03賃金確定要求書を提出(10月24日)
2003年賃金確定に関わる要求書
 特別区人事委員会は本年10月7日、特別区職員の給与等に関する「勧告」を行いました。公民較差について特別区職員の給与が3,485円(0.79%)上回るとして、昨年に引き続く月例給与引き下げの「マイナス勧告」としただけでなく、一時金についても年間4.65月から4.40月とする5年連続の削減を、本年も「勧告」扱いとしました。
 月例給引き下げと一時金の削減を合わせると、職員の平均年間給与の減収は、過去最悪の16万9千円にもなります。しかも、5年連続となる年間給与の削減であり、その累計損失額は51万9千円に及び、私たちの要求や生活実態を無視した不満な「勧告」となっています。
 加えて、給料表減額改定にともなう本年4月からの年間較差分について、人事院勧告に準じた調整措置を3月期の期末手当から行うとしています。昨年と比較し、その調整方法の違いがあるとはいえ、またしても「不利益不遡及」の原則を踏みにじるものであり、断じて容認できません。また、マイナス較差算出の基礎となる民間給与実態や原資配分の考え方についての説明責任が果たされていない点でも納得しがたいものです。
 一方、国や都にはない第三子以降の扶養手当の改善とともに、「意見の申出」において、計画的・安定的な職員採用、職業生活と家庭生活の両立、育休代替要員の確保策の検討、職員の心の健康の保持について言及したことは、評価するものであります。貴職としても、改善に向けて引き続き努力されることを強く求めるものです。
 貴職に対する「賃金・労働条件改善に関する要求書」は、すでに本年3月10日に提出しているところですが、賃金確定交渉を開始するにあたり、私たちは「特別区人事委員会勧告」の真剣な精査を求めるとともに、昇任・昇格・昇給制度の改善などを含む要求事項を、7課題23項目として具体化しました。
 昨今、国の退職手当削減に伴い、地方自治体に対し同様の扱いをするよう、政府・総務省による法的にも問題のある「指導」があります。安易な民間との比較によるものであり、退職手当を含めた生涯賃金で調整し、公務員賃金を低く抑えてきた歴史的経緯を無視したものであり、断じて認めることはできません。
 貴職におかれましては、私たちの主張を十分に理解されるとともに、改めて下記のとおり要求事項を提出しますので、国・総務省等からの不当な「指導」に屈することなく、特別区の自治の立場を堅持し、自主的・主体的に決断して回答されるよう要求します。



一、 賃金等の改善について
1. 2003年特別区職員の賃金改善については、大都市東京の生活実態に相応しいものとすること。
2. 業務職給料表については、行(一)横引き体系を引き続き堅持すること。なお、再任用現業系職員に適用される給料表についても、行(一)横引き体系とすること。
3. 調整手当については、給料表額への繰り入れをはかるなど、制度改善に努力すること。
4. 再任用職員についても、定年前職員に準じて、大都市東京の生活実態に相応しいものとすること。
二、 例月支給諸手当等の改善について
1. 扶養手当については、現行支給額(配偶者が扶養家族でない場合の第一子等への加算の新設と教育加算の増額を含む)及び扶養認定限度額を引き上げること。
また、扶養認定限度額との整合性をはかるため、共済組合の扶養認定基準及び所得税の非課税限度額を引き上げるよう、引き続き関係機関に働きかけること。
2. 住居手当については、特別区職員の住居費支出の実態を踏まえ、手当のあり方を含めた抜本的な改善を行うこと。
3. 通勤手当については、特定の交通機関等の利用者に対する超過分補填からも、手当限度額を引き上げること。
三、 一時金の改善について
1. 支給月数については、公民で比較ベースが異なっているなどの現状をふまえ、大都市特別区に相応しい支給水準とすること。
2. 「加算措置」については、その適用範囲を行政職・業務職ともに拡大し、また、加算区分についても改善を行うこと。
3. 勤勉手当は廃止し、期末手当に一本化すること。
四、 賃金決定基準の改善について
1. 都道府県行政とは異なる、基礎的自治体である特別区に相応しい人事・任用・給与制度に改善すること。
2. 昇任・昇格制度を改善すること。
@  昇任・昇格制度について、一職二級制度の維持・改善、定年退職時には行政系では6級、現業系では4級に到達できるよう、制度の改善及び運用を行うこと。
A  当面、現業系4級特別昇格特例取扱の選考資格基準年齢を、55歳からとすること。また、有資格者の実態をふまえて本則の実施率とは別枠とし、有資格者の5割以上を昇格させること。
B  係長長期選考の昇任率を有資格者の実態に合わせて改善し、行政系6級特別昇格の特例取扱を制度趣旨に即して実施すること。
 なお、統一交渉で合意した昇格率については、誠実に履行すること。
C  男女共同参画社会をめざして、特別区職員の男女別昇任・昇格の実態をふまえ、男女間格差の解消に向けた、具体的な改善策を提起すること。
3. 昇給制度の改善を行うこと。
@  昇任時特別昇給制度の拡充をはかること。
A  給料表の枠外者の救済のため、給料表の足のばしを行うこと。
B  人工透析等にともなう病気休暇の取得による、昇給制度等の不利益措置を改善すること。
4. ホームヘルパーが専らケアマネージメント業務に従事する実態を含め、職の安定的なあり方について早期に結論が得られるよう、引き続き協議すること。
五、 労働時間短縮の促進・休暇制度の拡充について
1. 土曜閉庁職場の拡大をはじめ、「1日当たりの労働時間」を短縮し、週40時間を下回る勤務制の条例改正に、引き続き努力すること。
2. 超過勤務の縮減と年次有給休暇の取得を促進し、年間総実労働時間のより一層の短縮をはかること。併せて、厚生労働省「基準」の遵守等、そのための条件整備をはかること。
3. 超過勤務手当の割増率については、100分の150(深夜超過勤務及び休日給は100分の200)にすること。
4. 育児休業・介護休暇の取得に関わる、賃金・一時金・退職金措置の改善をはかること。
六、 福利厚生制度の充実について
1. 福利厚生制度の一層の充実に向けて、引き続き努力すること。
2. 防災及び災害対策用を含め、区内及び近距離に職員が居住できるよう、職員住居援助施策の一層の拡充に向けた対応を行うこと。
七、 その他の要求項目
1. 公務員制度の民主的改革をはかるため、ILO勧告にそった労働基本権の完全保障など、関係法規の改正に向けて、政府関係機関への働きかけを行うこと。
2. 介護保険制度の充実や年金・医療保険をはじめとする社会保障制度全般の改善に向けて、政府関係機関への働きかけを行うこと。
3. 取得しやすい育児休業や介護休暇をめざして、引き続き制度の拡充を行うこと。
また、休業手当金の支給割合の改善など関係機関への働きかけを行うこと。