2004年度運動方針目次へ次頁へ

T、はじめに
1、2004年度区職労運動方針の特徴

2004年度区職労運動方針の特徴は、今期の情勢を踏まえ、以下の通りです。

(1)一年を振り返ってについては、成果がなかなか上げられない状況ですが、今が踏ん張りどころで方針に沿ってたたかい続けることが重要と指摘しています。
 この一年、職員の賃金・労働条件を切り下げ、区民サービスの切り下げを行ってきた石川区政に対し区職労は、まともな要求を出し、正当な主張を行い続けてきましたと振り返っています。そして、粘り強く言い続けることが大事であり、情勢を切り開く展望があるとしています。

(2)情勢の特徴については、今回はじめて私たち職員の身近な情勢から国内外の情勢の特徴を分析し記述しました。
 職員に関わる石川区政の分析では、賃金・労働条件の切り下げを行い職員に負担を強いている関係から辛口の評価・分析を行っています。
 千代田区政に関わっては、「千代田区行財政構造改革=新しい公共経営」による企業サイドや国や都に目が向くのではなくて、まちづくりや教育、福祉など区民要望の高い施策に重点を置くことが求められると指摘しています。
 国内政治では、労働者を労働者として扱わない政治が小泉構造改革のもとで行われていると指摘しています。さらに小泉構造改革では民間でできるものはすべて民間に任せ、企業活動にとって障害になる規制も緩和するとしています。そして、社会保障の改悪と企業減税を行うとしています。この方向では、労働者・国民の懐は暖まらず景気は回復しないと指摘しています。
 また、憲法9条を改悪して日本を戦争する国にする企みが進行していると指摘しています。区職労は、憲法9条は日本の宝であり、世界に広げ平和な世界にすることが求められると主張しています。

(3)具体的な課題については、@職員の労働条件に関わる事前協議制について、A組合員の生活と権利を守る取り組み・東京の生活実態に見合った賃金・労働条件、B時短、賃金不払い残業の根絶、休暇獲得等勤務時間問題の取り組み、C職場要求実現の取り組み、D新庁舎整備に関する基本要求の実現について、E管理強化に反対し職場の民主化をすすめるために、F民間委託・民営化、人員削減などの「千代田区版リストラ」に反対し、職場と地方自治を守り、住民本位の区政をめざして、G社会保障制度改善など、制度・政策要求の前進めざして、H憲法9条擁護、平和と民主主義を守るたたかい、I一致する要求に基づく労働者の共同闘争と連帯・支援の取り組み、J組織=上部団体選択問題の取り組みについて、K文化・スポーツ活動の取り組みについて、以上の大きな12項目を掲げています。
 特に、当局の姿勢を正す意味で、職員の賃金・労働条件について誠実に事前協議制を行うことを当局に求めています。
 また、具体的な課題については、賃金水準の低下をくい止め、休暇、福利厚生など職員の勤務条件全般わたって改善することを求めています。
 今期は、賃金水準の改善はもとより、賃金不払い残業根絶、勤務時間の特例措置問題の解決、事務事業の民間委託・民営化反対、04職場要求の前進、新庁舎整備要求の前進、「行財政構造改革」に反対し住民本位の区政めざす取り組み、区政情報の地域への発信を重点課題として取り組むとしています。

(4)組織強化については、区職労組織が1000名を切るという危機的状況であるという共通認識もって、必要な対策を行う方針としました。特に、今期は、区職労役員が直接職場に入り、意見集約を行うことを掲げ、区職労運動が見える取り組みを行うとしています。
また、組合員数に応じた区職労の組織財政について、中長期的な検討を行うことにしています。

2、1年を振り返って

●NPM
 New Public Managementのこと。新しい行政経営として、全国的に国の指導に基づき他自治体でも導入されてきている。この手法でNPM型行革が進められている。新自由主義的行政改革と同じで、公務でも民間でできるものはすべて民間に任せる考え方が基本にある。
(1)長引く経済不況の中で、成果が上が らずマイナスの事態に
  政府・財界の賃金切り下げに反対し、賃下げ悪循環サイクルを断ち切る
 昨年、マイナス「勧告」が出され、給与・一時金が削減され、年収平均約14.5万円が減らされる事態となりました。
 長引く経済不況のあおりをもろに受け、給与・一時金削減をはじめとして、全国に吹き荒れる自治体の「NPM型行財政構造改革(新しい公共経営)」の激しい攻撃の中で、私たちの要求がまともに検討されず、休暇などの既得の権利が後退させられ、職場も奪われ成果が上がらない事態に直面しています。
 このことは、私たちの賃金・労働条件への大きな影響にとどまらず、賃下げ悪循環サイクルとして、民間中小の労働者にも影響を与えています。
また、新しい公共経営と称する民間委託・民営化などで、住民にも公共性に対する不安や負担を与えています。
 こうした状況を打開するために、政府・財界の賃金切り下げに反対し、賃下げ悪循環サイクルを止めさせ、不況回復、雇用確保、地域経済支援などを中心とした経済政策への転換を図る必要があります。

