2003年賃金確定闘争の妥結にあたって
 2003年賃金確定闘争は、2年連続の月例給引き下げ、5年連続の一時金削減により、過去最大の年収減となる人事院・人事委員会勧告が出され、全国的にも勧告上乗せの賃金削減の動きが強まり、国においては、退職手当が最高支給月数を59.28月に引き下げられ、総務省が全国の自治体へも国に準じて見直しを行うよう指示するなど、厳しい情勢のもとでの闘いとなりました。とりわけ東京都では、第2次財政再建推進プランで、「内部努力」の柱の一つとして、「給与関係費の見直し」が取り上げられ、確保すべき財源目標を500億円と具体的に明示され、加えて「臨時的・時限的な財源対策を講じる必要」があるとして、給与及び退職手当の削減に集中的に攻撃がかけられました。

 特区連は、こうした厳しい状況のもとで、区長会に賃金改定の前提となる人事委員会勧告の精査・解明を求めるとともに、「不利益不遡及の原則」の遵守、昇任・昇格・昇給制度の改善、一時金の算定基礎問題の解決と加算措置拡大など、特区連要求の前進をめざして、23区長要請行動、各ブロック役員助役要請・決起集会、総決起集会の開催をはじめ、11月21日には29分職場大会を配置し、ねばり強く区長会と交渉を進めてきました。

 区長会は、「勧告の重さや、特別区を取り巻く例年以上に大変厳しい状況」とし、「区民の理解と納得が得られるような結論を出す必要がある」などと、繰り返し述べる姿勢に終始しました。

 こうした中で、私たちは、7課題23項目の「2003年賃金確定要求」を掲げ、区長会の自主的・主体的決断を求めて、70,000特区連組織の総力を挙げて闘い抜きました。
 その結果、@再任用職員も含めて、勧告給料表は、2004年1月1日から実施。「所要の調整措置(減額)」は、勧告どおり3月支給の期末手当で行う。なお、今後、比較給与項目から通勤手当を除外するよう人事委員会に意見をあげる、A業務職給料表は、従来どおりの考え方に基づき、勧告給料表と同様に引き下げ改定を行う、B一時金は、勧告どおり0.25月引き下げ、年間支給月数4.40月、再任用職員は0.15月引き下げ2.30月に削減。しかし、加算措置問題で「前向きに次年度確定交渉時までに解決する」との見解を引き出し、来年度に向けて改善の足がかりを築く、C諸手当では、扶養手当は、勧告どおり配偶者等500円引き下げて15,700円に、第3子以降500円引き上げて4,500円に増額。医師及び歯科医師の初任給調整手当は、勧告に基づき月額で最高1,800円減額する、D通勤手当は、勧告に基づき6箇月定期券価額により支給するとともに、支給限度額を55,000円に引き上げ、交通用具使用者の支給区分を改善(35q以上の区分を設け13,000円)、E退職手当は、最高支給月数を59.20月、到達年数を35年とし、実施時期は2004年4月1日、2004年度1年間を経過措置で削減幅を2分の1とし、2005年度を本則とする、F人工透析にともなう病気休暇取得による、欠勤日数換算の改善、G特別昇給欠格基準から妊娠初期休暇を除外する、H特別昇格の昇格率は、全級にわたって現行どおりとする、I福利厚生制度の充実について、互助組合・互助会の実施分担もあり得るので、年度内に方向を出す、などの到達点となりました。

 今回の到達点は、2年連続の月例給の引き下げと「不利益不遡及の原則」に抵触する減額調整措置、一時金の5年連続削減などで、平均年間給与が16.9万円減少するものであり、一時金の加算措置や福利厚生制度の改善・充実など、今後の展望を引き出したものの極めて不満なものです。加えて、退職手当については、「給与の後払い的性格」や「老後の生活保障的手当」であることから、組合員の期待は大きなものがあり、その削減は、厳しい結果となりました。

 しかし、小泉内閣の「総人件費削減方針」に基づき、総務省が退職手当やマイナス勧告を全国の自治体に猛烈に押しつける中、全国的に給与削減措置が拡大し、他都市でも国同様のカーブで退職手当削減が行われるとともに、マスコミによる執拗な公務員攻撃キャンペーンが展開される厳しい情勢のもとで、また、第4回定例区議会が既に始まり、11月中に終了する区があるなど、退職手当問題では、本当に申し訳ありませんでしたが、討議期間を保障できませんでした。置かれた環境や全般の状況を判断し、この到達点をもって妥結することとしました。

 今次闘争の到達点と教訓を踏まえ、今後も賃金、昇任・昇格・昇給制度、一時金の加算措置、地域・生活関連手当、勤務時間・休暇制度などの改善と、現業職員の処遇改善につながる現業系人事制度の確立をめざします。そのために、2003年賃金確定闘争全体の総括は、今後23区職労とともに十分議論を深めることとします。また、特区連は、清掃業務に従事する区現業職員に適用する人事制度の要求実現めざし、引き続き取り組みを強めるものです。

 この間、特区連の区長会交渉を職場から支え奮闘された組合員、連日ご苦労をいただいた区職労各級役員のみなさんに心から感謝いたします。

 同時に、全国の公務員労働者と連帯し、23区職労組合員の団結を基礎に、政府がILOの勧告に従い、私たち公務員労働者と充分な協議を行うことを求め、国民的批判の強い「キャリア制度廃止・天下り禁止」や労働基本権の確立など、真の公務員制度改革をめざして闘うとともに、合わせて小泉構造改革政治の転換をめざし、今後も厳しい情勢を切り開き、組合員の切実な生活と権利の要求を前進させていきます。

 特区連闘争委員会は、その先頭に立って闘う決意を表明するものです。

2003年11月20日
特別区職員労働組合連合会闘争委員会