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千代田区職員等公益通報(内部告発)制度に対する区職労見解
千代田区職員等公益通報(内部告発)制度に対する区職労見解
2003年6月
千代田区職労執行委員会
1、公益通報(内部告発)制度に対する区職労の考え方
国で公益通報者保護制度の議論が行われており、内部告発者の保護に対する法制化されれる状況にある。区職労は、こうした流れを歓迎し、民間企業への適用だけでなく、行政への適用も必要であるとの立場をとってきた。特に制度化にあたっては、通報がもたらす社会的利益にてらして、不正等を知り得た者が通報しやすく、かつ十分な法的保護を受けられる制度が必要であると考える。
こうしたなかで、千代田区が国に先がけて公益通報制度を制度化したことは評価できるものである。
2、千代田区職員等公益通報制度の内容の特徴
千代田区職員等公益通報制度の内容の特徴は以下の通りである。
(1)
この制度の目的は、「自浄作用により透明で適法かつ公正な区政運営を図る」としています。公益通報の内容としては、区政執行に係る法令違反、生命・身体・財産・環境への侵害・危険、その他不当な事実としている。
(2)
公益に反する事態を是正するため正当な通報をしたことにより、職員等が不利益取り扱いを受けないよう保護する。公益通報をしたことが原因で不利益取り扱いを受けた時は、行政監察員に通報でき、行政監察員は、反証がないかぎり公益通報を理由とした者と認定し、改善勧告・公表するとしている。
(3)
新たに行政監察員を設置し、区長等とともに公益通報先としている。公益通報は、匿名でも受け付けるとしている。また、一定の要件のもとでマスコミ等外部への通報も保護の対象としている。
(4)
行政監察員は、通報を受けると調査を行い区長に報告します。区長に報告しても問題が改善されなかった場合は、行政監察員が公表や告発等を行うことができる。
(5)
この制度は条例化を図り、8月から実施する予定である。
3、千代田区職員等公益通報制度に対して
千代田区職員等公益通報制度に対して、区職労は次の意見を述べることとする。
(1)
通報者の範囲について
@
正規職員ではない臨時職員・非常勤職員・派遣労働者も通報者の範囲に含むことを明示すべきである。
A
また、区の事業と関わる取引先やボランティア・スタッフも範囲にすることを検討すべきである。
(2)
通報者の保護について
@
通報先については、通報者が報道機関等に直接通報することができることとすべきである。
A
通報先は、拡大する方向で検討すべきである。
(3)
不利益取扱の禁止について
@
不利益取扱を行政監察員が認定した時は、改善勧告・公表だけでなく、不利益処分を行った者及びその連帯者が処分を受けるようにすべきである。
A
通報者の免責事項を次のように入れること。
・通報を行った場合の守秘義務違反の免責
B
不利益の範囲について、身分上の不利益、勤務条件上の差別、契約上の不利益などいかなる不利益を与えることを禁止することを明示すべきである。
C
救済措置について、名誉回復、現状復帰、損害賠償、本人希望による職場異動、契約解除の取消など、不利益の状況に応じた適切な救済方法を明示すべきである。
(4)
行政監察員について
@
行政観察員は、公正さを保持するため弁護士に限ること。
A
行政監察員の補助者の資格は、守秘義務を課し、独立性があり、区職員等、区議会議員と関わりのない者とすべきである。
4、制度運用にあたっての要望
(1)
行政監察員の区議会同意は、全員一致を基本とすること。
(2)
2人以上及び両性の行政監察員を選任すること。
(3)
この制度の内容を区職員等に十分な周知を行うこと。
(4)
通報された側の人権にも配慮すること。
以上。
*なお、この見解を発表した後に区議会で審議された結果、匿名での通報を認めず、原則、実名での通報によらなければならないと、条例が変更になりました。この事に対して、区職労は、匿名でも通報を受け付けるよう申し入れることにしました。