(2)石川区政に迎合せず主張することはきちんと言ってきた
  団結したねばりのたたかいで要求前進めざす

 区職労は、昨年の大会で「千代田区リストラ」と全面対決する方針および組合員の切実な要求を掲げ、組合員の生活と権利を守るために、この一年取り組みを進めてきましたが、なかかな成果が上がらない事態に直面しています。
 石川区政は、全国的な「NPM型行財政構造改革」の流れにそって「千代田区行財政構造改革推進大綱」を具体的、本格的に実施し、区民や職員に犠牲を強いてきました。
今年度は、「小学校給食調理民間委託の開始」、「保育園給食調理民間委託の拡大」、「税金をつぎ込んでの認証保育所誘致」、「四番町図書館運営委託」などを進めてきました。
 これに対して、区職労は、全体として石川区政に対して迎合せず、言うことはきちんと言い、要求を出し、正当な主張を行ってきました。

 学校給食調理問題では、団結署名行動、交渉を中心に当局を追い込みましたが、「15年度2校委託する。16年度以降は誠意をもって交渉する」との回答となりました。
保育園給食調理問題は、当該職員も含めた取り組み体制がつくりきれず、職員の異動問題の処理にとどまり、取り組みがほとんどできませんでした。
 今年度の給食調理委託問題の取り組みでは、住民とのつながり、住民宣伝が取り組めなかった点は、今後の取り組みに際して検討する必要があります。

 また、「千代田区行財政構造改革推進大綱」の実施に反対する闘争は、単年度での結果にとらわれることなく、長期的スパンでたたかい続けるが大事です。自治体の公共性と専門性を掲げ、政策を対置してたたかい続ければ、展望は開けると考えています。
 これは、いつまでも住民や職員を大切にしない政策が続くはずがないと確信しているからです。
 そして、あきらめず、ねばり強く、これまで獲得していた権利・労働条件を守るために、それを奪うものと断固としてたたかうことが労働組合の使命であり、今大切になっています。

 昇任選考、昇格制度、昇給制度などについて、能力・成績主義強化と恣意的な実施の強まりが出てきました。
 特に、主任主事選考では、統一交渉で決まっているにも関わらず、「実務経験重視の選考」を約束しない態度を取り続けていることにあらわれています。また、自己申告制度についても、公務労働にはなじみにくい目標管理型を導入しました。
 区当局の能力・成績主義強化、恣意的な実施に反対し、管理職に対する下からの評価制度導入など、民主的・公平な実施を求め続けることが重要となっています。
 「新庁舎建設」「ばらまきと言われる地域コミュニティ活性化事業の継続」、「江戸開府400年記念事業実施」などをみると、不況にあえぐ中小・個人業者への支援、区民福祉を軽んじる区政の姿が見えてきます。
 このように現区政は、今区民が求めていることには十分応じず、どちらかというと重要でない施策を優先し、超高層マンションなど、住民の居住環境を悪化させる開発は野放しにしています。
 千代田区の街と生活破壊から区民を守るために、現区政の政策の一方的な内容でなく、区職労が「行財政構造改革」の本質を区民に知らせていくことが最も重要になっています。
 こうした取り組みから、区民と職員のつながりもでき、私たちの賃金・労働条件への理解も生まれてくると考えます。そして、区民福祉優先の区政への転換の方向が見えてくるのではないでしょうか。

(3)区職労組織が少しづつ後退
   職場に役員をつくり、労働組合の大切さを浸透させ、組織強化めざす

 相変わらず全国的な労働組合の組織力量が低下し、要求がなかなか前進しない状況のもと、区職労組合員の区職労運動に対する関心と参加の度合いも徐々に弱まっています。
 この一年、組織強化方針に基づき、若干の個別対応を行うにとどまりました。
大会代議員や区職労委員の定数に満たない選出、区職労執行委員の欠員、職場委員の未選出、組合費未納者問題など課題を多く残しています。
 新規採用ゼロ、民間委託などによる人員減、組合費未納者の増加もあり、組合員数が減っています。組合員の減少をくい止め、新規採用させるたたかいなど新たな拡大に向けて本腰を入れて取り組む必要があります。
 また、「条例に基づく時間内組合活動」が制限されましたが、区職労活動つぶしを許さず、断固とした態度で対応し活動を進めていくことが求められます。
 これら区職労組織に関わる課題について、緊急事態という認識を共有しつつ、具体策作成と担当者を配置し、系統的に実行していくことが必要です。