員制度の改悪に反対します。
B 「能力・成果・成績主義」に基づいた人事制度及び賃金の改悪に反対します。
C 憲法と「地方自治の本旨」にかなった地方公務員制度の確立及び公務員制度問題の徹底をめざし、学習会を開催します。
D ILO条約、国際労働基準に基づく公務員の働くルールの確立を求めます。
E 「人勧体制打破」をめざし、公務員のスト権回復を展望します。あらゆる機会を通じて、「人勧体制打破」、ストライキ権回復の意義を明らかにして、たたかいます。
F ILO 151号条約(公務における団結権の保障および雇用条件に関する条約)をはじめとした、労働関係条約の批准を求めます。

■公契約条例
自治体などが、業務を委託するに際して、委託業者に対し民間労働者の賃金などの最低保障等定めることを目的とした条例のこと。条例にすることによって、労働者全体の賃金向上と自治体の公共性が確保できる。

12、

政治革新と環境を守る取り組み

(1)国政の変革と都政の民主化をめざす取り組み
@ 労働者のための政治めざし、政治革新を求めていきます。この点について、選挙の都度、組合員に向けて政治啓発活動を行います。
A 悪政と構造改革をすすめる小泉内閣の政治の転換を求めていきます。また、国民と労働者に犠牲を強いる郵政公社の民営化に反対します。
B 憲法を否定し、福祉・教育予算を削り、巨大開発をすすめる都政の転換をめざします。
C 福祉予算を復活させ、30人学級実現などの都民要求の実現を求め、広く都民との共同の場に積極的に参加し、石原都政の問題点を明らかにしていきます。
D 教職員や子どもへの「日の丸・君が代」の強制に反対します。

(2)民主区政を求める取り組み
@ 民主区政を実現するために要求の一致する政党や広範な民主団体との協力・共同をめざし、かつ共に自治研究活動などの取り組みを進めます。
A 重要な区政課題について、調査研究を行い政策提言を行います。同時にその内容を区民に知らせ、一致する課題について、区民、民主団体と共に連帯した取り組みをめざします。また、区議会各派との懇談を追求します。
B 災害対策や高齢者福祉、住み続けられるまちづくりなどの要求を区民、地域の労働者と共に組織し、区民・労働者の求める、開かれた区民本位の区政への転換を求めます。

(3)環境を守る取り組み
@ 地球環境を守るため、京都議定書の達成を政府に求めます。
A 「大気汚染調査行動」に参加し、組合員と区民の健康を守る取り組みに生かします。当局に対して千代田区の大気汚染を防止するため、関係機関に働きかけるよう求めます。
B 清掃、ごみ問題の解決に向け清掃千代田支部と連携し、取り組みを進めます。
1) 資源循環型清掃行政とするよう求めます。
2) 製造者・企業の責任で回収しリサイクルするシステムを求めます。また、消費者に負担を負わせる家電リサイクル法の改善を求めます。
3) 区庁舎、区施設のごみの分別収集と減量に協力し、リサイクル運動に積極的に関わっていきます。
C 東京都の水源地問題について、安全でおいしい水の供給を求めます。また、水道事業の利用料金の値上げと民営化に反対します。
D 原発反対・規制、脱原発の取り組みを進めます。また、電力業界の原発トラブルかくしを追及します。
E ダイオキシン問題の内容を広め、区が塩化ビニール製品の使用をやめるよう求めます。
F 区庁舎のISO14001取得後の取り組みについて担当部署との懇談を行い、問題点の指摘および今後の方向について区職労として積極的に提言できるよう努力します。また、出先機関のISO14001取得についても積極的に関わっていきます。
G 区職労の宣伝物について、環境に配慮して発行・発送するよう努めます。

■大気汚染調査行動
自動車の排ガスなどのよる東京の大気汚染が深刻になってきた状況のもとで、民主団体や労働組合が独自に測定用カプセルを使い調査している。区職労も各施設の皆さんにご協力いただいて、千代田区のデータを取り続けている。このデータをもとに毎年、都などに改善を求めている。

(4)食糧安全確保の取り組み
@ 安全性無視の規制緩和に反対し、食糧の自給率を高めるよう求め、米輸入自由化に引き続き反対します。
A 輸入食糧の問題やBSE問題を考え、食糧の安全確保を求めます。安全確保が確認できない米国産の牛肉輸入に反対します。
B 食品企業や大規模小売業の徹底したモラルを求め、また、国の食糧に対する情報を開示させ、行政の徹底した食糧検査体制を求めて、消費者の安全を守る取り組みを求めます。
C 安全が確認されていない遺伝子組み替え食品について、「給食」に使わせないよう求めていきます。
D 「食」の安全を守る立場からコスト重視の学校・保育園「給食」の民間委託に引き続き反対します。

13、

一致する要求に基づく労働者の共同闘争と連帯・支援の取り組み
(1) 要求で一致するあらゆる労働者・労働組合との幅広い共同闘争と連帯を強めます。
(2) 2005年春闘の地域における取り組みは、千代田区労協、千代田区春闘共闘委員会を中心とした春闘を取り組む団体とともに、積極的にたたかいます。
(3) 1047名の不当解雇・国家的不当労働行為である国鉄闘争支援の闘いを引き続き支援します。
(4) 労災、職業病、争議などの支援について
@ 労災認定・職業病根絶のたたかいを積極的に支援します。
A 過労死のない社会と職場の実現をめざします。
B 首切り、差別、権利侵害などの争議支援を区労協や千代田争議団などと連帯して取り組みます。
(5) 千代田区労協の主要な役割を担い、区政課題などについての取り組みを行い、かつ交流・連帯を大事にして活動します。
(6) 千代田地域の文化活動にも積極的に参加していきます。
(7) 外国人労働者の権利擁護など国際連帯活動に参加します。
(8) 中部全労協について、引き続きオブザーバー加盟します。

