2003年度運動方針目次へ次頁へ前頁へ

T、一年間の区職労運動全体を概括的に振り返って
1、組合員の生活と権利を守ろうと奮闘努力

 区職労は、大会方針にそって、3年連続の賃金削減攻撃や「小泉構造改革」の名による医療費・介護保険などの負担増攻撃に反対し、組合員の生活と権利を守るために奮闘努力したたかいました。また、有事法制反対など、安心・安全な生活の前提となる憲法と平和を守る課題にも取り組みました。
 しかし、01賃金確定闘争では、景気動向の低迷に引き続き影響され、給料表の改定が見送られ、一時金の0.05月削減を余儀なくされ、組合員の年収が対前年比で3年連続でマイナスとなる結果になりました。
 労働者・国民などの消費者の懐を暖め景気を回復する経済政策を実施させ、大企業の利益を優先する政策を改めさせるたたかい、国民本位のための政治を求めて取り組むことが切実に求められています。
 不払い残業をなくす取り組みを掲げましたが、新たな調査を開始するにとどまり、当局の対応・考え方を変えさせるに至っていません。健康と人権を守るための不払い残業根絶の取り組み、「過重労働」からくる過労死、メンタルな病気などを甘くみず、当局に強く要求していくことが求められています。
 人事任用制度問題では、現区政によるいっそうの成績主義強化政策のもと、長年続いた主任主事短期(長期)制度の廃止を余儀なくされましたが、ねばり強い交渉で「実務経験」を一定程度担保しました。特別昇給制度でも二年連続で同じ人に昇給させる仕組みをつくり、当局はいっそうの成績主義強化を進めました。
 今後、いっそうの人事任用制度の改悪が予想される中で、昇任、昇格、昇給の公平・民主的な実施、明るい職場を求め続けていくことが必要です。

●新自由主義的行政改革
 80年代型の「小さな政府」をめざす臨調行革と区別して、90年代型の「新しい行政経営」をめざすために行う「行革」。「民間企業における経営手法を行政に本格的に導入する」ものであり、New Public Management;NPMが土台にある。
 組合員の生活と権利を守るための区職労運動を概括的にみてみると、この一年、組合員の切実な要求を掲げて取り組んできましたが、景気動向に影響された賃金削減、全国に吹き荒れる自治体の「新自由主義的行政改革」の激しい攻撃の中で思うように要求は前進せず、既得の権利が後退させられています。
 しかし、住民や職員に負担増を強いる「新自由主義的行政改革」に対して、単年度での結果ではなく、長期的スパンでたたかうことが展望を切り開く道です。そして、あきらめず、これまで獲得していた権利・労働条件を守るために、それを奪うものと断固として対決してたたかうことが労働組合の使命となっています。

2、石川区政に本格的なたたかいを挑んで

●区行財政構造改革推進大綱
 石川区政が2002年4月に発表した「行革大綱」。内容は、まさに、「新自由主義的行政改革」をそのまま持ち込んだものである。
 民間委託・民営化、行政組織の簡素化、事業部制、バランスシート、業績主義的人事管理、PFI、IT化、政策・事務事業評価制度などの新しい行革を盛り込んでいる。
 石川区政は、全国的な「新自由主義的行政改革」の流れにそって「区行財政構造改革推進大綱」を具体的、本格的に実施し、区民や職員に犠牲を強いてきました。
 今年度は、「中学校給食調理民間委託」「四番町保育園給食調理民間委託」「こども園・幼保一元化」などを手始めとして進めてきました。
 これに対して、区職労は、区議会に対する署名行動や区民宣伝、給食まつりなどを取り組み、全面的、本格的なたたたかいを挑み、一定の圧力をかけたものの、区当局は強行しました。
 学校給食・保育園給食民間委託反対闘争では、結果として、民間委託を強行されました。しかし、給食の委託に賛成しない区民とのつながりがもてたこと、かつ、陳情署名行動も過去最高水準に到達したことなど、区職労運動に貴重な財産を残しました。また、調理職員の配置については、区当局の身勝手な配置を許さず、職員の希望を優先させることで対応しました。
 「区行財政構造改革推進大綱」の実施に反対する闘争は、単年度での結果で見るこなく、長期的なスパンでのたたかいが大事です。私たちには、自治体の公共性と職員の専門性を掲げ、政策を対置してたたかい続ければ、展望は開けると考えています。いつまでも「人間」を大事にしない政策が続くはずがないと確信するからです。
●こども園・幼保一元化
 こども園は、2002年4月からいずみ保育園と和泉幼稚園を一体化して運営していくとして設立された。しかし、運営実態は、保育園と幼稚園の壁は乗り越えられず、実態上は幼保二元化となっていると指摘されている。
 「こども園問題」については、幼保の連携などが準備不十分であるとの見解から、4月実施を伸ばすことを基本に対応しました。しかし、区当局は、「幼稚園を残してほしい」との住民の意向を受け入れ、一部の保護者や職員の「4月実施反対」を押し切りました。ところが、幼稚園教諭と保育士の連携は実施前には全く取れず、実施後も十分でない実態があります。「幼保一元化」というものの、実際は、「幼保二元化」となっている状況です。用務職についても業務内容を十分検討せずに実施に入ってしまいました。今後、点検活動を行い、運営についての改善を求めていくことが必要です。
 また、「生活環境条例」の実施にあたっての宣伝費等への1億2千万円の補正予算計上と強引なパトロール実施、6500万円のばらまきと言われる地域コミュニティ活性化事業、3億7500万円も支出する江戸開府400年記念事業実施などをみると、不況にあえぐ中小業者支援や区民福祉を軽んじる石川区政がみえてきます。
 このように現区政は、今区民が緊急に必要としている政策を十分に実施することなく、住民が住み続けられる政策を打ち出しきれていません。
 千代田区の街と生活破壊から区民を守るために、現区政の政策の一方的な内容だけではなく、区職労が、事の本質を多くの区民に知らせていくことが最も重要となっています。この取り組みから区民と職員の連帯が生まれ、区政の転換の方向が見えてくると考えます。

3、区職労組織は重大局面にきている

●条例に基づく時間内組合活動
 条例では、「適法な交渉及びその準備行為を行う場合」は職免が認められて時間内で組合活動ができることになっている。
 ところが、石川区政は、準備行為の範囲を大幅に制限する攻撃をかけてきている。
 相変わらず全国的に労働組合全体の力量や組織力が低下し、要求がなかなか前進しない状況のもと、区職労組合員の労働組合運動に対する関心と参加の度合いも弱まっています。
 この一年、組織を強化すべきとの方針を打ち出しましたが、具体的な手だてを講じられず、区職労委員の定数に満たない選出、区職労執行委員の1名欠員、多くの職場での職場委員の未選出など課題が積み残されています。
 この間、新入職員の抑制、「合理化」「業務委託」などによる人員削減もあり、組合員数は減少しています。自然減以外の減少をくい止め、新たな拡大を行う必要があります。
 また、区当局による「条例に基づく時間内組合活動」の範囲の見直し攻撃は、区職労活動つぶしのねらいをもっています。
 これらの組織に関わる課題について、具体策をつくって系統的に実行していくことが求められます。区職労つぶしに対しては、断固とした態度で対応し、労働者の団結権、団体交渉権及びこれまでの「労使慣行」を守らせていく必要があります。