14、

組合活動の規制に反対する取り組み
(1) 「地公法55条」「ながら条例」「職免・減免規則」の廃止に反対し、規則に基づく時間内組合活動を保障するよう要求します。特に、有給による勤務時間内での分会大会を認めさせるよう要求していきます。
(2) 組合員が自主的に行う正当な政治活動について、不当な処分、弾圧を行わないことを確認させます。
(3) 組合活動に対する不当介入を断固として許さず、不当処分に反対し、処分の撤回、不利益の実損回復を求めます。
(4) 区職労の時間外の宣伝行動への干渉をはねのけます。
(5) 組合事務所や組合掲示板を確保し、区職労運動を進めます。
(6) 事務所使用料の不当な請求については、はねかえしていきます。

15、

組織=上部団体選択問題の取り組みについて
(1) 未批准になっている組織選択問題の決着に向け議論します。
(2) 職場に対し産別の新聞など、討議資料を配付し、討議素材を提供します。
(3) 産別に関する運動については、執行委員会の討議を経て要求の一致を基本に取り組みます。

■組織選択問題
労働組合運動がナショナルセンターである連合と全労連に分かれた時に、当時の東京都区職員労働組合(都職)のしきりのもとで、区職労もどちらに参加するのか、組織=上部団体の選択、つまり連合・自治労か全労連・自治労連かが迫られた。その結果、組合員総数の過半数の賛成が得られなく、全労連・自治労連及び中立の選択ができていない。従って、区職労は、従来、自治労に組織加盟していたので、今日まで、自治労傘下の組合として組合費を納めている。

16、

文化、スポーツ活動の取り組みについて
(1) 文化・スポーツは、心身に良い刺激を与え、活性化させるだけでなく、豊かな感性や創造性を育むなど、人間性の全面的発達に欠かせない営みとなっており、区職労として組合員の文化・スポーツ活動を支援します。
(2) 組合員の文化・スポーツ要求を大切にし、組合員同士の人間的結びつきを広める立場から、区互助会の文化・スポーツ事業の拡充を求めます。
(3) 職員文化体育祭実行委員会へ役員を派遣します。なお、区職労支出金は、参加する組合員に直接行うよう改めます。
(4) 上部団体、地域団体主催の文化・スポ−ツ活動への組合員の参加を支援します。
(5) 中高年部・女性部・青年部(ユース部)・再雇用部会、各分会主催の文化・スポーツ・レクリエーション活動を奨励し、協力します。
(6) 健全で民主的な映画・演劇・音楽会などを紹介し、参加する組合員に参加費の助成などの援助を行います。
(7) 竹の子掘り、手作り味噌作り、さくらんぼ狩りなど、組合員相互とその家族の親睦、交流をめざした文化・スポーツ行事を実施します。
(8) 三部合同学習旅行会を支援します。
(9) 区職労団結まつりなど、組合員の交流、親睦を深める取り組みを行い ます。
(10) 各サークル活動などについて、ホームページを利用できるよう検討 を行います。

17、

共済制度など、組合員の生活を支援する取り組みについて
(1) 組合員の退職準備とその後のライフプランについて、援助する取り組みを行います。
(2) 確定申告の仕方について、講座・相談会を実施します。
(3) 定年・勧奨退職者および再任用・再雇用満了者の送別会を行います。
(4) 組合員に対する無料法律相談を弁護士と提携して行います。
(5) 組合員のための退職慰労金制度について、区職労財政からの見直しを検討します。
(6) 組合の共済制度について
@ 区職労は、未批准の状態ですが、引き続き自治労共済を利用し、その掛け金に見合った改善を求めていきます。
A 組合員のニーズに応えた区職労独自の慶弔制度について、引き続き検討します。
B 自治労共済、全労済、都区職員共済会の火災共済、自然災害付火災共済、年金共済、生命・医療共済、自動車共済など任意共済事業を取り扱い、その充実を求めます。
C 全労済推進委員会の活動を機能させ、取り組みを進めます。
D 「共済対策委員会」を設け、扱っている共済事業などの実務を円滑に進める体制をつくります。

(7)都区職員生協運動の推進について
@ 生協推進委員会を強化し、生協活動の普及と生協への意見反映に努めます。
A 安全な食品や商品の斡旋を生協に要望し、かつ区職労独自で産直運動と提携し、産直品を斡旋します。また、「区職労市」を開催します。
B 都区職員生協と提携し、住宅に関する問題の総合相談を定期的に実施します。
C 区職労団結まつりについて、都区職員生協と連携し開催します。

(8)労金との連携について
@ 区職労主導のもとに労働金庫と連携し、組合員のニーズに応えていく取り組みを行います。
A 組合員の意見を労働金庫に反映させます。
B 2006年財形募集の取り組みをすすめます。
C 労金推進委員会の活動を機能させ、取り組みをすすめます。

(9)組合車について、新規購入は行わず、現車輌は整備し、組合員に引き続き貸し出します。

18、

区職労の組織強化について
 区職労の組織強化の中長期的な目標と課題・取り組み方針を具体化します。

19、

区職労組織財政検討員会の設置
 区職労組織と運動の強化・発展をめざしていくために、組織、財政を総点検します。そこで、区職労役員と広く組合員の参加する「区職労組織財政検討委員会」を設置し、区職労組織財政のあり方を検討します。
以上。